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結婚式は愛の確認

「神娘…」

 小さな盃に注がれた酒を口に運んだ純白のドレス姿の妻。

「乱鶯…」

 トロンとした目、ほのかに紅潮した顔はただでさえ整い過ぎた美貌に色気を足していた。

「僕は幸せだよ。」

 神娘はこの日初めて酒を口にした。

 酒を飲める年齢になった頃は妊娠していたし、その後も授乳期やなんやで酒を飲む機会はなかったし避けていた。

 そんな妻の初めての飲酒(お猪口一杯以下の量)に、初めて一緒に飲めた幸せを感じ僕は盃を煽った。

 この幸福が、最悪の悲劇になるとは知らずに。


「ヒック…」

 数秒後、真っ赤な顔になりしゃっくりをした神娘。目の焦点も定まっていない。完全に酔っ払っている。

「神娘!?大丈夫?」

 恐ろしく強い彼女がこんな風になることが想像出来ていなかった。

 最強だから酒くらいなんてことはないだろう。そんな思い込みを後悔する。

「らいじょぶ…にゃんかきもちぃ…あとあちゅい…」

 ぽぉ、としながら呂律の回らない舌で言う神娘。

 微かに口に含んだだけでこれ…

 絶対に飲ませたらダメな人だ。

「ちょっと神娘、本当にヤバい!!水、水飲んで!!」

 慌てて端に置かれたグラスを手に取る。

 このあたりで神娘の異変に来場者も気付き、会場がザワつき始めた。

「アハ、りゃんおうが3人いる…」

 ケラケラと笑いながら、グデェと机に頭を置いた神娘は水の入ったグラスを床に落とした。

 溢れる水と共に、グラスが割れた音が響いた。


「敵襲か?」

 グデングデンになった神娘はそんな素っ頓狂なことを言い、

「結婚式の邪魔すんなぁ!!」

 神娘は拳を床に叩き込んだ。

 その一発は、式場を地獄に変えた。

 そんな地獄に皆が泣き叫ぶ中、神娘は僕を抱えウエディングドレスのまま駆け出した。

「ドラマみたいだにゃ、りゃんおう。」

 へべれけな神娘はそんなことを言った。

「ドラマなんかよりも刺激的だよ、神娘との生活は…」

 そう、神娘と生きるということは毎日がドラマよりも刺激的で、破壊的で、本当に退屈する暇がない。

 神娘という女性を知ってしまって以降、彼女以上の刺激はないし、彼女以上に恐ろしいものもない。

「大好きだ…愛してるよ神娘。」

 でも、僕にとってこの世で授かる幸運の全てがそれであったとしても良いと思える程に、神娘が好きだった。

「私の方が愛してる。」

 それ言った神娘は、ウエディングドレスのままホテルに入った。






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