食べ物を調達しよう
さて、とりあえず水はどうにかなった(クソ不味いけど)。
次は食料だ。
詰んでね???
比較的都会な街のJKが野草とか知るわけなーい\(^o^)/オワタ 〜完〜
いやマジで、ニュースとかのせいで下手に野草に触らないほうがいいっていう知識はあるんだよ私は。キノコなんて論外。知ってるやつだと思って口に入れた結果大惨事なんてありがちすぎて。
でも狩りをしてお肉だけで生きていくのは難しい。お野菜食べられない環境にあったから海賊とか身体壊してたんでしょ?壊血病だっけ。
ああ〜スキルが欲しい。ステータス表示が欲しい。わかりやすい説明文が欲しい。
なんなら、わかりやすいあるあるチート、『鑑定』スキルが欲しい!!
…あ、いや待てよ。ワンチャンいけないか。
「…サーチ!」
おお、この森のマッピングや周囲の生息反応が一気に……
「ぐおああああああああああいたいいたいいたい!!!」
あったま痛え!!脳が壊れる!キャパオーバーする!!
ぐおおまだズキズキする。あれか、PCとかにオーバースペックなアプリとかガンガン入れて重くなるみたいな。あぶねーあぶねー、結界内でやっててよかった。
次は、親指と人差し指でこう、わっかを作ってやってみる。
「…サーチ」
おお、なんか赤くなった。スナイパーとかの照準みたいなやつがピロピロついてら。
えっと次は…
「限定:可食」
あっ減った!やったぁ!
「限定:可食・加熱」
おお。わかるわかる。もうこの際味とかどうでもいいわ。一旦腹に入れなきゃ死ぬ。お腹減ってきたわ。その辺のコンビニでおにぎり買える飽食の国日本出身ナメんな。
…………。
「限定:苦み少なめ」
また減った。
いやいけるんかい!!
***
私の悲鳴を聞いてやってきた肉食の野生動物を、電撃系の魔法で麻痺らせる。
そして、食に関する第二の関門。
「…屠殺とか、聞いてないんですけど」
正直、解剖とか嬉々としてやってた私なので、ハイテンション状態が続けば多分大丈夫。可食部もまあ、とりあえず一食でも取れれば、素人にしてはいい方でしょう。ただ問題はそこじゃない。
服だ。
今の私は一張羅、替えの服がない。
「うあああああ返り血嫌だああああ……」
そう、問題はコレ。返り血によるデメリットなんて、少し考えればぽんぽこ出てくる。
1 不衛生
2 濡れる→体温低下に繋がる
3 絵面がヤバい(今後人に会った際にまずい)
特に1がヤバい。予防接種とか受けてる私だけど、異世界のウイルスなんて対応してるわけもない。抗体のない状態で自ら罹患しにいくとかバカの所業だ。洗濯もできないし。
てか地味に2もまずい。体温低下はサバイバルの天敵だ。火は起こせても火を纏えないのが人間、恒温動物として、体温は一定に保つに限る。
と、すれば…
「…杭を刺して吊り下げて、遠くから引き抜く…?」
イメージはこう、大きなマグロをぶらーんとぶら下げてるアレだ。結界をもう一つつくってそっちに移動させ、もう片方の結界の中で血を防ぐ。あ、いやそっか、結界で防げばいいのか。バカか私は。
そうと決まれば話は早い。死臭のする前に全部処理しちゃおう。
えっと、石を砕いて先を尖らせて、魔法でピタッと太めの枝にくっつける。
ててーん、お手軽屠殺鎌〜〜!
…なんで打製石器作ってるんだろうね。令和の時代出身の乙女が…。いや乙女って性格でもないのはわかってるけど。
ああ、切実に金属が欲しい。てか余裕できてきたら拠点作ろうかな。
狼の死体たちを結界の外に出して、鎌でドスッと首に一撃。石が細くて小さいので何発が入れれば、すぐに血が溢れ出てきた。うわグロ。
血の臭いで寄ってこられても嫌なんで、処理を終えたらちょっと移動するか。囮にいくつか処理しきれない分を置いていこう。
群れで襲ってこられても、食べるのは私一人なので。二匹くらいからわかりやすく食べられるお肉を貰ってトンズラしよう。内臓は…置いてこ。栄養価高いだろうけど、狼のモツはちょっと嫌かな。
さーーーてと!一割石器:九割魔法の解体ショーが終わったところで移動しますか。結界も解いて、お肉は洗って異空間収納へポイ。…サラッと使ってるけど、異空間収納て。あーあ、またチートが増えたよ。簡単に人前出られね〜なこりゃ。
鎌は念のため武器として持ってよ。洗ったし。まだ血の汚れがこびりついてるけど。
野生動物に会わないように、慎重にひらけた場所を探す。
とりあえず、転生先の男が靴履いててよかった。この足元を裸足とか靴下で歩き回るのは狂気の沙汰だわ。長袖長ズボンなのもグッド。
…ん?水音?
しめた!チャンスかも!
人というのは、川の近くに集まりやすい。四大文明が全て大きな川とセットなのがその証拠。
水は、命の水だ。水がなくては人は生きてはいけないし、農業もできない。
つまり、水の流れる音は希望の証!
よそ者だと排他される可能性はあるけど、サバイバルを続けるよりは賭けたい!
音が近づくにつれて、森がひらけてくる。
音に近づくにつれて、それが川だと確信を持てる。
「さあ、さあ!どうだ!」
そう言って、ガサッと緑をかき分けたその先は。
ボロボロの、廃村だった。