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明晰夢  作者: じぇっと
9/9

第九話 疑心

3年9組

そこにはこの世界を創り出した張本人が横たわっていた。

そう、

アレの寸前で・・・。

どうすれば・・・。

ふじたには申し訳ないが、一度、この場所から離れた。



アレは治せるのか?



たかつは医療に関しては全く分からない、もちろんあきよしも知らない。



「こんなに死にたがり、発狂して血文字を書く病気なんかどこの医者も分かるわけないな…」



たかつは開き直ったように言い放った。



たかつは自分で出来ることは一通りした、あきよしが思い付いた事は全てやっていた。



「後は時間だけが解決してくれるしか俺は分からない。」



あきよしはただたかつの言葉を聞くことしか出来なかった。



歯がゆい…。



しかしどうすることも出来ない。



《急がないと》



急にかみやの言葉を思い出した。



そうだ、



ここで立ち止まってはいられない。



「情報交換しないか?」



あきよしは他の糸口を見つけるため話題を変えた。



「知らないのか?」



たかつは不思議に思いながら返答した。



「何が?」



あきよしは全く意味が分からなかった。



「血文字ができる、人が発狂し、

自殺するのはこの世界で起きた自分だけの情報を他人に教えるとなってしまうんだ。」



!!



知らなかった…









なら、かみやは…!



「それは違う!」



たかつの言葉に我に返った。



「俺もそれを聞いたとき、死んでいった人たちは俺が殺したんだと思っていた。

でも違うんだ、託したんだよ。

なかやまの死んでいった人はよろしく頼むと言ってなかったか?」





言っていた…



《とやまに申し訳ないと伝えてくれないか?》



しかしアレは自分が名前を教えたら…



って事はたかつにも名前が…!



「たかつは名前は覚えてるのか?」




「あ、ああ。」



少し曖昧な返事をした。



「俺は知っている。ここを出れる資格がある人間。」




資格?



この世界から?



出れる?



「で…出れるのか?」


あきよしは動揺を隠せずにいた。



「出れる!俺は選ばれた人間!」



たかつはその時、雰囲気が違った。

今までたかつとは別人に見えた。




「なんで解ったんだ?」



「…、何となく…、

その死んだ人からそんな事を聞いたんだ。」



嘘をついた。



2度目の嘘。



今回は前のゆいとは違い少し疑いがある嘘だった。



たかつは何かを隠している…



まだこれははっきりとはしていないが、何かが引っ掛かる。



あきよしの本能がそうさせたのか、

これまでの勘が嘘をつくという指示を出した。



「そうか…、」



たかつはあきよしの反応を見て元のたかつに戻った感じがした。



(伺っている?)



あきよしはそう感じた、しかし今は最初に会った時の『たかつ』に戻っていた。



「思ったんだが、学校内をもう一度調べてみないか?

ふじたはこの世界で目が覚めたと言っていた。

ならここにアレを治す方法があるんじゃないか?」



確かに。



むやみに他の場所に行ってゆいを追いかけた時みたく他の場所に行ってしまったら元も子もない。



しかしさっきのたかつの態度…、



信頼していいのか?



まだはっきり解らないがこれも何かの企みを…



いや、今はダメだ。



疑っていては全てを疑ってしまう。



今は[疑 ]より[信 ]を優先だ。



確かにたかつは嘘を言っていない。



少しの事ならば大丈夫。



深い自分自身の事を話すとアレが起きてしまう。



その境界線が解れば…

その為にも協力…。





「俺も調べるよ。

この学校…!

たかつはここの卒業生とかか?」



忘れていた事を思い出した。



あきよしはずっと会う人、聞く人の名字に違和感を感じていた。



もしかしたらみんな知り合いなのでは?



そう考え始めたのもかみやの言葉だ。



なぜ俺の昔のあだ名を…。



『かみや』珍しくない、『とがり』も珍しくない、たかつはあまり聞かないがあ

きよしはどこかで聞いた感じがしていた。



「思い出せない…。

すまん。

でもふじたはさすがにここの卒業生なんじゃないかな?」



そう、ふじたは絶対にここの卒業生だ。



じゃなきゃなぜこの世界を作ったんだ?




「なかやまもここの卒業生なのか?」



「あぁ、しかしふじたは知り合いじゃないと思う。」



「思う?

顔を見ても思い出さないのか?」



「あぁ、見た感じ同年代ぐらいに見えるのだが思い出せない。」



しかし、なぜ思い出せないんだ…、



謎はまだまだ多すぎる。



「そう言えばふじたの叫び声がなくなったな…」



さっきまで本校まで聞こえてた叫び。

聞かないフリをしていたがたかつと話していたらいつの間にか聞こえなくなっていた。



「30分ぐらいで治まるんだ。なぜか人を見るとアレがおきるんだ。」



たかつはあまり言いたくない感じではあったが教えてくれた。



再び静かな空間が広がった。



「しかしどこを探せば…

たかつはまだ調べてない場所はあるのか?」


「ああ、…一つだけ」


その返答からして何となくあきよしは察した。



「ふじたの今いる教室は調べる前にふじたがアレになってしまい…、

あの中で5分もいたら今度こそ狂ってしまいそうだ…」



たかつは震えていた。



まだたかつもアレが克服したわけではなかった…




「……俺が行って調べてくるよ」



たかつはあきよしを見ず軽くうなずくだけだった。







「すまない…」



この言葉だけを残して。



ひゃっほ~!!

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