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人が怖い少女と人に興味がない幼女

「あのガキャァ…」

 神娘の背中に鬼神が浮かんだ。


 掃除をしていた神娘が、凛樹の部屋に入って数十秒後、我が家を殺気が覆う。

 只事ではない。そう思い僕は普段は入ると怒られる、神娘のいる凛樹の部屋に向かった。

「神娘!!」

 そんな僕の声に、神娘は机の上に置かれた何かを見て殺気を放っていた。

「あのガキャァ…」

 殺気で背中に鬼神を浮かばせる神娘。

 凛樹…泣いても許してもらえないかもしれないよ…

 愛娘の悲惨な未来を想像し、なんだか泣きたくなった。


 …しかし、部屋汚いな!! 

 久しぶりに入った長女の部屋は、物が散乱していた。

 そういえば、昔から片付けが苦手だったなぁ…

 そんな幼い頃の凛樹の可愛い思い出に耽り、僕は現実逃避していた。




−−−−−−−−−−−−−−−−−



「んで…いつまでいんだよ?クソジジィ…」

 わしが来たことで不機嫌だったのに、凛樹ちゃんがやらかしたことで不機嫌どころか怒髪天を衝く勢いで殺気を漏らす我が娘。

「実の父をそう邪険に扱うでないぞ、バカ娘。お前がどんなに否定しようと、わしがお前の父親で、お前がわしの娘であるのは変わらんのじゃから。」

「死にてぇのか?クソジジィ…」

 音も空気も無くなった様な圧力。武神の異名をとったわしが押し潰され、呼吸するのさえ苦しく感じる程の殺気。

「テメェが孫を可愛がるのは別にいい…」

 神娘はわしの胸倉を掴む。

「私の父親面するのは許せねぇ…母様を殺したクソジジィが!!」

 神也は知らない、神娘と神也は母親が違うことを。

 しかし、娘は知ってしまった。故にグレた。

 神娘の母、最初の妻の命のを絶ったことに、後悔も罪の意識も無い。

 アレは生きていてはいけないものだった。

 しかし、神娘にとっては良い母親だった。


「わしは碌な父親ではなかった…じゃが、お前も真実と向き合う時が来たんじゃよ…」

 神娘がわしを少し受け入れたあの時に、真実を伝える決意をした。 


 神娘に宿る血と、それを狙い、迫る魔の手について…



−−−−−−−−−−−−−−−−−



「お姉ちゃんありがとう。」

 水色のランドセルを背負った白い幼女が私にお礼を言う。

 透き通る様な色白の肌に肩まで伸びた真っ白な髪。無に近い表情に青白く光の宿らぬ瞳。国籍不明な見た目だけど十人中十人が振り返る程、物凄く可愛い。

 じゃあ、さっきの人たちは誘拐犯ということなのかな…

 そんなことを思いながら、白い幼女の目を見て…


「生きててごめんなさい…」

 目を背けた。

 対人能力に大きな✕がついている私には、無垢な幼女の瞳はダメージが大き過ぎる。

「お姉ちゃん?」

 俯く私を、不思議そうに覗き込む幼女。

「見、見ないで下さい…」

 昼間メイトリクスさんに言われた言葉が頭の中で駆け巡る。

『アンタ、なんでそんなに自信ないのよ?』

 自信…

 何故自信が持てないんだろう…

 ブラックラピッズの存在が知られることが怖い…それが1番の原因だと思う。

 幼稚舎に通っていた頃から、秘密結社の次期総帥なんて知られたらいじめられる。そんな恐怖がずっと私の中にあった。

 誰とも関わらなければ、知られない。

 そう思い事務的な話し方をするようになった小学生時代。

 そんな風に心を閉し他人の求める黒瀬香紅璃という人間を演じた中学生時代。

 でも、ずっと私は友達が欲しかった。

 なんでも話せて、受け入れてくれる友達が…


 中学3年の終わりがけ、都立英雄高校の合格が決まった頃、私はふと思った。

 勉強も運動も、求める以上を達成する為に頑張り、常に1番だった。1番以外許されないと思っていた。

 だから数々の記録を残した。

 でも、誰との記憶がない。

 ずっと1人ぼっち。

 ああ、私って空っぽなんだ…

 そう自覚した時、凄く他人が怖くなった。

 あの人も、あの人たちも、きっと私を演ずる私しか見えていない。本当の私を見せようともしなかったから。

 私は泣き虫で弱虫だ。ビビりだしヘタレだし、目立つのは1番苦手で、なにより、誰かに甘えたかった。


 それ以降、人の目が見れなくなった。

 みんなが怖くて、それでも、誰かに本当の私を知って欲しかった。


 それがまさか幼女相手になるとは思ってなかったけど…


 私は何故か、わんわんと泣きじゃくりながら、白い幼女に心の内をぶち撒けていた。  

「氷華も友達いないよ。」

 彼女は、そう言って私を受け止めてくれた。

 

 






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