18話 厳しいアドバイス
事件から一週間、ようやく運動することを許されたオレは、早速練武場の隅に来ていた。一週間という短い間ではあったが、少しだけ懐かしい気がした。いつの間にか、ここに来ることはオレの日常になっていたのだと改めて実感した。
「おっ、ルーク!!!」
背後からオレの名を呼ぶ声が聞こえる。振り返らずとも誰かが分かる。
「おはようございます」
「おはよーさん!!……元気そうで、何よりだ」
一瞬だけ安堵したような表情を浮かべるが、直ぐにハツラツとした笑顔に変わる。
「今日は早いな!そんなに体動かしたかったか?」
「はい、久しぶりで待ちきれなくて」
「そーかそーか!!」
カインが笑っていると、ディオンが静かに現れた。
「おはようございます」
「おはよう」
「おはよーさん!!」
「もう怪我は大丈夫か?」
「あぁ、だいぶ良くなったよ。ただまだ完治はしてないから、あまり激しく動くなとは言われてる」
「そうか」
それだけ聞くと、彼はウォーミングアップを始めた。
「エノク様にリハビリ用メニューを貰っておいたからな!最初のようなヘマはしないぜ!!」
エノクのリハビリメニューは確かに激しく動きはしなかった。怪我の治りを邪魔せず、筋肉が衰えないようにするとかなんとか。実際、何セットもやると結構キツかった。
それから更に1周間が経ち、ようやく激しい運動の許可が出た。これでようやく対人練習ができる。
「さぁ、来い」
「行くぞ!」
力を込めて木刀を振るう。ディオンは軽くいなすと、すかさず反撃をしてくる。なんとか躱すが、間髪入れずに追撃が来る。防いで反撃を狙うが、すぐに距離を取られる。序盤こそ互角のようであったが徐々に押されていき、首に木刀を突き付けられてしまった。
「降参だ……」
「……」
無言で差し伸べられた手を掴み立ち上がる。
「お前はいちいち力を入れ過ぎだ。そのせいで動きが大振りになっている」
「うっ……わかってはいるんだけど」
「直せ。力が強いのはお前の強みだが、振るたびに無駄に力むな」
「……わかった、気をつける」
その後も何回か手合わせをして、その度に厳しいアドバイスを貰うのだった……