親
「黒瀬…お前…今、影から…」
何故俺の家に同級生、しかも学校1の美少女(でも俺の妹たちの方が可愛い!!)にして文武両道を地で行く黒瀬香紅璃がいるのか、そして、何故影から飛び出て来たのか、状況も経緯もさっぱり分からない。
「ぁ…ぁ…あの…その…」
蚊の鳴くよりも更に小さい、微かに聞こえる声が俯いた黒瀬から聞こえる。
「聞こえねぇんだが…」
正直な感想を伝える。
「ごめんなさい…」
小さく震える黒瀬。
「あ~!!香紅璃ちゃんいた〜!!」
階段を降りて来た宇宙1可愛い妹が震える黒瀬を見つけて嬉しそうに飛びつく。
「あ、お兄帰ってたんだ…って!!なんで香紅璃ちゃん泣いてんの!!」
え!!泣いてたの!!
「お兄…」
今まで、何度も妹から冷たい目を向けられたことはあったが、史上最高にゴミ以下の汚物を見る目を向けられた。
「り、凛樹…?」
「最っ底っ!!」
黒瀬を抱え、ダンダンと音を立てて階段を上がって行く最愛の妹。
「違う!!誤解だ!!誤解なんだ凛樹〜!!」
俺は泣きながら膝から崩れ落ちた。
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「凄く大事な子となんだ…心配かけない様に思ったのは立派だけど、氷華も岩穿もまだ子どもなんだ…僕は頼りないかもしれないけど、僕は2人の父親だし、大人だ、何も言ってくれない程辛いことはないんだ。」
珍しく、神娘ではなく僕が子どもたちを叱っていた。
まあ、叱るというよりも諭すという方が近い気もする。そもそも、僕は怒ったり叱ったりするのが苦手だ。特に子どもたちには甘くなってしまうのは自覚しているけど直せない。
でも、2人の顔を見るに、よく分かってくれていると思う。
「神娘…」
最後の締めは妻がやる。そう思い、ずっと黙って食卓の椅子に座り湯呑みを見つめていた神娘に声を掛けたが、全く反応がない。
「神娘?」
思わずもう一度声を掛ける。
パァン!という音が響き、神娘が手に握っていた湯呑みと中に入っていたお茶が消えた。
割れたり、飛び散ったというわけではなく、この世から消し去った。そういう表現が相応しい。そんな光景が一瞬で起こり、神娘はゆっくりと立ち上がる。
「岩穿…氷華…テメェらの親は誰だ?」
恐怖に震える2人の前に、仁王立ちして神娘は言う。
「ママとパパ…」
「父さんと母さんです…」
泣きながら2人がそう答える。
「テメェらに何かあって1番心配すんのは親だ。」
2人の襟を掴み、無理矢理顔を上げさせる神娘。
「心配と一緒に、死んでもテメェらを守んのが親だ。私が守ってんだ、二度と隠し事はすんな…」
力任せに2人を抱き締める神娘。
その胸でワンワンと泣きじゃくる2人の子。
そんな2人の頭を撫でながら、神娘は悔しそうに顔を歪めていた。
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移動した先々の夜の街で、
「よう、そこの色っぽい姉ちゃん、俺と遊ぼうぜ。」
そんな風に寄ってくる男を狩り続ける赤髪の美女。
そんな噂は瞬く間に広がり、
「テメェか!!シマアラシの赤女って奴は!!」
「誰が赤女じゃ!!ぶち殺しちゃるけぇの!!」
行く先々でその地域を束ねる組の者たちと抗争になる赤女こと、阿賀舞風。
彼女の家出旅、その旅路は赤く染まっていく。




