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将来の不安

 よそ行きの顔でアルティメイターに接する我が妻、神娘。

 ご近所さんや家庭訪問に来た先生方に接する時と同じ、本当の家庭内での姿とは異なる振る舞いを見せる神娘。

 その声色も、表情も、言葉遣いも、正しく家を出たオカンの正しい対応なのだ。…返り血に塗れてなければ。

 変色が漸く始まった鮮血に塗れ、そう振る舞う神娘は余りにも猟奇的で恐ろしく見えるだろう。(実際滅茶苦茶恐ろしい)

 そんな神娘と普通に接するアルティメイター。流石No.1ヒーローだと、頷きながら神娘に濡らしたタオルを持って行く。

 愛する妻を何時までも血塗れにしておくわけにはいかないからだ。



−−−−−−−−−−−−−−−−−



 血に塗れてもなお美しさを保つ美女。そんな彼女に濡れタオルを差し出す男。

 こいつが彼女の夫か…

 比較的顔は整っているが、年相応に老け、冴えないおっさんという印象しかない。

 彼についても調べている。

 百道乱鶯、ヒーローとしては先輩になるが、ランク付けすれば、俺とは月とスッポン程異なる底辺ヒーロー『プディングマン』実績も活躍も皆無で、殆ど引退したのと同じ存在で、本業は小さなプリン屋の店主。

 甲斐性もなさそうな冴えない男がこんな美人を妻にしているのに、国内No.1ヒーローであり、そこそこ裕福な俺には妻どころか、彼女さえいないのだろう…

 なんだか、泣きたくなってきた…


「どうか息子をお願い致します。」

 そう返り血を拭い終え、頭を下げる百道神娘は、僅かに顔を上げ、ニッコリと笑う。四十路手前とは思えぬ老化を知らぬ彼女の美貌とスタイルに、見惚れていた俺。

 しかし、内蔵が全て握り締められた様な感覚に一瞬襲われた。

 それは、彼女が放った一瞬の殺気。

「まだ残ってたか…」

 俺の真横を突き抜ける謎のビーム。

 それを放った彼女の呟き。

 背後で聞こえるヴィランの悲鳴。

 

 綺麗な薔薇には棘がある。

 そんな言葉があるが、触れる前に消し炭にする花は彼女くらいではないのだろうか?


 もし、そうでないのなら、俺は一生1人でいいや。

 


−−−−−−−−−−−−−−−−−



「モフ白最高〜!!」

 凛樹ちゃんから渡されたデバイス。そこから出される問題に全て解答し終えた後、そう言って僕に抱き着く彼女。

「モフ白のおかげで宿題も終わったし、遊び放題〜!!」

 ハイテンションで僕を撫でる凛樹ちゃん。

「宿題は自分でしようよ…」

 撫でられながら、僕はそう呟く。

「細かいことは気にしないの!!」

 そう言って僕を更に撫でくり回す凛樹ちゃん。

 そんな彼女に少し不安を抱きながら、デバイスを触る。

「これは…」

 学校から送られてくる成績表が表情された。

「っ!!ちょっと!!それ見ちゃ駄目!!」

 慌てた様子で僕によじ登る凛樹ちゃん。その反動で僕の指が思わずデバイスに触れてしまった。


「いや…その…これは…」

 バツの悪そうに僕の背中から言う凛樹ちゃん。

「これは…酷い…」

 そこに表情されたデータに、僕は言葉を失う。

「赤点しかない…」

 そう、合格点に届いている科目がゼロに近いのだ。

「ほ、保健体育と家庭科は赤点じゃないし…」

 吹けない口笛を吹きながら言う彼女。

「しかも、赤点者の補習に出席する様に連絡まで来てる…」

 日時はこの連休中。つまり、彼女は補習をサボっているということだ。

「このおバカ!!」

 思わず僕は命の恩人を怒鳴っていた。


「バ、バカじゃねーしっ!!」

 そう顔を赤くしながら叫ぶ命の恩人の将来が少し不安になった。




 

   

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