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under 500 Ⅱ

ごめん、さようなら、そして生たまご

「ごめん、さようなら」


その言葉が、心に貼り付く。


はじめてだった。


男性との、さようならの類いのものは。


さらっとは、していなかった。


はじめから、どろっとした関係だった。




冷蔵庫に向かう。


扉をあける。


卵を二個出す。


深めの皿を用意して、卵をテーブルに打ち付ける。


こんなものでは、モヤモヤする気持ちは晴れない。


殻の鋭い割れ口が、黄身に刺さり、うすい黄色が流れ出す。


小さな殻が、3かけらくらい一緒に入ってしまった。


ツイていない。


余計にモヤモヤが増えた。


でも、これからが本番だ。


殻を慎重に取り出し、フォークを手に取った。


そして、豪快にかき混ぜた。


落ち着く。



混ざっていく過程。


皿と箸のぶつかる音のハーモニー。


暴れるように、クチュクチュ鳴る卵たち。


そのすべてが、落ち着きに向かわせてくれた。


私は、まとわりつく未練にこう言った。


「ごめん、さようなら」

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