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結城悠斗

俺は、どちらかと言うと人間の屑の部類なんじゃないかと思う。

屑じゃなければ、こんな風に顔に水をかけられる人間なんてどれくらい居るんだろうか。

実は、内心ワクワクしている。




「結城くんってなんでいつもそうなの?」



女の子は泣きながら去ってしまった。

日曜のファミレスにビチョビチョのまま残され、ぼうっとしていると、先程頼んだカレードリアが届いた。

傍から見て休日の昼間に服の濡れた成人男性が1人でドリア食べてるのってどう映るんだろうかとふと思った。

仕方が無いので、アツアツなのを急いでかき込んでファミレスを後にした。



正直なところ、俺は顔のいい方だ。だから人生はだいたい上手く行くのだけれど、恋愛が絡むと少々厄介になることは間違いない。


さっきの女の子は、数回俺と遊んだことで半ば付き合ってると思っていたけど、俺が他の女の子らと遊んでいるのを見て怒ったらしい。

互いに付き合おうとも言っていないし、縛り縛られずの関係で心地良かったのに。



とりあえず、いつもの河川敷へ行こう。

あそこにはホームレスのオジサンしかいないけど、またアイツがいるかもしれない。




ーーーーーー



タバコの匂いは結構好きだ。

電子より、紙がもっと好きだ。

古い銭湯や喫茶店、人の家の庭の近くなどでふと煙草の匂いがすると凄く落ち着く。


これは恐らく母親が吸っていた影響で、

自分は吸わないながら銘柄も結構知っていたりする。

煙草を吸ったことはないが、いずれ吸ってみたいと思う。




「ここの喫茶店喫煙可やん。ちょっとキツいな」



駿は顔をしかめながらレイに言った。


今日も、駿と一緒に居た。

休講で急遽2限でお互い授業が終わってしまったから、

梅田で映画を見に行くことにした。



何らかの催しがあるのか、平日にも関わらずかなり混んでいたのでとりあえず空いていた喫茶店へ入ったが、

そこは駿のお気に召さないようだった。


テーブルに届けられたカフェオレは、作られてから時間が経っているのか若干黒っぽく濁っていた。



「やっぱレイの薦めは間違いないわ!めっちゃ面白かった」



こういう甘言が、ダメだ。本来駿はひたすらに良い奴で、なんの非の打ち所もない優しい男なんだ。

俺がただ、惨めに思っているだけ。



「なあ聞いてる?」



駿が顔を覗き込む。



「ああ、聞いてるよ」



「俺はやっぱり、男同士でも全然付き合えると思うわ」



なんの話かと思えば、先程の映画の話のようだ。

同性愛者の脇役がそれ故に苦しむ場面があって、

大城瞬は大変心を痛めたらしい。



「その人が好きやから付き合いたいって思うだけであって、わざわざ同性愛・異性愛って分ける必要は無いと思う」



あまりにも真剣に語っているので、少し笑ってしまった。

駿はもごもごして、まだ何か言いたげだった。


駿と別れて少し経ってから、なんとなくあの河川敷へ向かおうと思った。


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