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仕事は辛いよどこまでも

「凄い…いや、当然…いや、まだ生温い…」

 そう実験場で歓喜と絶望を洩らす男。

 フードに隠れたその表情は見えない。

 そんな男が見下ろす実験場で行われていたのは、生み出された生物と『魔王の泥』騒動の最中で捕えたトップヒーローの戦いだった。

 圧倒的、戦いと呼ぶにはあまりにも力量差があり過ぎる戦いの勝者を見ての感想だった。

「最強はまだ遠いね…僕の神娘にはまだ遠く及ばない。」

 

 姿形は百道神娘そのもの、そんな生物を見て男は不満を伝えた。


「神娘、僕の神娘…もうすぐ会えるよ…」

 そう言って偽物を壊した。



−−−−−−−−−−−−−−−−−



「検査の結果、『魔王の泥』の残滓は測定されませんでした。完全に消滅していると思われます。」

 美波麗香の厳重な検査を終え、その結果が方向された。

「流石と言うべきか、武生神娘…」

 その圧倒的且つ恐るべき強さを20年越しに証明した地上最強への警戒は今後も必要であると再確認する。

「あとは、何故あのパットしない陰気臭い女子中学生に『魔王の泥』が憑依したのかだな…」

 そう言って私は立ち上がった。


 ヒーロー協会監理部長、官吏磨鏤男の苦難(主にどっかの嫁のせい)は終わることはない。




−−−−−−−−−−−−−−−−−



「ちょっと待って!!なんでこんなに忙しいのよ!!実行委員ってただのクラス代表じゃないの!?」

 クリスティン・メイトリクスの絶叫が響き渡る。

「はい、追加の書類お願い。」

 そんなクリスティンの絶叫など関係なく、クラスメイトによって置かれる山のような書類。

「それでこんなクソ忙しい時にもう1人の代表はどこにいるのよ!!」

 同じくクラス代表となった筈の百道光の姿が見えず不満を叫ぶクリスティン。

「百道ならアルティメーターとの研修でいないよ。学校とヒーロー協会からの指示だから仕方ないよ。」 

 そう言いながら容赦なく更に書類を置くクラスメイト。

「つまり私1人でやれと…」

 途方もない書類の山々を見て呟いた。


「押し付けた私の責任です…」

 そんな教室の時を本来の代表の小さな声が支配した。

 その声に全てが動きを止め、呼吸さえ止めていた。

「1人では無理です。」

 そう言って書類の山々を抱え、教室の隅、自分の席に置いた黒瀬香紅璃の姿を皆が目で追っていた。

 無言で黙々と恐ろしい速度で書類を処理していく彼女は、不備と判定した書類を私に渡してきた。

「メイトリクスさん、不備処理の修正をお願いします。他は全て私が…」

 そう言って書類の山をもう一度抱えて戻っていく。

 渡された不備の書類には、不備事項や記入ミスや洩れを全て丁寧に赤ペンで修正、記入されている。

「流石香紅璃様…」

 書類を覗き込み、そんな感想を漏らすクラスメイト。

 

「納得いかないわ…」

 優秀で評価も正当。それは認める。

 だからこそ納得出来ない。

 自分を誇りなさいよ!!堂々としろ!!勝ちを譲っておきながら助けるな!!

 なにより…

 なんで助けておきながら泣きそうな顔してんのよ!!

 

 私にだけ見せた泣きそうな顔。

 目立つのが嫌いならそれでいい。

 中途半端な覚悟や優しさに腹が立った。






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