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この街も色眼鏡は少ないらしい

 おはようございます。お宿で一晩寝かせていただきました。

 あーーご好意のありがたさよ。晩ごはんも朝ごはんも美味しかったし。


 さて、今日はいよいよ大仕事かな。基本満月の夜――つまり今夜――に行動するらしいけど、昼過ぎから警戒しておいて損はない。


「…ちなみに、人狼のねぐらを探したりなどは…」

「しようとしたさ。でも、夜の闇の中、飛ぶように移動する人狼を、無傷で追いかけるとなると…」


 えそんな速いの?私の反応速度で間に合うかな、心配になってきた。


「…しかも、ねぐらを見つけたら戻って来なくてはいけませんからね」

「ああ、自身のねぐらを見つけたとなれば、人狼も本気で狙ってくるだろうさ」


 でしょうなあ。私が人狼の立場だってそうする。

 …ん?待てよ?

 『私が人狼ならそうする』?


 なら…人狼には、多少なりとも理性がある…?


「…ノーベル?」

「……」

「オリバー・ノーベル!」

「ッ!あ、はい。なんでしょう」


 やっっべ、未だに「ノーベル」って名前が自分のものって印象がないわ。

 「何かつかんだのか?」とか言われてもわかんないですわ。この世界、世界征服を企むあからさまに敵な魔王とかいないし。


「…まあ、そうですね」

「何か?」


 ちなみにこの人は、現地のギルドに所属している冒険者の一人。マックスさんっていうベテランだ。

 身長180cm越えのオリヴィア(私)よりも身長が高い筋骨隆々の大男で、その身に纏う鎧は特注らしい。大剣を使うthe・前衛のタンクで、鎖を使ったトリッキーな戦いをする私のバディに選ばれた。


「相手と交渉ができるなら――しておきたい気は、します」

「……」

「…?」


 なんも言われないから見てみたら、「何言ってんだこいつ」って顔されてた、ひどい。

 そう思って足元を見れば、同じものを見てくれたようで、「あぁ…」って声が聞こえた。


「なるほど…あんたはテイマーでもあったな。しかも、珍しく魔物を連れてるタイプの」


 足元で草を食んで遊んでるゆきうさを見て、納得がいったらしい。この世界、職業が一つに絞られてないから、魔法戦士なんかも普通にいるのよね。なろう系にありがちな魔法使いと戦士の対立なんかもない。

 私がギルドに登録しているのは、魔法使いとテイマーの二つ。剣士は名乗れないよ、うん。私のへっぽこ剣術じゃ。未だに腰引けてるらしいし。


 なお、この世界のテイマーは「魔物使い」というよりかは「動物使い」に近いらしい。後で知った。移動で馬を使ってもテイマー、荷物運びにロバを採用していてもテイマー。だから、この世界の冒険者は大抵テイマー+αで登録しているらしい。

 私の知ってるテイマーと違う…特別感もクソもねえや…。



 直後、爆撃。


 いや、爆音?



 轟音とも言えるそれが肌をビリビリと震わせ、地面もまた揺れる。

 警戒も何もない状態で、耳を塞ぐ間もなくモロにくらったせいでキーーンと耳鳴りがする。マックスさんが何か叫んでいるのが見えるけど聞こえない。


「……ば…、お…、だい……ぶか!」

「すみません、もろにくらいました…少し、動けそうにありません」


 何だ今の、空爆か、B-29の襲来か!?映画の大砲とか花火とかの方がまだ音小さかったぞ!

 やっべ、頭痛くなってきた。まじで動けそうも…


 あれ治った。耳鳴り引いたし普通に聞こえる。なんで?


 そう思った瞬間…足に、もふっとした感覚。


「おまえかーー!!」

「!?」


 ゆきうさのおかげだーー!!

 付けててよかった回復魔法機能!あと特性:おもいやり!まさか回復魔法がここまで万能だとは思わなかったけど今はありがたい!いっぱい撫でてあげるね!!


 …ハッッ。


「……あのー…」

「あ、いや、その…溺愛してる、んだな」

「すみません忘れてください!!」


 えーん大人な対応が逆に辛い!そうだよね、大の大人(しかも高身長)が女子みたいな顔で、しかもハイテンションで小動物撫でくりまわしてたら引くよな普通!ギャップなんて少数にしか許されないレア武器なんだよぉ!!

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