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福音と甘言  作者: はまみ
79/110

79話 最悪の予測

「では、ここで決めた内容をこの場にいない人に展開してください。その後、第1陣は魔物が来るまで現場で待機を。それ以外は解散してください」


 エノクの言葉とともに、傭兵たちが部屋を出ていく。そうして残ったのが討伐チームだけになると、エノクは大きなため息を吐いた。


「はぁー……疲れた……」


「お疲れ様、エノク。任せきりですまないな」


 殿下がエノクに労いの言葉をかける。


「大丈夫だよ、ヘレル領の話だからね、これも伯爵代理の仕事さ。とりあえずこれで父上が来るまではもつはずだ。……にしても、ガブリエル嬢には助けられたよ。傭兵に立候補されたらどう断ろうか悩んでたんだよね」


「当然だ。オレのフィアンセなのだからな」


 何故か自慢げな殿下はさておき、何を助けられたのだろうか?


「ん?ああ、今回の騒動の原因は恐らく魔族なんだよ」


 オレが理解していないことを察したのか、オレの顔を見たエノクが軽い口調でそういった。

 

「な……」


「あの場で魔族の事を話すわけにも行かなかったからね。メンバーがこの4人なのも、魔族のことを知っているからっていうのも一つの理由なんだ。あとは本当に街の防衛との兼ね合いね」


「そういう、ことか……」


 魔族について知っていることが大前提となるならば、この4人がメンバーなのも納得だ。


「魔族について、お二人はなにかご存知なのですか?」


 エーシュ嬢が疑問を述べる。確かに、敵が魔族であると予想しているのなら、その魔族について何か知っていてもおかしくはない。


「魔族の名前は……僕の予想が間違っていなければベルゼブブ。暴食の悪鬼と呼ばれる、恐ろしい魔族です。まだ不完全な状態の魔族が今、完全に復活するために人々を喰らい、力の糧としようとしている……と考えています」


「人を……」


 エーシュ嬢が青ざめる。

 

「そんな魔族ですから、ショッキングな光景を見ることになるかもしれません。今なら、行くのをやめられますよ」


 冗談を言うような調子でエノクはそう言った。しかし、真剣な表情でエーシュ嬢は首を横に振る。

 

「いいえ、やめたりなんてしません。私の力が、必要なのですよね」


「はい。エーシュ嬢が居てくだされば、多少の無理ができるようになる。それは魔族との戦いを大きく有利にするでしょう」

 

「ならば行かせてください。必ずお役に立ちます」


 エノクの言葉を聞いたアザレア嬢は、力強く言い切った。


「ありがとうございます、エーシュ嬢。ルークは大丈夫?」


「ああ」


 オレが迷わず答えたことに驚いたのか、エノクは小さく目を見開いた。だが、すぐにもとの表情に戻ると、小さく頷いた。

 

「……そっか。ありがとう」

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