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固いプリンが好きな人だっている

 返り血に塗れた少女に僕はプリンを運ぶ。

「お、お待たせしました…」

 その時あったのは、恐怖のみ。

 1人でトップヒーローもトップヴィランも蹴散らす怪物。

 そんな怪物の機嫌を損ねない様に。そんな思いしかなかった。


 プリンを運び終わり、急いでバックヤードに引っ込んだ僕は、ガシャン!!という破壊音に腰が抜けた。

 なにか不手際があり、あの少女を怒らせたのか…

 そんな恐怖に怯えながら、バックヤードから店内を覗く。


「千代田の悪魔がプリンなんか食ってやがるぜ!!」

 金属バットに鉄パイプ、バールのようなもの…武装した不良集団が扉やガラスを破壊し、店内に乗り込んでいた。

「喧嘩がしたいなら、呼べばいい…逃げはせん。しかし、店に迷惑を掛けるな。」

 スプーンをゆっくりとテーブルに置き、そう呟く様に言う少女。

「とりあえず、死なない程度に痛めつけてやる。」

 放たれた殺気は、バックヤードにいた僕でさえ意識を失う程のものだった。


 『千代田の悪魔』そんな異名を持つお嬢様学校の不良少女。

 武生神娘は、この地域の不良全てと、たった1人で日夜抗争を繰り広げる、桁違いの不良少女だった。

 不良の世界に現れ1年。

 語られる伝説は数知れず。グッと力を込めただけで人工島を沈めたとか、パンチ一発で100人を病院送りにしたとか、信じられないものばかりだ。

 そんな不良少女、武生神娘は襲撃した不良集団を殺気を放つだけでKOし、プリンを食べていた。


 不良集団の襲撃時に店長が通報していたようで、けたたましいサイレン音と共に、警察とヒーローが到着した。

 倒れた不良集団を確保する警官たちを意にも返さず、プリンを掬う少女。

「ご同行を…」

 そう近寄った警官が泡を吹いて倒れた。

「お嬢さん…」 

 そう呟いたヒーローも脂汗を流している。

「襲われた。故に気を放っただけだけだ。」

 放たれた殺気…誰も手出し出来ない聖域に警官もヒーローも慌てて退散した。

 国家権力を持ってしても未知数の怪物。そんな少女は、

 

「プリンが柔い…」

 

 そう呟いた。

「お前の出番だ。」

 そう背中を押した店長。

 今でも感謝してる恩人だが、同時にそれが後に独立する理由だった。  


「固さ…変えましょうか?」

 これが僕と神娘の最初の会話だった。



−−−−−−−−−−−−−−−−−



「モフモフ…!!」

 遊び終えた氷華が白い怪獣に抱き着く。

「そういえば、アンタ名前は?」

 白い怪獣にそう訊ねる。

「名前…名前か分からないけど、ずっと怪獣846号って呼ばれてた。」

 氷華と戯れながら、幸せそうに言うそいつが、どうしても私には悪い存在とは思えなかった。







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