親のツケ
「なんの心配も要らんかったのぉ…」
娘と孫たちの姿に己の心配がなんの意味もなかったと分かり、途中玄関で膝を付き放心状態の光がいたが、どうせまた凛樹ちゃんに嫌われたのだろうと思い、見なかったことにして娘夫婦の家をあとにする。
「もうよろしいので?」
待機させていた車に乗ると、運転席に座る壬生がそう言う。
「ああ、もうよい。神娘はあの女の娘じゃがあの女とは違う。全て話したが何も変わらん、神娘は神娘のままじゃ。」
孫たちが帰ってくる前、神娘には全てを話した。
正直、殺される覚悟で来たが、結果はご覧の通り。生きているし、相変わらず娘からは嫌われたままだ。
「まあ、わしは碌な父親じゃなかったからのぉ…」
力と色に溺れた過去。そのツケが回って来ているのだろう。
「そもそも、わしよりも強い奴の心配しても無駄じゃということよ。」
カラカラと笑っていた。
住宅街を車が走り抜けていく。
「紅雪様、ご不在の間に阿賀院の当主から通信が御座いました。」
「碌な用じゃないじゃろ…あのババア…」
壬生の報告にそう呟く。
「すみません、今も通信が繋がっております。」
「誰がババアじゃクソジジィ!!ぶち転がすけぇのぉっ!!」
阿賀院当主、扇風の怒声が車内に響く。
「うるさいのぉ…なんの用じゃババア…」
「バカの不良娘がそっち行っちょぉ、世話頼むけぇの。…あのバカ娘、家も手伝わん、仕事もせんでふらふら悪さばかりしちょぉ、誰に似たんじゃろ?」
あまりにも一方的な連絡だった。
「お前の娘じゃろ…」
「おどれの娘じゃ!!神娘といい、舞風といいおどれの娘は不良になる遺伝子でも持っちょるんか!!」
武生と阿賀を繋ぐ娘の近況に、紅雪は頭を抱えた。
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「遅くなってしまったね…お礼も言いたいし、ちゃんと説明しないといけないから、お家まで送らせてもらえるかな?」
氷華ちゃんに抱き着かれながら、借りて来た猫の様になっている私に、彼女のお父さんがそう言った。
「あの…そんな…」
断る方がいいのか、それとも素直に好意に甘える方がいいのか、分からない。
この家には、一応ヒーローである彼に同級生兼ヒーローの百道くんの2人のヒーローがいる。本来は安心材料である筈のそれが1番のネックとなっている。
なんせ、一応我が家は世界征服を目論む秘密結社の本拠地なのだから。
多分、我が父なら平然と受け入れるし、なんなら喜んで歓迎するとは思うけど…
そもそも、本当に世界征服する気あるのかな?
どう考えてもブラックラピッズはボランティア団体としか思えないし…
問題ない気しかしないけど、そんな変な秘密結社の総帥の娘と知られるのは恥ずかしいし、いじめられるかもしれない…
どうしたらいいのか…
分からずに私は俯いていた。




