第七話 学校
あの惨劇を目の当たりにした中山は心の中にある恐怖に犯されていた。
それを知らないゆいは苛立ちを隠せずに鏡の向こうへと先に行ってしまった。
追いかける中山。
たどり着いたのは学校であった。
「どうして?」
「野原に着くんじゃ…」
あきよしは混乱していた。
そしてすぐにゆいの事を思い出した。
「ゆい~!」
返事がない。
(ここにはいないのか?あの鏡はランダムに行く場所を決めているんじゃ…)
そしてもう一つ重大な事に気がついた。
「ここは…知ってる。」
はっきりと分かる場所に来てしまった。
中学校。
運動場、体育館、どれも一致している。
ただ違和感があるとするなら、校外は何もない真っ白い空間になっていた。
(なんで自分が知っている場所に…)
薄々感じている事は、ここで誰かに出会うなら知り合いの可能性が高いと言う事。
『かみや』が言っていた。
《その人が望んでいる場所が作り出される》
ここを作り出したのは誰なのか?
同年代とは限らない。けど、仲のいい人なら協力できるはず。
しかし…
協力…
協力したカミヤは…
…
…、
「さて」
あきよしは校舎へと向かった。
前の遊園地と違いここの地形は頭にインプットされている。
(まずは、ここに何か手掛かりがないかを調べないと、
あと、ゆいもまだいるかもしれない。)
ガチャ
「ドアは開いているか…」
「ゆい~!」
返事はなくあきよしの声がこだました。
知ってる場所とはいえ、ゆいがいないだけでこれほど心細くなるとは思わなかった。
「また会ったら謝らなきゃな…」
いつの間にか1年3組にいた。
(昔から変わっていない…)
もう何年前になるのだろうか、でもそれが昨日の様に思える。
「ここには何もないな…」
「みんなどうしてるんだろう?」
「みんなにこんな事を話しても誰も信じてはくれないだろうな」
あきよしは言葉に出しながら少し懐かしい気分に浸っていた。
「ここも何もないか。」
2年、3年の教室を調べたが何もなかった。
(けど、3年の教室は昔の場所と違うな。俺の教室は別館だったしな。)
あきよしは当時そうだった3年9組の教室に向かった。
ガチャガチャ
(開かない。)
本館から別館に行く通りだけ鍵がかかっていた。
おかしい…
なんでここだけ鍵がかかっているんだろうか…
疑問に思いながらも職員室に鍵を探しに行った。
人の気配が全くない。
遊園地にはあれだけ乗り物の音がしながらも2、3度気配を感じた。
この中学校にはこれだこ静かなのに足音、
それだけでなく何も音がなく気配がない。
風すらないな…
職員室について鍵を探したが見当たらなかった。
「しょうがない。壊すか。」
扉の窓を割れば入れるがあまり乗り気ではなかった。
だがこんな所で立ち止まっていられない。
近くの教室からイスを持ち出し扉へと向かった。
!
音がした。
微かな音。
…、
(あの扉の奥!)
急いで窓を割り扉を開けた。
「な…なんだ…これ…」
別館とのつなぐ渡り廊下に足を踏み入れた瞬間、
今までいた中学校とは一変しも、重い、重い、
生暖かい空気が奥の扉から感じる。
誰かがいる。
だが間違いなく『危険』が待っているのはこの空気からひしひしと感じる。
しかし、前に進まなくては…
あきよしはうなずき別館へつながる扉のドアノブへ手をかけた。
開けようとした瞬間
「開けるな!!」
後ろから大きな声が聞こえた。
急に声がし、あきよしは振り向くと同時に開けてしまった。
男性…
第一印象は腕っぷしがある男
(こいつがこの中学校を…)
「お前は誰だ!」
あきよしは名前を聞こうとしたら先に質問をされた。
「俺はなかやま、君は?」
一瞬男性は硬直したがすぐに話始めた。
「俺は『たかつ』
いつここに来たんだ?ちょっと前まで俺と《アイツ》しかいなかったのに」
(アイツ?)
「俺は1時間前にここに着いたんだ。所でゆいって女の子見かけなかった?」
たかつは少し考え
「いや、見ていない。それよりそこから離れるんだ!」
急に大声を上げた。
なんで?と言おうしたが、たかつの目が本当に危ない、『危険』を物語っていた。
あきよしは、従い扉から離れた。
「なぜあの扉を開けてはいけないんた?」
少し落ち着きあきよしがたかつに質問した。
「中に《アイツ》がいるんだ。アイツが…」
「アイツ?」
ありがとね~