第五話 現実
僕とゆいの前に現れた男性、
かみや。
僕よりも長くここでさまよっているらしい。
いろんな情報を聞こうとするが何かを隠している。
いったい何なんだ?
そこで自分は名前を知っていると言ったら、
かみやは硬直した。
これにはいったいどういう意味があるのか・・・。
「本…当…なのか?」
「ああ」
「じゃあ君は… !!」
(なぜそんなに驚いているんだ?ゆいの時にはそんな素振りはなかったのに…)
あきよしは自分の名前を言おうとした時、かみやが先に話始めた
「そうか…、なら話は別だ。急がないと、
ここも、もう『危ない』な…」
とがりと言う男と同じ事を言っている。
「すまないが話す前に1つお願いがあるんだが聞いてくれないか?」
「内容によるが…」
かみやはうなずき話始めた
「元の世界に『とやま』と言う女性がいるんだがその女性に戻れなくて
本当に申し訳ないと伝えてくれないかい?幸せだったと…。」
「自分で伝えればもっと喜ぶんじゃ…」
それを聞いてかみやは少し苦笑いをした。
「分かったよ。でも出来る限り自分でそういう事は言って欲しいがね」
久しぶりに笑った。
(かみやなら心強い仲間になれそうだ)と
あきよしはこの話が終わったら一緒に行こうと考えていた。
そう考えている内にかみやは話始めた。
「今から僕が話せる所までこの世界の現実を教えるよ。」
「あと、これだけは先に言っておくよ、今から起きる現実は、君のせいじゃない。」
「あ、ああ…」
(何を言ってるんだ?)
疑問に思う間も与えずかみやは話始めた。
「この世界は夢と現実の狭間にある。なぜここに居るのかは自分も分からないんた。
ただ、自分が行きたかった場所がこの世界に生まれるんだ。
自分は、とやまといつか遊園地に行きたかった。
だから、目が覚めたら遊園地にいた。
だから中山君も目が覚めた場所は自分が望んで呼び出した場所なんだ。」
「あの場所が望んでいた場所?」
疑問を口にしたが、
かみやはまるで聞いてなかったのように急いでまた話始めた。
「そしてその世界は一度だけではなく何回か行っているはずだ。
あ、
僕は現実に一回、夢で2回ここに来たことがある。
あ、
だからまずその世界が何なのか?を思い出すんだ。
あっ、
自分の世界は何もないと思うが情報は必ずある。
あっ、
一度戻って確認した方がいい。
あっ、
なるべく早く
あっ、
あっ、
」
所々、かみやは嘔吐の前兆みたいな動作を[あっ、]と声を出しながら我慢していた。
(な…何だ? 様子が…変だ!)
あきよしは不気味、いや、恐怖すら感じた。しかし、かみやはひたすら話した。
何かを急かし、怯えるように…
「急いでくれ!
あっ、
あっ、
この世界には『バク』がいる!
あっ、
あっ、
そいつが自分の場所を食べに来たらもう
あっ、
この世界から出れなく あっ、 なる!
あっ、
それまでに
あっ、
血文字を探せ!
あっ、
あれは
あっ!
真実だけが
あっ!
書かれている!
あっ!」
かみやの視点が合わなくなりはじめた。
「それと…
あっ!
気をつけろ…
あっ!」
そう言って、先ほどまで視点が合わなかったかみやの目の標準が
あきよしの顔からゆいに目線を移した。
あきよしはどういう意味なのかを聞こうと…
「どういう意…」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁ!!!」
かみや白目になり発狂すると同時に突如かみやはポケットからナイフを取り出した!
(こっちに襲ってくる!)
あきよしはゆいをかばいながら身を構えた。
しかし、
それは、
違った…
ナイフをかみや自らの腹部に刺したのだ。
何度も何度も…、
狂った様に叫び、笑いながら…
¨バタッ¨と後ろで音がし、ゆいは気を失った。
あきよしは止めようとしたが、目の前の現実に体が恐怖し、動かなかった…、
そしてかみやは狂った様にそのおびただしく流れ出す血を、
自分の手で地面に文字を書き始めた。
ミタメニダマサレルナ
ミタメニダマサレルナ
バクハオノレノココロデヘンカスル
オノレノガオノレヲミツメナオセ
サスレバ
バクノキモチサズカラン
文字を書き終わると同時にかみやは倒れた。
かみやは痙攣していたが、徐々に動かなくなっていった。
口だけが動いた。
「あっ…きー…、……」
な…
ん…
で…
俺のあだ名を…
…痙攣が治まった
その代わり、もうかみやは動く事はなかった
ただあきよしを見ながら…
…
…
…
うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
読んでくれた人参球!