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福音と甘言  作者: はまみ
58/110

58話 眩い炎

「ちょっと脱線しちゃったね。魔族による体の乗っ取りは、儀式をするか、本体がいる所に行きでもしない限りは起こらない。だからその辺の人達が魔物になったりすることはほぼないよ」


「ならサムソンはどうして……」


「恐らく儀式の方だな。メトフェスに生贄にされたのだろう。魔族の存在を知っているのはもはや3家門だけだからな」


「とはいえ僕達も儀式の方法は知らないのだけどね。メトフェスはどうやって知ったのやら。まぁ、既に魔族になってるのかもしれないね」


 エノク達ですら知らない儀式。それをメトフェスが知っていたと言うことだろうか。……そういえば、変なことを聞かれたな。もしかすると関係があるかもしれない。

 

「……てんつばって何か関係があったりするのか?」


「「!!!!」」


 エノクと殿下が目を見開く。


「そう。そういうことね」


「これは……想像以上に厄介だな」


「な、何なんだ?本当に関係があるのか!?」


 エノクと殿下は顔を見合わせ、互いに深く悩むような素振りを見せる。

 

「うーん、説明が難しいんだけど……直接は関係ないよ」


「いずれ、必要になったら話そう」


「え〜?俺にも秘密なんですか?」


 ルアハは知らなかったようで、抗議の声を上げる。


「ああ。すまないな」


「ま〜殿下がそう言うならこれ以上は聞かないでおきますよ」


 以外にもルアハはあっさりと引き下がる。アザレア嬢も気になっているようだが、ルアハが引き下がったのを見て諦めたようだ。


「これから、私達はどうすればよいのでしょうか?」


 アザレア嬢が不安気に声を上げる。


「これまで通り普通に生活してくれればいい。学園に魔物が現れる、なんてこともこれからは無いはずだから」


「なぜそう言えるんだ?」


「これだ」


 そう言って殿下は手を広げた。眩い炎が手のひらの上で輝いている。上に投げるように手を動かすと、炎は頭上まで上がり、そして大きな輝きを放って爆ぜた。だが、不思議と熱さはなかった。


「これが、滅魔の炎なのですね……」


 滅魔の炎。ミカエルに神が与えたとされ、魔物だけを焼き尽くすと言われている。実際に見るのは初めてだが、アザレア嬢が見惚れるのもわかるほど美しい炎だった。


「これで今学園にいる魔族は祓えたはずだ。今後は定期的にこれを行おう」


「ありがとうございます、殿下」


「よい。誰かのために使ってこそだからな」


 殿下はそう言って頷いた。


「とりあえずこんなものだね〜。俺達はもう行くよ。兄上を追わないといけないからね〜」


 ルアハと殿下とエノクが立ち上がる。


「オレも手伝いま……う……」


 オレもついて行こうとして立ち上がろうすると、体に痛みが走った。


「ルークくん、ダメだよ、安静にしていて」


「そうそう。今日はしっかり休むこと。あ、僕はこの部屋の外にいるから、何かあったら呼んでね」


「ではな、2人共」


「まったね〜」


 アザレア嬢以外の3人が部屋から出ていった。

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