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阿賀の不良娘

「ヤバッ!!めっちゃ可愛い!!」

 私に抱き着く凛樹ちゃん。

 氷華ちゃんのお姉ちゃんで私よりも歳下らしいのだが…

 ギャル怖い…

 陰キャを極めた私には恐怖でしかなく、小さく震えながら彼女の抱きまくらとして無の境地を目指している。

「氷華の友達ヤバイ!!」

 語彙力の乏しい彼女に怯えながら、何故か私は百道家のソファに腰を下ろしていた。


−−−−


「ウチの娘がご迷惑をおかけ致しました!!」

 そんな風に頭を下げたのは、氷華ちゃんのお母さん、百道神娘さん。

 その時点で凄く帰りたくなったのだけど、続く氷華による私の紹介で、私は有頂天になってしまった。

「香紅璃お姉ちゃん。氷華を助けてくれたお友達…」

 お母さんに怒られると思い、怯えながらも氷華ちゃんがそう言った。

 お友達…私のお友達!?

 友達いない歴=年齢の私に、初めて友達が出来た!!

 思わず両の目頭を抑える私。

「氷華に友達…」

 それは神娘さんも同じだった。

 

 10歳近く歳下の初めての友達。それでいいのか私…と思う余裕もなく、有頂天な私は氷華ちゃんに導かれるまま百道家にお邪魔し、ギャルに絡まれ震えていた。




−−−−−−−−−−−−−−−−−



「俺の言う事が聞けねぇのか!!」

 そんな声に慌てふためく男たち。

 人の寄り付かない深夜の廃工場、そこを根城にする不良グループはとんでもない客を招いてしまったことに酷く後悔していた。


 思い返せば数時間前、溜り場の1つであるコンビニでこいつを見つけたのが始まりだった。


「おい、あの女…」

 グループの1人が、コンビニの駐車場でバイクの隣で不機嫌そうにタバコを吹かす女を見つけたことがきっかけだった。

 ここいらでは見ない赤髪の美女。眼つきは悪いがピチピチのライダースーツから浮き上がる躰の曲線は男を魅了するには十二分で、俺たちはニヤつきながら声を掛けた。

 そう、掛けてしまった。


「お姉さん、何してんの〜?」

 ヘラヘラと近づいた仲間に、女はただでさえ悪い眼つきを更に鋭くして俺たちを見た。

「なんじゃぁ、われ。」

 ここで気付くべきだった。こいつが普通の女ではないことに。

 しかし、近付いて見れば見るほど魅力的な肢体と顔立ちに、俺たちは目先のエロスだけを求め判断を誤った。

「暇なら俺たちと遊ばない?酒もタバコも…もっと楽しいもんもあるぜ?」

 そんな軽口にニヤリと笑う美女。


 美女を俺たちの根城まで誘導したまではよかった。

 

「ほらほら、飲んで飲んで!!」

 数十人の男たちで囲みながら彼女に酒を飲む様に煽る。

 そんな酒を水を飲むよりも容易く飲み干しながらタバコを吹かす女は、

「足りねぇなぁ…おい、タバコ切れたけぇ買って来い!!」

 酒のおかわりを要求しながら俺たちをパシリに遣おうとする。

 こいつ、自分の置かれた立場分かってんのか?

 そんなことを思い仲間と目で合図をした。

「調子乗ってんじゃねぇよクソ女、テメェの立場分かってんのか?」

 そう言ってグループで1番ガタイの良い男が女を羽交締めにする。

「まずはそのデケェ乳からだなぁ…」

 仲間たちが女を剥こうと近付く。


「みやすいやっちゃのぉ…ぶち転がしちゃる。」

 女がそう呟くと同時に、羽交締めしていた男が地面に叩きつけられていた。

「酒も入ってええ感じじゃ…金ものうてぶちムカついとったんじゃ!!」

 一迅の風が起こり、俺たちは泣いて命乞いをするまで殴られた。

「ガソリン代と宿泊代、あと飯代に酒代…タバコ代で勘弁してやるけぇ。俺優しいじゃろ。」

 俺たちの財布を全部奪い、中から現金を抜き取る女は、

「んで、わりゃなにしとんじゃ?這いつくばっとらんとさっき言っとった酒とタバコ買ってきぃや!!」

 そう怒鳴る。


 俺たちの地獄の夜が始めった。

 底無しに酒を飲み、暴れる女の奴隷として生きた心地のしない夜を過ごした。

「寝る。手ぇ出したらぶっ殺すけぇの。」

 そう言って眠った女に手を出す勇気を持てる者は既にいなくなっていた。








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