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不良娘✕2

「ヤベェ…飲み過ぎた…」

 夜の繁華街。

 そんな街の裏通り、アウトローな連中の集まるその路地裏の酒場から、ふらふらと出て来た阿賀舞風。

 ド派手な豹柄のタンクトップに短いホットパンツという煽情的な格好の彼女の手は赤く染まっていた。

「ホテル…どこだ…?」

 そんな舞風は、自分の宿泊するホテルの位置さえ分からない程泥酔していた。


 武生院と、敬愛する姉のいる東京を目指し、東へとバイクを走らせる彼女は、行く先々の街で喧嘩し、飲み潰れ、また喧嘩をするという旅路を続けていた。

「ゲボ吐きそうじゃ…」

 そんな不良娘は、もうすぐ東京という直前の街で喧嘩し、掻っ払った金でホテルをとり、飲み歩き喧嘩し、また飲み、喧嘩してを繰り返した結果、泥酔しながらホテルに向かって歩いていた。


「姉ちゃん、いくらだ?」

 そんな舞風は、声を掛けた男にアイアンクローをかまし、タバコを吹かしながら引き摺り歩く。

 そんな異様な光景に道を開ける人々の間をふらふらと歩いていく舞風。

「ヤベェ…」

 迫り上がってきたそれを彼女は押さえられなかった。

「ウッ!…オロロォォォォ!」

 男に向け吐瀉物を浴びせた。

 ドン引きする周囲など気にせず、吐きに吐き続けた。


「気持ち悪ぃ…頭痛ぇ…」

 ゲロ塗れになった男を投げ捨て、青い顔でふらふらと歩いていく舞風。

「酒…」

 そう言ってコンビニに立ち寄る彼女に、その光景に呆気にとられていた者たちは思った。


「まだ飲むのか…」

 

 ド派手な凶暴ヤンキーギャル、阿賀舞風の旅路は続く。



−−−−−−−−−−−−−−−−−



「それじゃあ、送ってくるね。神娘さん、後はお願いします。」

 僕は氷華と黒瀬香紅璃さんを車に載せ、妻にそう言った。

「私も挨拶しておきたかったのだが、仕方ない。乱鶯、失礼のない様にな。」

 氷華の頭を撫でながらそう言う神娘は、

「徹底的に潰しておくから、そっちは安心しろ。」

 僕に笑いながら言う。

 氷華を狙う組織を潰す決意をした妻の笑顔に、無言で手を合わせながら、我が子に手を出した連中を許す気は妻同様存在しない。

「「行ってくる。」」

 僕と神娘が同時にそう言った。


「消えた…」

 一瞬で姿を消した神娘に驚く黒瀬さんに、

「ママは光お兄ちゃんより速いから。」

 当たり前という風に氷華が言う。

 何も言わずに膝を抱えた彼女に氷華は抱き着く。

「ママ最強。ママは凄い。」

「怖いよぉ…」

 黒瀬さんの蚊の鳴くような声が微かに車内に響いた。



−−−−−−−−−−−−−−−−−



「よぉ…誰の娘に手ぇ出したか分かってんだよな?」

 そんな声と同時に、産廃物が積み上がった場所にある基地が消し飛んだ。

「ウチの娘に手ぇ出したんだ…テメェらに明日はねぇぞ…」

 パキッ、と拳を鳴らす音と同時に、崩壊した基地と、その周辺の産廃物が更に音を立てて崩れた。

「「「「ぅ…うァァああ!!」」」」

 基地内にいた戦闘員たちが半狂乱となりながら女に襲い掛かる。

 そんな状況で、

「邪魔クセェな。」

 地面を殴った女。

 

「世界の終わりだ…」

 世界の終わりを告げる様な大地の揺れ。襲い掛かる戦闘員たちは突如起こった地割れに巻き込まれ、呑み込まれていく。

 そんな俺に突然奔る頭部への痛み。

「捕まえたぁ…」

 鬼神の笑みを浮かべ、俺の頭部を地面に押し付け笑う美女。

 百道氷華の母親、百道神娘がそこにいた。


「ウチの娘に手ぇ出しやがって…落とし前のつけ方、分かってんだよなぁ!!」

 頭部を押さえる手に、少し力が籠る。それだけで言葉にならない悲鳴と涙が溢れ出す。

 俺の悲鳴を聞きながら、武生の鬼神娘は更に力を籠める。

「暴れ足んねぇなぁ…」

 ケケケ、と笑うその声と殺気に、俺は耐えられなかった。


「許して下さい!!なんでもします!!」

 そう泣き叫んだ。

「なんでもする…テメェそう言ったな?」

 邪悪に笑う鬼神に、俺は頷くしかなかった。







 

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