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武神紅雪

「こんな所になんの用があるのよ?」

 不満を隠さずにそう言う私。

 導かれるままにやって来た住宅街。

 そんな家々が立ち並ぶ中、一軒の店の前で車が止まる。

「何ここ?『百道のプリン』?」

 既にシャッターの降りたそこに掲げられた看板。更に不満が高まる。

「ここに、貴女の留学した意味があります。」

 そんな私に、父の秘書は淡々と言う。

 意味が分からないままの私には目もくれず、シャッター脇のインターホンを秘書が鳴らした。


 暫くすると、ガシャガシャという音と共にシャッターが上がる。

「すみませーん。もう閉店なんですけど?」

 膝まで伸びた艷やかな黒髪に端正な顔立ち。スラッと伸びた手脚に巨大ともいえる大きな胸にキュッと引き締まった腰回り、形の良いおしり。

「武生神娘…」

 飛行機の中で見せられた資料の女がそこにいた。

 

 

「なんでプリン店…?」

 それ程の存在が何故プリン店にいるのか、私には分からなかった。



−−−−−−−−−−−−−−−−−



「ほほっ…まだまだ甘いのぉ~。」

 能力を駆使し、光速で何度も攻撃を繰り返すが、それを最小限の動きだけで躱す祖父、紅雪。

 武神の異名は伊達ではないということが分かる。

「ほれ、動きが遅くなっとるぞ。」

 一瞬、ほんの僅か俺の身体に触れた。それだけで体制が崩れ、地面に叩きつけられる。

 武術の基本にして全て、円の動き。その極地にある武神の技を前に、俺は為す術もなかった。


「光の能力は凄い…能力だけで大抵の相手には勝てると思う。でも、能力頼りの戦い方では限界があるのは分かっただろ。」

 祖父と模擬戦を行い、軽くあしらわれた俺に、叔父はそう言う。

 叔父の言う通り、如何に能力を駆使しようと祖父にあしらわれるだけだった。

「よく分かったよ…じいちゃんが母ちゃんの父ちゃんだってな…」

 あの母の父が祖父なのだ。強くないわけがない。

「姉さんのせいで感覚がおかしくなるけど、武生院ってかなり強いんだよ…」

 叔父が溜息を吐く。

 苦労してるんだな…

「偶には基礎を固めるのもいいんじゃないか?」

 そう言う叔父と行う鍛錬は、想像以上に過酷だった。


 過酷な鍛錬の中、俺は思った。

 なんやかんやいっても、この人は母ちゃんの弟。

「まだメニューの半分も終わってないよ?」

 殺気を放ちながら言う姿に、やっぱり姉弟なのだと理解した。



−−−−−−−−−−−−−−−−−



「氷華は可愛いのぉ〜。」

 可愛い孫を膝に乗せて飲む酒。これだけで10年寿命が伸びた気がする。

 蝶よ花よと甘やかして育てた可愛い娘は、グレにグレ、今だに反抗期は終わっていない。父娘関係は不仲だが、そんなもの関係なく、孫は可愛い。凄く可愛い。

 そんな孫たちも年を重ね、徐々に爺離れが始まり、光に凛樹、岩穿もドライになってきた中で、

「おじいちゃん。」

 とちょこちょこと愛らしく寄ってくる氷華はとびっきり可愛い。

 可愛いのだが…


 膝の上に座る可愛い氷華が儂を見上げて言う。

「おじいちゃん、友だちってなに?」

 可愛い孫の将来が少し不安になる。






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