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妻の謝意

「ただいまぁ〜…」

 グスグスと泣きながら1週間ぶりに帰宅した凛樹。

「凛樹お姉ちゃん…!!」

「凛樹!!」

 そんな凛樹に抱き着く氷華と涙ながらに駆け寄る光。

「ただいま…」

 その一方で気まずそうに玄関を潜った妻。

「パパ!!絶対にママに運転させないで!!」

 凛樹の涙ながらの本気の訴え。

「すまん…乱鶯…」

 車庫に入った愛車は至る所に傷が入り、変わり果てた姿で帰って来た。



−−−−−−−−−−−−−−−−−



 子どもたちを学校に送り出した後、

「乱鶯…すまん…」

 ボロボロになった愛車を前にしょんぼりとしている妻。

「いや、神娘と凛樹が無事だったからそれでいいよ…」

 そう答えた僕の顔は引き攣っていただろう。

「乱鶯…」

 潤んだ瞳で僕に抱き着く妻は、

「大好き〜!!乱鶯大好き〜!!」

 すりすりと頬と胸を擦り付ける。その姿は可愛い子どもの様だ。年齢については言及しない、したら命に関わる。

「うん…そうだね…僕も神娘が大好きだよ…」

 そうは言うが、気が気でない家族との思い出が詰まった愛車の無惨な姿。

「車の修繕費、稼いで来るから。だから、今夜は…ね?」

 上目遣いに僕を見る神娘。

「程々でね…」

 そう釘を刺すが、意気揚々と姿を消した妻は多分暴れる。

 またヒーロー協会が来るな…

 そう確信めいたものを思いながら、僕は妻を見送った。


「やっぱり、神娘が世界一可愛い…」

 惚気であるが、可愛いものは仕方ない。

 

「乱鶯!!」

 褒めろ、そう言わんばかりの大金を手に帰って来た妻と愛を育んだ。




−−−−−−−−−−−−−−−−−




「凛樹〜!久しぶり〜!マジ心配したんだけど〜!」

 登校早々、私を囲む友人たち。

「まいっちゃうよね~、でも楽しかったよ~入院生活〜。」

 そう笑顔を振り撒く私に群がる人、私が全ての中心だと思わせるその快楽も今は懐かしく感じる。

「凛樹…アンタなんか変わった?」

 嘗て血みどろの殴り合いを行った親友、加瀬(かせ)大椰(ダイヤ)は私を見てそう言った。

「変わらないよ~私は。私に合わせて世界が変わってるんじゃな〜い?」

 ヘラッと笑いそう返す。

「相変わらずの自惚れで安心したよ…」

 そう笑い拳を向ける大椰に私はグータッチを返す。


「それはそうと凛樹、お前補習らしいぞ。」

 交わしたグータッチは崩れ落ちた。

「私の至極の放課後ライフぅ〜…」

 どうやら受験生に安寧は存在しないらしい。



−−−−−−−−−−−−−−−−−



「がぁァああ!!」

 地面に顔面を押し付けられる。その手に力が更に加わり、悲鳴を上げる俺。

 高額な懸賞金の懸かった俺は名のしれたヴィラン。そんな俺の元に集まった部下たちを一瞬で無力化したソレは、現在、俺の頭部を押えている。

「あと一匹は狩らねぇとな…乱鶯に面子が立たねぇ…」

 俺の頭部を掴んだまま、上空に向かうソレ。

「見ぃつけたぁ…」

 光速を超え急降下し、俺と同じ被害者をもう1人生んだ。


「痛いっ!!死んじゃう!!本当に死んじゃう!!」

「脳が弾け飛ぶ!!弾けちゃうんです!!」

 両の手でアイアンクローを掛けられた俺ともう1人が悲鳴を上げながら引き摺られやって来たのはヒーロー協会。

「換金だ、さっさと済ませろ。」

 そう殺気全開で職員を急かすソレの威圧は俺たちヴィランを震え上がらせた。

「ごめんなさい!!もう悪いことはしません!!」

「嫌だ、死にたくない!!」

 そいつは泣き叫ぶ俺たちを持ち上げ、カウンターに叩きつける。

「よかったなぁ…ヒーロー協会が金払ってくれて。じゃなかったら潰してたよ…」

 笑いながら金を受け取ったその女。


 拘束され連行される俺たちと受付は生きた心地がしなかった。







 

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