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転生者宣誓!  作者: 生丸八光
3/3

何だか大変

「俺は死んでたのか・・・」


ガッカリする俺・・・案内人は優しく微笑むと


「お前さんの意識と身体が一体になった時・・光を目指せば生き返っていたんじゃ・・・なぜ、暗闇の方へ行った?普通、光の方へ行くじゃろ!」


俺は、なぜ闇の方へ行ったのか考えたが、分からなかった・・

「ちゃんと教えてくれれば良かったんじゃねぇ?」


「バカもん!本能で光を目指すんじゃよ!生きとし生ける者は皆、光を目指して生きるんじゃ!そこが光の届かぬ闇の中でも光を探し求めて生きる。植物だってそうじゃぞ!なのに、お前は光に背を向け闇に向かって歩いて行った。自分から生きる事を放棄したんじゃよ!」


「そんな事知らねぇよ!・・・あんた案内人だろ!ちゃんと案内しなかったから死んだんだ!あんたが俺を見殺しにしたんじゃねぇのか!どうなんだよ!」


「ワシの役目は転生先を決め、案内するだけじゃ!」


そう言うと老人は、胸元からスマホを取り出し

「お前さんの来世は何にするかな・・・」

(つぶや)いていた・・俺はそれを見て


「もしかして!転生先はスマホで、あんたの好き勝手で決めるのか?」


「そうじゃよ!便利な世の中になって助かっとる。昔は台帳を広げて大忙しじゃったが、今は、指先でチョチョイのチョイじゃ!」


老人は笑顔で(こた)えると

「よしっ!お前さんの転生先が決まったぞい!ネズミィーランドの「ちょっ!ちょっとまった!」」


俺は老人の話を(さえぎ)


「まさか!俺をネズミの6番目にする気じゃねぇだろうな!」


「おっ!よく分かったな!」

「だぁ~っ!駄目だ!俺ネズミになりたくねぇ!」


そして俺は、瞬時に(さと)った!


今が人生で一番大事な時だと!俺は両手を地面に付け、頭を(こす)り付けると

「お願いします!どうか来世は、頭がよくてイケメン、お金持ちの家に!」


土下座して頼み込む!

横で見ていた石井と寺田も()かさず土下座して

「俺達もお願いします!」

頼み込んでいた・・・


老人は3人に顔を上げるように言うと

「いいか、よく聞くんじゃ!来世がどうなろうと一生懸命頑張るだけじゃ!例えゴキブリに生まれ変わってもな!」


「そんな事言わずに!金本見たいにお願いします」


石井がお願いすると老人は

「あの男は特別じゃ・・・前世で多くの(とく)()んでいてな、常に、いい身分を与えておる・・(たし)か、前回は総理大臣になっておったな・・」


「俺だって、いい身分に生まれたら幸せに暮らして、たくさんの徳を積んで見せます!どうか、お願いします!」

頭を下げる石井・・・老人は溜め息を付くと


「お前さんの前世はハエじゃった。その前はコオロギにバッタじゃったが、幸せな一生を送っていたぞい」


『へっ?俺の前世・・・虫ばっかなの・・』


石井は、人間に転生出来るだけ良かったと思う事にした・・が、寺田は


「俺の来世は何でネズミな理由(わけ)?」

聞きたくなっていた・・・


()いている所で決めたんじゃよ!」

「じゃあ!俺の(おこな)いが悪かったって訳じゃないんだ・・」

「まぁ、そうじゃな・・」


寺田は、転生とは死んだ時に空いている命に入るだけ、そう言うモンかと思った・・が、俺は


「今、いい身分で空いている所ってあるの?」

聞いてみた・・


「いい身分で空いている所か・・・」


老人はスマホをスワイプしながら・・・


「政治家の息子に医者の息子・・一流企業の御曹司ってのもあるが・・・」


「じゃあ!俺を一流企業の御曹司にしてくれよ。()いてるならいいだろ」

「それは無理じゃな・・もっと徳を積まねば・・」

「俺の徳ってヤツは、どれだけあんの?」


「お前さんの徳は、マイナスじゃな・・」

「はぁ?マイナス・・だから俺はネズミなのか!」

「まぁ・・そんな(ところ)かのぅ・・」


「で、その徳って何?」

「徳とは、仁・義・礼・智・信の事じゃよ」

「その徳がないと、いい身分になれねぇの?」

「そんな事はないが、徳を積んだモノには優先的にいい身分を与えておる!お前さんでも異世界なら色々あるが、異世界は()れておるから、お(すす)めせんだけじゃ!」


「ちなみに、どんな奴?」

「そうじゃのぅ・・」


老人はスマホを見て・・

「・・王子に最強の剣士の長男。超凄い魔法使いの子供もあれば、魔王の息子ってのもあるが・・」


「それって、俺でもなれるの?」

「なりたいなら、なれるが・・」

と老人が(こた)えると、すかさず石井が

「俺を王子にしてください!」

頭を下げ、寺田は

「俺は、超凄い魔法使いの子供で!」

と頼み込んでいた。


俺は、最強の剣士の長男か魔王の息子のどっちにするか考え・・


「魔王の息子でお願いします!」


そう言うと、石井と寺田がビックリした顔で俺を見る!


「お前、バカか!魔王の息子になってどうすんだ!(あく)を得るんじゃない徳だぞ!剣士にしとけ!剣士に!」

石井がそう言うと寺田も

「そうだぞ!魔王の息子になっても徳を積めない!小森!よく考えろ!」


「最強の剣士の長男でお願いします・・」


土下座する3人に老人は

「異世界で生き抜くのは大変じゃぞ!」

「俺達、頑張って徳を積んで来ます!」

3人は声を(そろ)(こた)えると、老人は

「お前達の徳を積みたいと言う意気込みを忘れぬように、記憶を残したまま転生させてやる・・」

そう言うと、辺りがパッと明るくなった・・


(あら)に大勢の人が並んでいるのが見える・・・


案内人の老人が地面に転生(りん)を出現させると


「お前達3人で宣誓をして、飛び込むんじゃ!」

と言って姿を消した・・・


俺達は声を揃え

「宣誓!我々、転生者一同は・・」


3人で宣誓を終えると、石井と寺田は笑顔で来世へと旅立って行った。が、俺は飛び込みながら、最強の剣士の長男って厳しく育てられ死ぬほど鍛えられそうで、何だか大変そうだなぁ・・と気が重くなっていた・・・



(終わり)




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