1.旅に出ます!
作者の海神です。
よろしくお願いします。
「はぁ……はぁ……」
紙袋の中に入った魔法の薬品が走る度にカラン、カランと甲高い音を上げて鳴り響く。
私は紙袋の中から魔法の薬品が落ちないように気を付けながら、人通りの多い道から小さな道へと曲がり走る速度を上げていく。
ガラス同士がぶつかる高い音が、少し濁りガランという音に変わるけど、私は気にせず走る速度を上げて宿屋の中へ。
「おかえりなさーい」
受付から聞こえるやる気のないお姉さんの声に、私は頭を軽く下げ、階段を駆け上がる。
「はぁ……はぁ……」
二階に上がり、廊下を走り、師匠が待っている部屋の前へ。そして勢い良く扉を開けて、
「し、師匠、ただいまですっ!」
私は息を切らせながらも出来る限り大きな声で、師匠に挨拶をした。
◆
「落ち着いたかしら?」
「はい、ありがとうございます」
息を切らしていた私から紙袋を受け取った師匠は、私の頭を撫でてくれ、休むようにとベットに座らせてくれた。
「そんなに急がなくても良かったのに。カランコエ」
「初めてのお使いだったもので、嬉しくってつい……」
「ふふ、可愛いわね、本当。お疲れ様」
師匠は楽しそうな表情で紙袋から薬品を取り出し、労いの言葉をかけてくれる。それが私は嬉しくって笑みを溢しながら、
「あの、まだ何か手伝える事はありますか?」
立ち上がって師匠に聞いてみると、師匠は優しく笑いながら首を横に振る。
「もう大丈夫よ、カランコエ」
「で、でも、他に旅でいるものとか……むっ」
私が師匠に近付きさらに言うと、両頬を指で挟まれて言葉を遮られ、
「旅でいるものは全部揃ったし、もう大丈夫。少ししたら、出発しましょう」
頬をムニムニされながら言われたので、私は頷く。
「はぁい」
それから師匠は薬品を収納魔法に入れて、部屋に忘れ物がないかを確認し、
「行きましょうか、カランコエ」
「はい!師匠」
私と師匠は一緒に階段を降りて、宿屋の受付に鍵を返し、
「ありがとうございました。お気を付けて」
「はい。ありがとうございます」
「さ、さようなら」
やる気のないお姉さんに手を振り返し、三ヶ月程いた宿屋を出る。
そうして、
「カランコエ。最初の目的地は、大地の国『ガイア』。私から離れちゃだめよ?」
「はい!」
私にとっては初めての旅が、師匠と二人で始まった。
やっぱり百合って良いですよね。
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