女の子はいつまでも女の子
「言いなさい!!『ブラックラピッズ』ってなによ!!」
グワングワンと黒瀬の肩を揺らすと、
「だから!!財布出すな!!カツアゲじゃないっての!!」
泣きながら財布を差し出す黒瀬に怒鳴る。
「泣くな!!あと、せめてなんか言いなさいよ!!…ってか、『ブラックラピッズ』って『黒瀬』じゃない!!安直か!!」
なんか独り相撲になって悲しくなってきた。
「で、結局『ブラックラピッズ』ってなんなのよ…」
疲れた。なんかどうでもよくなってきた。
そんな私を見て、黒瀬は暫く葛藤し、口を開いた。
「詳しいことはホームページをご覧下さい…」
「ごめん、待って…ホームページあるの!?秘密結社なのに!?」
嘘だと思いながらデバイスで検索する。
「マジで出てきた…」
隠す気のない秘密結社…母国では考えられない状況に頭が痛くなる。
とりあえずホームページを開く。
「ご丁寧にSNSのリンク迄貼られてる…」
一通り目を通す。
分かったことは…
「慈善団体じゃない!!」
『秘密結社ブラックラピッズ』の活動を見る限り、悪事とは真逆、完全な慈善活動。しかも完全に無償で活動しており、下手な慈善団体よりもクリーンなのだ。
「ややこしい名前付けんな!!」
「文句はお父さんに言って下さい…」
黒瀬は悲哀の表情を浮かべ蚊の鳴く様な声でそう返す。
「あぁ!!もう!!もっとハキハキ喋りなさい!!」
思わず叱った。
「だから泣くな!!」
もうヤダこいつ…なんだ私、こいつをライバル認定したんだろう…
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「従業員への気配りは完璧なのに、相変わらず娘にはデリカシーが無いわね。」
愛娘、香紅璃の右ストレートが直撃した頬を擦る僕を妻は笑いながらそういう。
「だって、香紅璃は別に太ってないし、今のままでも可愛い過ぎるくらいだろう…」
思ったままを伝えただけなのに…そう返す。
「女が女の子である限り、体重も見た目も、どんなに褒められたって気にするのよ。そのへんって、本当男には分からない世界なの。」
そういう妻。
「じゃあ、香那永にもそんな時期があったのか…知らずに怒らせてたんだな…」
妻の言葉を聞き、付き合っていた頃や結婚したての頃の、己の言動を振り返り申し訳ない気持ちになる。
「…今も気にしてんですけど?」
妻はまだ女の子だったらしい。
いらぬ地雷を踏み抜いた私は、両頬を腫らし出勤することになった。
女の子って難しい。
そう思う40代男の朝だった。




