白い幼女と黒のお嬢様
「恥ずかしい…」
留学生のクリスティン・メイトリクスさん。レインボークリスのヒーローネームで世界的に活躍する人気者の彼女は、早速みんなの憧れの的で、すぐに彼女の周りに人だかりが出来ていた。
羨ましいなぁ…
そんなことを思いながら読みかけだった小説を読み始めた。
本当はあの輪に入りたい。
でも、みんな私に遠慮がちに接するし、きっと私はみんなにとって扱い辛い同級生なんだと思う。
人と目を合わせられないし、家族以外とはまともに話せない。
そんな弱い自分が嫌で、自宅以外では無表情を貫く様に努めているけど、いつかボロが出そうでずっと怯えていた。
そんな私は、クリスティンさんに呼び出された。
カツアゲだと思った私は、とりあえず謝りながら財布を差し出したが、それが彼女の逆鱗に触れてしまった。
凄く怒られた。
怖くて思わず泣いてしまった。
もしかしたら友達になれるかも…そんな思いは消し飛んでいた。
「なんで上手くいかないのかな…」
父の教育方針で、みんなと同じ様に送迎を使わずに徒歩と電車で通学する私は、1人ぼっちで駅まで歩いていた。
「友達ってどうやったら出来るのかな…」
小さな溜息と共にそう呟く。
トボトボと歩く私は、下ばかり向いていて横から飛び出して来た白い幼女に気付かなかった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−
「痛い…」
今度は凍らせない様に、そう思って変なおじさんたちから逃げていたら、路地裏を跳び出たところで誰かにぶつかって尻もちをついた。
「今だ!!押さえ付けろ!!」
そんなおじさんたちの声と迫る手。
もう怒られたくないのに…
でも仕方ないから全部凍らせよう。
そう思った。
「ダメッ!!」
おじさんたちの影がおじさんたちを見事に一本背負いしていた。
「大丈夫?立てる?」
ママに少し似ているお姉ちゃんが私を抱き起こしながらそう言った。
「大丈夫だよ。」
そう答える。
「逃げるよ!!」
私の手をとってお姉ちゃんが走り出す。
凄く速かった。
近くの公園まで駆け込んだ私たち。
「怪我してない!?ごめんね、前向いてなくって…その、大丈夫だからね…私怪しい人じゃない…です…ええっと…ごめんなさい…お金今これしか持ってないです…」
どんどん声が小さくなり、泣き出しそうになるお姉ちゃん。
ママに少し似ているのにママと全然違う。
「怪我してないよ。氷華もぶつかってごめんなさい。」
お姉ちゃんが謝るのでとりあえず謝った。
「ごめんなさい…生きててごめんなさい…」
何故かお姉ちゃんは地面を見ながら謝り続けていた。
「もう逃がさねぇからな…」
ハァーハァーと息を切らしながら再び現れたおじさんたち。
「一回我慢したからもういいよね?」
面倒くさかったので全部凍らせた。
「えっ?…えっ!?…あれぇ!?」
お姉ちゃんが凄く戸惑っていた。
「また君か…次は無いって今朝言ったよね!!」
お巡りさんとヒーローにまた怒られる。
「あのっ!!この子は被害者です…その…私が悪いんです…」
最初以外蚊の鳴くような声でお姉ちゃんがそうお巡りさんたちに言う。
「君が悪いって言うけどねぇ…って!!黒瀬のお嬢さん!?」
お姉ちゃんを見たお巡りさんが驚いた様子で言った。
「はい…黒瀬です…ごめんなさい…」
何故かお姉ちゃんは何も悪くないのに謝っていた。
「黒瀬のお嬢様が悪いなんて有り得ないですよ。なんせ、あの黒瀬グループの御令嬢なんですから!!」
そして何故か力説する別のお巡りさんたち。黒瀬グループってなんだろう?家に帰ったらパパに聞いてみよう。
「この子は悪くないです…全部私が悪いんです…私がぶつからなかったらこの子は自力で逃げれてたのに…全部私が悪いんです…」
なんか可哀想になる程沈んでいるお姉ちゃん。
「お姉ちゃん悪くないよ。氷華守ってくれたもん。」
居た堪れずにそう言う。
「いいえ…全部私が悪いんです…」
そんなやり取りを続けていた。
「流石黒瀬のお嬢様だ…」
「子どもを庇う為に全てを背負うなんて…」
何故か泣き出すお巡りさんたち。
悪いのは変なおじさんたちだと思う。
「黒瀬のお嬢様に免じて今回は許すけど、本当に次はないからね!!」
何故か私は怒られた。
「さっさとしょっ引くぞ!!」
そう言って氷漬けにした変なおじさんたちを輸送車に乗せていくお巡りさんたち。
逮捕するってことは、その人たちが悪い人だということと思う。なのに何故か私が怒られた。
「大人ってズルい…」
私は去って行くパトカーと輸送車にそう呟いた。




