それぞれの生活
「もう次はないからね!!」
お巡りさんとヒーローに厳重注意を受けた翌日、私はもう氷漬けにしまいと決意をして登校した。
お気に入りの水色のランドセルを背負うのも久しぶりに感じる連休明け初日。
意気揚々と通学路を歩く私は、知らないおじさんと変な人たちに囲まれていた。
「百道氷華ちゃんだね?少しおじさんとお話しようか。」
ジリッ、と一歩近付くおじさん。
私はお巡りさんに教わった通りに防犯ブザーを鳴らした。
ピヨピヨと鳴り響く防犯ブザー。
「クソっ!!無警戒のポンコツじゃなかったのかよ!!」
なんか凄くバカにされた気がする…
「ってか、なんでお前が1番驚いてんだ!!」
思っていたよりも大きな音がなったことに、私が1番驚いていた。
「こうなったらしょうがねぇ…力ずくでも連れて行くぜ!!」
おじさんと変な人たちが私に襲い掛かった。
「またやっちゃった…」
結局全員氷漬けにしてしまった。
「また怒られる…」
しょんぼりと項垂れる私の耳にパトカーのサイレン音が聞こえた。
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「クリスティンちゃんと香紅璃様、何を話しているのかしら…」
「でも、あの2人が話している姿って絵になるよね。」
そんなことを話す女子たちを背に、男子たちは殺気立っていた。
「光く〜ん…なんでクリスティンちゃんと仲良くしてるのかな~?」
「変態シスコン野郎だから見逃してたけど、もう容赦しないぜ~。」
嫉妬に駆られた男子たちに光は囲まれていた。
「あのバカ女とか、こっちから願い下げだボケェ!!」
そう無実を叫ぶ光だが、
「なに俺あいつのこと知ってますアピールしてんだよ!!裁判長!!」
価値観がギャルゲーな男たちは止まらないどころか、更に拍車をかけることになってしまう。
「有罪!!」
裁判長と呼ばれた生徒がそう高らかに宣言する。
「巫山戯んな!!てか、裁判長が梵嚢とかおかしいだろうが!!」
裁判長こと都立英雄高校能力科2年、梵嚢磨綛。妄想話をさせれば彼の右に出る者はいないとされる2学年最強のエロ男子で、好きなものはエロいもの。嫌いなものは他人の幸福という、徹底した男である。
「テメェ、家に来た時凛樹の下着盗んだことバラすぞ!!」
光の叫び。
「う〜ん…やっぱ死刑で。」
目を背けて言う梵嚢。
しかし、裁判長の指示に従う者はいなかった。
「マジ最低…」
冷ややかな…いや、ゴミ以下の何かを見る目でこちらを見る女子たちに気付いたからだ。
「盗ってない!!マジで盗ってないから!!」
慌てる梵嚢。
「「「全部こいつが勝手にやったことです!!」」」
さっきまで意気揚々と光を裁いていた男たちは一斉に梵嚢の単独犯行だと宣言する。
「裏切り者ぉーーーっ!!」
こうして、誰も得しないモテない男たちの裁判は集結した。
「てか、百道も酷いよね。いくらシスコンといっても、クリスティンちゃん置いて行ったんでしょ…」
光にもしっかりとダメージを与えて。
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「で、なんでいんだよクソジジィ!!」
連休明け、突然来訪した義父、武生紅雪に娘である神娘がそう不機嫌に言う。
「神娘、お前が言ったではないか。『お前が来い』とな。」
そう笑う紅雪に、強烈な神娘のアイアンクローがキまり、
「アダダッ!!割れる!!頭蓋骨が割れるぅ!!」
義父の悲鳴が上がる。
「昨日の今日で来るバカがいるか?あぁっ!!ナメんじゃねぇぞクソジジィ!!」
ギリギリと頭を締め付ける力を上げていく神娘。…これ以上はいけない!!
「神娘さん!!」
咄嗟に妻の名を呼ぶ。
「チッ!!」
僕の言葉に、不満そうだが義父(の頭部)を掴む手を離した。
「マジで死ぬかと思ったわい…不良娘。」
義父はそう言いながら頭部を擦り、
「拷問は話し聞いてからにしよう…マジで…」
本気のトーンで言った。
本当に死にそうなレベルで締め付けてたんだ…
我が妻ながら恐ろしい…
「で、マジな話しなんじゃが…」
軽い感じで言う義父。
「神也が結婚するかも。」
マジかぁ…
「正直、止めた方がいいと思います…」
「アレはダメだろ…」
僕と神娘の意見が一致した。
だって、相手ってアレだよね…
散々食い荒らし、我が家の家計を圧迫した破天荒アメリカンヒーローガール、レインボークリスことクリスティン・メイトリクス。そのお付として来ていた変な人。アイギス・シュバリエ。
正直、良い印象が無かった。
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「さあ、神也さん!!責任をとってもらいましょうか!!」
昨夜、勝手に僕の寝室に忍び込んだ人がそんなことを言っている。
「ごめん、僕、被害者だよね…」
僕は、姉さんとはまた違う変な女に目を付けられた。
僕の周りの女性(主に姉さん)は、変なのばっかりだ!!




