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やっぱりウチの嫁が一番可愛い

「ちゃんといい子にして、宿題もちゃんとやるんだよ。」

 子どもたちを武生院に預け、夫婦で帰宅する前に、僕は不安になって泣き出した氷華の頭を撫でながら言う。


「クソジジィでは不安なのだろう、子どもたちは一緒に帰った方がいい。」

「預ける約束じゃバカ娘。」

 妻と義父はお互いに殺気を放ちながらそう近付く。

「孫との貴重な時間…奪われるわけにはいかんのぉ…」

 更に殺気を強める義父。

「テメェこそ、家族の時間を奪ってんじゃねぇよ、クソジジィ!!」

 神娘も殺気を強める。


 決着は一瞬だった。


 最初に動いたのは義父。それに対し、神娘は動かなかった。

 いや、動いていない様に見えただけだった。

「ごめん、マジごめん!!痛い!!死んじゃう!!」

 義父にアイアンクローを決めた神娘の姿があった。

「孫に会いてぇなら、次からはテメェが来いや。クソジジィ…」

 痛みに悶える義父にアイアンクローを掛けたまま、そう神娘は言う。

 

「…行ってもよいのか?」

 痛みに悶えながらも、そう問う義父。

 その問いに神娘は答えずに手を放し、

「乱鶯、さっさと車を出せ!!開店に間に合わなくなるだろうが!!急げ!!」

 そう怒鳴って助手席に駆け込む。

「パパ、私たちがいないからって、羽目を外し過ぎないでよ~。」

 ニヤニヤと言う凛樹が僕の背を押す。

「ママのご機嫌とりよろしくね~。」

 

「さっさと出せ!!」

 運転席に乗り込んだ僕に神娘が怒鳴る。

「本当にいいの?」

「出せと言ったら出せ!!」

 そう問う僕に神娘は再度怒鳴る。

 走り出した車、車内からミラー越しに見送る子どもたちを見る。

「迎えに来る時は、義父さんも一緒に乗ってもらおうね?」

 助手席で真っ赤な顔をした神娘にそう言う。

「お前がそうしたいのなら仕方あるまい…私はお前の妻なのだから…」

 長い反抗期を僅かだが抜け出した妻。


「今日の神娘は一段と可愛い。」

「今そういうことを言うな!!」

 更に顔を赤くした妻が怒鳴る。

 結婚前、付き合い始めた頃を思い出した。



−−−−−−−−−−−−−−−−−



 ヒーローといえばこの国。というのが私の祖国。

 そんなヒーローの本場であり、世界最高のヒーローと、世界最悪のヴィランたちが日夜戦いを繰り広げるこの国で、既に引退した前No.1、世界一位のヒーローだった、ワンマンコマンドーの娘として産まれた私。

 そんな私も次期世界一と期待されたヒーロー候補生。

 既に候補生でありながら、数多の凶悪ヴィランを撃退した実績がある。

 そんな私は、ヒーロー協会と父に、留学することを勝手に決められ、ご機嫌斜めのままプライベートジェット乗っていた。


「比較的治安のいい国のヒーローに学ぶことがあるの?この私が!!」

 これから1年、祖国を離れ、低レベルなヒーローが多い国で学ぶ。納得出来なかった。

「ヒーローのレベルも、ヴィランのレベルも低いのは間違いありません。しかし、本物の世界一位…いえ、史上最強が存在する場所でもあります。」

 そんな私に、付き従う父の秘書が書類を渡たしながら言う。

 それに目を通した私は、資料を後ろに放り投げた。


「呆れるのを通り越して、笑いそうになったわ。」

 巫山戯た内容に、怒りで頬が震える。

「もう私は子どもじゃない。コミックやアニメと、現実は違うことくらい分かるわよ!!こんな嘘に納得するとでも思われていることが腹立たしいわ!!」

 資料に書かれていたことが本当なら、『まるでコミック』と称された、世界一位のヒーロー、最強だった父が霞むどころか、ヒーローの存在意義に関わる。

 子どもの頃に夢見た、無敵のヒーロー。誰よりも強く、絶対に強い。そんなコミックやアニメの世界だけで許される存在は現実にはいないし、なれないと分かっている。


 怒りを顕にした私に、用意していた様にどこかに連絡をとった後、私に向かって言う。

「では、その目で確かめ、納得して頂くしかありませんね。」

 秘書の言葉に、苛立ちと同時に更に苛立った。




 


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