第二話 血文字
ある日突然あきよしは目が覚めると草原にいた。
ここはどこなんだ?
いったいどうしてオレはここにいるんだ?
全てが謎に包まれる中、一人の少女と出会う。
名前はゆい。
それはオレがつけた名前。
名前も思い出せない少女と旅が始まる。
もう何時間歩いたのであろうか。
...、
...、
同じ景色をずっと歩いてる様な気がする。
[ゆい]という記憶がない少女とこの不思議な野原を探索しようと歩いているの
だが、だだっ広い野原を、あきよしの視界一面に広がる。
「ゆい、疲れたか?」
流石に子どもだから疲れてると思いゆいに気を使うと、
「わたしは平気、なぜだか疲れないの」
確かに…
自分も何時間歩いているのに関わらず息一つ上がらない。
体力には少し自信はあるが流石におかしい…
そんな事よりも何かここが分かる建物とかないのか…
途方に暮れていると
先程までは何もなかったのに気がつくと遠くの方に銅像らしき物が見える。
「何かあるよ!」
ゆいも気付いたのか何かの手がかりがあったと思いハシャイでいる。
「とりあえず行ってみよう。」
二人は若干駆け足でその銅像らしき物へと向かって行った。
近くに寄ってみると、銅像ではなく、巨大な岩にまだ塗り立ての赤い文字がつづ
ってある。
[バクノ
キモチヲ
ジブンノバショデ
ツカエ
ソシタラナラバ
ナガイタビハ
オワル]
ん?
な...、なんだこれは…、
一体誰が書いたんだ?
バク?
キモチ?
ジブンノバショ?
タビガオワル…
いまいち分からない。とりあえず手がかりには代わりがない。
何かメモれる物は…、
そういえば、ポケットにちょっとした違和感が…
自分のポケットに手を突っ込む。
「携帯…」
思わぬ物が出てきた。
前までは携帯なんかポケットに入っていなかった…
気味が悪い…
しかし、自分の携帯であることは間違いない。
(電波は…やっぱり圏外か…)
とりあえず携帯のカメラで岩の文字を撮ろう
撮り終わって他を探索しようとしたらゆいが、
「このペンキなんか変」
ペンキ?
確かに普通のペンキならもっと濃いはず、薄くでもしたのか…
と思いあきよしはペンキらしい物を触り確かめる。
(いや違う!これは…血だ!)
「血だ…」
思わず口に出てしまいハッとしたが既に遅く、ゆいの顔が青ざめていた。
何故だか分からない、血で書いた事なんてないのに分かってしまった。
しばらく沈黙が続き、ゆいが先に口を開いた。
「ここはもうやだ…、早く他の場所へ行きましょ」
少女には重すぎる、自分でもかなり気分が悪くなる。
「そうだね、ごめん」
なんとなく謝り他の場所へ行こうとすると
「岩の後ろに扉があるよ!」
ゆいが驚きながらあきよしに指を指しながら教えた。
扉…
洞窟へとつながっているのか?
流石に先ほどの血文字を見る限り危険は考えた方がいい。
でもなぜだかこの場所が何なのか?どうして自分がここにいるのかが知りたいと
いう衝動に刈られ、足が勝手に進み、扉のノブに手を掛けていた。
鍵はかかってなさそうだ。
「帰らなくていいの?」
扉を開けようとした時、突然、ゆいがあきよしに話しかけた。
(いきなり何なんだ?俺はここが何なのか確かめたい。)
「懐かしい…と言えばいいのかな?ここは1回、いや、2、3回来たことがある
んだ。でも何故か思い出せないんだ。あと少しなんだ。あと少しで思い出せるん
だ。」
と、あきよしはゆいに思いを伝えた。
「そう…、分かったわ。行きましょ!」
ゆいもようやく行く気が出たみたいだ。
でも、なんかさっきのゆいは感じが違った。なんかこう、別の人みたいな感じだ
った。
(なんだろう?
[急に帰らなくていいの?]なんて言い出してくるなんて。流石に怖いのかな?
)
なにか引っ掛かりながらも行きたい気持ちが勝り、その理不尽な会話を考えずに
再度ドアノブに手を掛け扉を開けた。
今思えばどうしてあの時あの話の意味を考えなかったのだろう。
空はより一層雲に多いかぶさった。
見てくれた人、産休!!!!