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年の差姉妹

「ねぇ、れーちゃん、暇~、遊ぼ〜。」

 厳重な監視がついた私の病室に毎日乱入する女。

 私の憎しみの対象にして羨望の対象、百道凛樹だ。

「デバイス没収で、ママ怒らせて面会禁止でしょ〜、退屈なんだよね~。」

 私が何を起こしてしまったのか、何故あんなことを巻き起こしたのか、そんなことを気にもとめず、百道凛樹は毎日私の元に来ては、ヒーロー協会の職員に自分の病室に戻されていく。

 流石に毎日来るので、病室の入口は厳重に警備がついた。


「今日は外からいぇーい!」

 そんな警備を嘲笑う様に、窓の外に見える木々を操り、窓から侵入する百道凛樹。

「そしてドーン!」

「グェっ…」

 ベットに寝る私にダイブしてきた。

 やっぱり、こいつ嫌い…

 恨めしく彼女を見る私。

「ちっちゃいねぇ〜れーちゃんは。羨ましいなぁ〜…」

 そんな視線を無視して、私の乏しい胸を触りながら百道凛樹は私の神経を更に逆撫でする。

「大っ嫌いって言ったけど…」

 その腕を掴み、私は吐き捨てる様に言う。

「うん、知ってる〜。だからさ、仲良くなろ~。ほら、殴ってもいいよ~。」

 ヘラヘラと笑いながら、ここだ、という様に自分の頬を指す。

「それで私も殴り返せるし〜、殴り合えば友だちっしょ~、多分。」

 握った拳が引っ込んだ。

 強迫じゃん!!こんなの!!


「ごめんなさい…」

 私は怖くなりマジ泣きした。

 あのよく分からない悍ましい力も無くなり、今の私は貧弱な無能力者で、喧嘩どころか、人を叩いたことさえないフィジカル弱者。

 対する百道凛樹は、あの悍ましい泥に拳で立ち向かえる脳筋ゴリラ。

 殴られたら死んでしまう。

「なんで泣くの〜仲良くしよ〜よ〜。」

 彼女の笑みが怖かった。


「また入ってきて!!ダメって言ってるでしょうが!!」

「あ~ん、いいとこだったのにぃ~!!」

 警備にあたるヒーロー協会職員に追い出される百道凛樹。

「またね~、れーちゃん。」

 そう笑いながら私に手を振った。

「宿題終わったの?終わってないとお母さんに怒られるんだよ!!俺たちも!!」

 必死の形相で職員は彼女を病室に戻した。

「勉強やだ〜っ!!」

 百道凛樹の叫びが入院病棟に木霊した。



−−−−−−−−−−−−−−−−−



「で、オメェ、なんで居るんだよ…舞風。」

 居間で正座させた義妹に、妻は殺気を放ちながら言う。

「い、家出して来たんじゃ…」

 バツの悪そうに言う義妹に

「家出って…オメェいくつだよ…そもそも仕事はどうした、休みだって簡単に取れねぇだろうが!!」

 妻はそう説教している。

「こないだクビになったけぇ…仕事はしちょらん…俺かて頑張っちょるんよ…でも…なんでかクビになるんじゃけぇしょうがないじゃろう!!」

 それに対し目に涙を浮かべ妻を見る義妹。

「で、クビの原因は?」

「商品がめた客捕まえたんじゃ…んで、サツに突き出す時、俺ぇの胸いらいよったけぇぶん殴った…俺は悪くないんじゃ…」

「我慢しろよ、大人だろうが。」

 神娘の言葉。

「じゃあ、神娘姉も義兄ぃ以外の男に乳揉まれても手ぇ出さんの?」

「消し飛ばすに決まってんだろうが。私のおっぱいは我が子と乱鶯のもんだ。…今は乱鶯の独占だけどな。」

 チラリと僕を見てそう言う神娘。

 今夜は眠らせてもらえないらしい。


「ズルい!!なんで神娘姉はよくって俺がダメなんじゃ!!」

「そりゃあオメェ、私は人妻、オメェは独身、立場が違うだろ。」

 勝ち誇った様に言う神娘。

「神娘姉…離婚してくれんかのぉ…」

「テメェ、マジで泣かすぞ。」

 ノータイムで土下座するプライドの高い義妹。


 姉妹間の上下関係は明白だった。


「ところでさ…なんで僕のお酒全部無くなってるの…」

 台所の流しに置かれた酒瓶たち。どれもとっておきとして大切にチビチビと飲んできたものばかりだ。

「安い酒を大切にしちょる義兄ぃが哀れでのぉ…甲斐性なしが甲斐性持てる様に俺が全部飲んじゃったんよ!!神娘姉に貧乏させるなんぞ許されんけぇのぉ!!」

 べぇーと舌を出す義妹。

「舞風ぁ!!テメェ、やっぱぶん殴る!!乱鶯は私の旦那様だぞ!!」

「ごめん、神娘姉!!」

 僕に異常なまでの敵対心を持つ義妹、こんだけ説教され、怒られてもお姉ちゃん大好きっ子なのだ。


「謝んのは乱鶯にだろうが!!」

「嫌じゃ!!それは絶対嫌じゃけぇ!!」 

 泣かされても謝らない義妹。


 僕も泣きたくなった。








 

 

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