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移動!

「あ゙〜〜〜〜…」


 ガタガタと揺れる馬車の中でひとつ、大きなため息。なおゆきうさは寝てる。スリープモード、電源オフとも言う。

 結局伯爵サマの話に乗っかった私は、用意された馬車で彼の領地に向かっている。伯爵家の家紋が入っているからちょっかいも出されないだろうし、賊が出ても貴方なら自衛できるでしょう、だってさ。

 まぁ、正式な依頼だしお金貰えるし、そこはいいんだけどさ。


 酔いそう。


 馬車ってめっちゃ揺れるぅ〜。座る座席も木製だからかったいのよ。みんなよく長時間座れるね、私はムリ。

 ムリだから、ゆきうさの分体をこう、変形さして座布団代わりにしてる。柔らかいし衝撃吸収するしで大活躍。

 まあ、ゆきうさいなかったら乗り心地最悪だったろうし、そんなもんが無い勇者が車作る気持ちもわからんでも――


 いやわからんな。椅子は布製のを重ねればいいし、タイヤに至ってはゴム製とか、鞣した皮とかにして空気入れればいいじゃんか。


***


「…本当に、伯爵様の?」

「ええ、直々のご依頼ですよ」


 すごい目で見られとる〜。まあこの見た目だからね、不信感はしゃーない。

 あ、いや、見た目っつっても正確には、アルビノじゃなくて、私の服装。


 どんな凄腕の冒険者が来るのかと期待して見れば、馬車から下りてきたのはコートを着て杖を持った優男。剛腕もなければ鎧も着ておらず、魔法使いらしいローブも杖もない。しかも単騎。

 先生が「本日は、凄腕の消防士の方に来ていただきました」とか言って、出てきたのがガングロ金髪でピアス開けたチャラ男(しかも私服にグラサン)くらいの衝撃なんだろうな。

 冒険者にしてはテッパンのあの服装らは、一目見ただけで職業を明らかにする制服のような効果もあるのだ。


「…不当に家紋を流用するのは犯罪ですよ」

「ま、待ってください!?ほら、直筆のサインもありますから!!」


 伯爵サマありがとー!(お互いで持てるように二つ用意してくれてた)

 契約書を見せればある程度は納得したようで、後方の若者たちも構えていた武器を下ろしてくれた。


 胸を撫で下ろすと、町の長っぽい人が前に出てきた。


「たしかに、伯爵から直々に依頼を受けたというのは事実のようだ…たった今、ギルドの方から裏が取れた」

「それは…よかったです」


 あぶねー、冒険者ギルドも通しておいてよかった!やっぱ証明方法は多く持っておくにこしたことはないね!


「ですが、失礼ながら、貴方のその見た目では心もとないのも事実。せめて、この町一番の実力者と同等かそれ以上でなくては…」

「ああ、まあ…はい。理解できます。この細腕ですしね…」

「ですので、証明をしてくださいませんか?」

「模擬戦か何かでしょうか?」

「話が早くて助かります」


 まあ、模擬戦とか決闘なんかはよくあるなろう系のあるあるイベントですからね。この調子だと、決闘と違って、「打ち負かす」んじゃなく「認めさせる」のが目的になるから…

 やったあ、比較的楽できそう!


***


 非常に楽でした。

 この町の最強パーティーと広場でバトルすることになったんで、大技撃たれる前に鎖で全員捻り上げました。

 そうしたら降参してくれたし、みんな私の実力を認めてくれてハッピー!わーい!


 …あれ、まずいかも。いつの間にかなろう系王道の流れに乗りつつあるぞ?

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