表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/42

こういうのって物語だから面白いんでしょうが(半ギレ)

 マンガもアニメも大好きだ。

 頭を使うような難しいやつも、頭空っぽにしてゲラゲラ笑えるギャグも大好き。

 特に、絶対に学校のテストで出ないような知識を使うようなやつなんか最高!戦術とか、サバイバル知識とか、歴史の中でもコアな豆知識とか。


 …でも、




「実際にやるのは違くないですかぁ!!?」


 虚しい叫びが、木々に吸い込まれては消えていった。


***


 私は、一応普通の高校生だった。高校三年生だから受験校絞らなくちゃいけないのはダルいしなんなら受験勉強とかfxxkinとか思ってたけど、そういう点だと先生にめっちゃ迷惑かけてましたけど、それでもこれはないでしょう!


 寝て起きたら森の中でした。草。いや森だけど。


 ああ、私のお気に入りのふかふか毛布は何処(いずこ)に…。クレーンゲームで3000円費やしたもちもちクッションもない…。あっお布団もねぇや。そもそも屋外ですね。


 これだけ見れば完全に誘拐だけど、ないない。パジャマ剥ぎ取って薄っぺらい服着せて、こんな山奥に放置?なにその誘拐犯。頭おかしいんか。

 そもそも、伸ばしてた髪の毛が肩より上で切られてることも、噛みまくってガジガジな深爪がピッカピカの綺麗な爪になってることもおかしい。髪はともかく爪はどんな技術だ、これが現代なら売れるぞ、世の女子に。


 それに何より、これがある種の転生のようなものだと確信できること。


「…生えてる」


 ナニとは言わないが生えてる。どことは言わないけど。

 一応確認するが、私の名前は川瀬(かわせ)美琴(みこと)。れっきとした女子(・・)高校生だ。


 何?転生って、普通同じ性別になるものじゃないの?少なくとも記憶があるタイプはさ。

 月のものから開放されたのは喜ばしいけど、男だと蹴り上げられる可能性が出てくるんだよな。いや女性でも股間を蹴られると普通に痛いけど。どうせなら無性体とかになりたかった。子ども産みたいときに後悔しそうだけど。


 まあいいや。愚痴も文句も、安全を確保してからにしよう。ここは依然森の中。てか山。日本のと比べると緩やかだけど山。衣食住と、野生動物の危険も考えなくちゃいけない。

 さて、そこで、難易度が桁違いになってくる条件。


「…魔法の有無」


 この転生が『また何かやっちゃいました?』的なチート転生なのか、某スライムや蜘蛛のようなハードモードから成り上がる系なのか、そもそも魔法のない世界なのか。体が男だとBLの可能性も出てくるけど、まあ一旦無視。


「…ステータスオープン」


 手のひらをかざして、そう唱える。


 …。

 ……。


 なんもね〜〜〜〜。恥ずかしっ、状況が状況じゃなかったら完全に厨二じゃん。

 次、詠唱。え〜〜何使おう。


「…メ〇!!」


 悩んだ末に出したのは、超絶有名RPGの超初級の炎呪文。火の玉を意識して、手のひらを突き出す。


 ボンッ



 お、おお〜…。

 いやなんか、ゲーム画面だとしょっぱい炎だけど、いざ目の前にするとデカいな。当たり前か、直径8〜10cmのボールて野球ボールよりデカいわ。野球ボールより一回り大きい火球が飛んできたらそら怖いわ。メラ○ーマとかどうなっちゃうんだこれ。

 次。詠唱と、イメージの必要性の有無。

 実験するなら、同じ火球の魔法がいい。


「ならば…ファイヤーボール!!」


 ボンッ


 おお、出た。対して変わらんな。

 あ、てか、詠唱の必要性を確かめたいならこうすりゃいいじゃん。


「ファイ()ーボール!」


 ボンッ


 さっきと変わらん。てか地面の焦げ跡まで完全一致。

 なるほど、大事なのは本人のイメージで、詠唱とかはその補助ね。対して疲れた感もないから、こりゃチート転生タイプだな。ラッキー。いや記憶保持状態での転生は完全に不運だけど。


 次。野生動物からの身の守り。これに関しては完全にイージーモードだ。


「…結界!!」


 ブーン、とそれっぽい音を出して、ガラスとか透明なプラスチックみたいな、透明な壁が出てきた。私はスッカスカだけど、外に出て枝を投げつければカツンと跳ね返る。重めの石をセイヤッと投げつけたら、ゴッと人が死にそうな音がして落ちた。

 わあい、幅20cmの超超強化ガラスだあ(白目)。

 簡易テントにしてはやりすぎたわ、誰も見てなくてよかった。


 次は水…あっ、魔法で出せたわ。やったー。

 じゃあこれを溜めて……




 容器ねえよ!!!


 ヤだよ私、地面に穴掘ってそこに溜めた水飲むの!でも食器なんかこんなとこに落ちてるわけないし!!

 え、えー作るの?完成する前に死にそう。


 いいや、いろいろやってたら喉乾いてきたし水球から(このまま)飲もう。グニグニ歪めてストローみたいにすれば多分いけるっしょ。




 むせました。即落ち二コマか。

 てか不味い。水がマジで不味い。魔法で出した水って飲むもんじゃねえな、蒸留水の味するわ。旨味もクソもねえ。

 私がいた地域の水道水って、甘くて美味しかったんだなぁ……もっと味わっとけばよかった。



 ああ、神様。転生モノあるあるの貴方様がいるなら、私はあんたを恨みます。発展国日本出身のJKに、補助(まほう)アリとはいえサバイバルはキツイっす。

 いや、マジで、ほんとうに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ