シリアスと思ったらギャグ
「れーちゃん〜待って〜。」
私を放課後追いかけてくる百道凛樹。
無視して歩いていたが、根本的な身体能力と歩幅が違い過ぎて、全力で走っても簡単に追いつかれた。
「も~!!なんで逃げんの〜?」
そう言って私の肩を横からがっしりと掴む。
それを払おうとするけど、一層強く抱かれる。
「ねぇ?なんで話してくれないの?」
敵意も邪心もない、純粋無垢な瞳で私を見る百道。
「別に…話してるじゃん…今も…」
そう嫌悪感丸出しで答える。
「違う!!なんで避けるの!?」
本気の問い。
「私、れーちゃんに嫌なことした?だったら謝るよ!!お願い、教えて!!」
本気でこいつは私と仲良くしたいらしい。
そういうのが大っ嫌いだ。
「じゃあ教えてあげる…嫌い。大っ嫌い!!アンタみたいななんでも持ってて人の気持ちなんか無視して、それでも許されて…特別な癖に私みたいなのに優しくして…アンタなんか大っ嫌い!!二度と話しかけんな!!大っ嫌いだぁっ!!」
言いながら私は泣いていた。
嫌いだ…大っ嫌いだ。
どうせ私は陰気臭いぼっちだ。明日からいじめるならいじめろよ…
そう思って涙でボヤける目を上げ、百道を睨んだ。
「…なんで…なんでお前が泣いてんだよ!!巫山戯んな!!」
百道は泣いていた。
あの太陽の様に輝く彼女とは思えない程、本気で泣いていた。
「ごめん…ごめんなさい…」
泣きじゃくる百道になんて声を掛けるのか分からず…
「ザマァ見ろ!!誰からも好かれるとか自惚れんじゃねぇよ!!ダセェ!!嫌われる気持ちはどうだよっ!!」
弱った彼女を罵った。
これ程後悔することは今後ないと思う。
「言ってやった…言ってやったんだ…あの百道凛樹に!!」
そう呟きながら足早に自宅へと向う。
自室に駆け込み、声を殺して笑う。
「ザマァ見ろ!!泣いてた!!もっと苦しめよ!!バカ女!!」
枕に顔を埋め笑う。しかし、そんな優越感も一瞬で終わる。
「みっともない…最低だ…私…」
百道凛樹は誰に対しても平等に接する。それが私であっても。
彼女から私への悪意はない。もっとも、考えなしのバカ女だから、2次被害に遭うことはあったけど…
結局は全部嫉妬。
みっともないし情けない…
そんな自己嫌悪に急激に襲われる。
「あぁ~…」
そう悶えながらも、防衛本能が働く。
悪くない…私は悪くない…
悪いのはあのバカ…全部百道凛樹のせいだ!!
「良い依代を見つけた…」
そう呟く影に私は呑み込まれた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−
怒られるのも、陰で悪口言われるのも…根も葉も無い噂を流されるのも日常茶飯だし、慣れている。
「マジヘコむわ〜…」
でも、あんな風に面と向かって嫌われるのは初めてだった。
なんなら、想像以上のショックに思わず泣いてしまった。
「明日からどんな顔すればいいんだろ…」
とりあえず、赤くなった目元を隠そう。
泣いたなんて誰にも知られたくない。
ママ程じゃないけど、私は兄弟で1番負けず嫌いだ。
私は可愛い。
嫉妬も妬みも、嫌がらせもいっぱいあった。
でも、絶対にそれに負けなかった。
いつだって、なんともないって顔で笑って、勝ってきた。
だからもう泣かない。
嫌われるの痛みも分かった。
次は泣かない。
いつだって笑顔。
それが私だから涙は見せない。
そう誓って玄関を開けた。
「宿題忘れてんじゃねぇよ!!バカ娘ぇ!!」
玄関開けて2秒後、私は誓いを破って泣きじゃくった。
「ママごめん!!許して〜!!」
ガチ切れのママの殺気にマジ泣きした。




