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阿賀の武術と阿賀の喧嘩屋

「武生院の武術が攻防一体の円の動きじゃったら、阿賀院の武術は一点突破の攻撃特化、一撃必殺の技じゃけぇ。」

 門下生を指導する阿賀扇風は、そう言いながら分厚い鋼鉄の板の前に立つ。

「攻めるも守るも変幻自在、それが武生の武術じゃけんど…」

 そう言うと同時に鋼鉄にちょうど扇風の拳と同じ大きさの穴が開く。

「それよりも速くぶっ殺しゃあええんじゃ。」

 笑う扇風に、門下生は尊敬と敬意の眼差しを向けた。


「必中必殺の1手、それが阿賀の武術じゃ。」

「では、仮にその1手が避けられた場合は…」

 そう言い切った扇風に恐る恐る質問した門下生。

「逃げ、じゃのぉ…距離をとるしかないけぇ…」

 小さな声で答える扇風に、門下生たちが顔を見合わせる。

 そんな門下生たちに笑う扇風。

「おどれら、逃げを負けと思っちょるんか?逃げは負けじゃないけぇ、勝つための布石じゃ。距離をとり、守りに徹し必死必中の一撃を撃つんじゃ。勝つ態勢を整える為に一歩退いて待つんじゃ…逃げても勝てば勝ちじゃけぇのぉ。」

 

 そう言い切った扇風は、ふと天を見る。

「あのバカ娘、なにしとんじゃろ…」

 次代の当主として相応しい、そう決めた跡取り娘は、家出してまだ帰って来ない。



−−−−−−−−−−−−−−−−−



「硬ッたいのぉ…」

 私の能力、展開する『アンキーレの盾』を殴りそう呟いた義妹(予定)。

 義姉(予定)、百道神娘は例外とし、世界最硬を誇る私の能力はそう簡単には破られない。

「防御特化の戦い方を教えてあげましょう…義姉として!!」

 守りの堅さは攻撃と同義、それをヒーロー大国である母国で証明した。


 地味でいい、華がなくていい。

 

 体力を奪い、地道にダメージを与える戦法は、ショー大国である母国ではウケなかった。強くても華がなければダメ。そんなヒーロー世界が嫌になった。

 しかし、今は違う。

 勝てばいい。

 勝てば全て良しだ。


 戦術的勝利よりも、戦略的勝利、それに徹する私。

 目下の最大勝利、それは…


「私が武生院の奥方様です!!」

 地位と名誉、なによりタイプど真ん中の旦那様。

 全てが手に入るこの機会を逃す気は無い。

 飛び退いた彼女に盾を押し出し、距離を詰めた。


 


−−−−−−−−−−−−−−−−−



「たいぎぃ能力じゃのぉ…」

 距離を詰められたら更に退く、逃げの1手に徹しながら様子を窺う。

 半球体の堅牢な盾は押しても引かず、殴れば拳が傷つく程。

 風の能力を使い煽ってみたがそれも無意味。

「じゃけんど、絶望感はないのぉ。」

 憧れのきっかけ、自分が優れ、最強だと自惚れていた中学生時代、久しぶりに会った姉に完膚無きまでに叩きのめされた。

 自信も才能も、能力も技も、全て神娘姉の前には無意味だった。

 圧倒的強さ、無能力というハンデがハンデにならない真の最強。

 そして学生時代の数々の伝説。

「神娘姉になる。」

 そう誓ったあの日の絶望感を超える体験は未だにないし、今後もない。


「神娘姉以外に負ける気はないけぇ…」

 どう潰すか、そう考える余裕がある時点で俺の勝ちじゃね。


 ニヤッと笑い義姉(仮)を見た。

 




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