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もう駄目かもしれない妹

「やはり桁違い…」

 武生神娘の戦い(一方的虐殺)を見ていた私、アイギス・シュバリエは、彼女への評価を更に上方修正する。

 そして、上方修正した結果、彼女は最強のヒーローも最強のヴィランも超越した何かという評価になる。


 …勝てるわけがない。

 それが導き出された答えだった。

 仮に元世界一位のヒーローであるワンマンコマンドーであっても。

 雇用主であり、嘗ては彼の相棒(サイドキック)であった私、彼の強さを知る私。彼は間違いなく最強のヒーローだったが、そんな彼が100人集まっても勝てるか分からない相手、それが彼女だと生物の本能的に悟った。


「諦めてくれるかしら…」

 溜息混じりに呟く私。

 武生神娘に御執心の雇用主を危険に晒さず、どう説得するかともう1つが私の課題となっていた。


「アイギス…お腹空いた…」

「その辺の草でも食ってろ!!」

 もう1つは、この底無しの胃袋を持つ雇用主のバカ娘の対処… 




−−−−−−−−−−−−−−−−−



 小学校…首相も輩出した超エリート一家に生まれ俺にとって、下らない時間を過ごす場所であった。

 そんな小学校も、進学に特化した学校への受験をすることさえ許されず、庶民が通う学校に強制的に入学させられた不満しかない。

 

 そんな不満しかない入学式。

 真っ白な透き通る髪を靡かせ、キラキラと雪の結晶の様な粒子を振り撒く女の子が、俺の隣に座る。

 百道(ももち)氷華。俺、百鬼(ももき)金房(かねふさ)の出席番号の1つ後ろの女の子だった。

 退屈な校長や来賓の挨拶を聞く俺の肩に重みが加わると同時に、甘い香りが鼻孔を擽る。

「…ぅん…」

 俺の肩にもたれ掛かり、微かな寝息を立てるその女の子。

 入学式で居眠りする肝の座り方に言葉を失ったのもそうだが、なにより、その可愛らしい寝顔に思わず見惚れていた。

 

 可愛い…

 いやいや、俺は超エリート一家、百鬼の長男だぞ!!こんな庶民なんて…

 巻き起こる葛藤と戦っているうちに、入学式は終わった。

 それから、同じクラスとなった百道氷華を隙あらば見ていた。

 誰とも群れず、1人でいる彼女は、ミステリアスで誰よりも美しく思えた。



−−−−−−−−−−−−−−−−−

 


「氷華、宿題は終わった?」

 モフ白と名付けられたペット(仮)にお説教される姉を見ない振りをしながら、妹にそう問う。

「終わった。モフ白のおかげ。」

 そう言ってムフーッとやり切った感を出して言う氷華。

「うん、ペットは友達じゃないけど、良く出来てるんじゃないかな…」

 妹の将来が心配になってくる。

 イジメられてはいない様だけど、このままで大丈夫なのだろうか…

 友達がいないし、欲しいとも思わない妹が心配で仕方ない。

 もし、氷華がイジメられたりしたら、大変なことになるのは確定だ。

 次世代のトップヒーロー候補である、シスコンの兄ちゃん()を筆頭に、武生院のじいちゃんや弟子たちが暴れ出すのは確定で、状況次第では、母さんが怒る。

 そうなれば最悪だ。

 そういう最悪の事態を想定し、僕は氷華に問うた。


「気になる子とかいない?」

「いない。」

 そうノータイムで答える妹。

「…いつか、氷華の心を溶かす人がいればいいね…」

 光兄さんに聞かれたら烈火の如く怒るだろうけど、僕は、妹に家以外の世界を知って欲しいと思う。


「ママよりも強い人なら気になる…」

 そんなことを言った妹。

 ああ、もうこの妹は駄目かもしれない…

 そう思った大型連休の日だった。




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