公衆電話
スピーカーの向こうで言い争っているのが聞こえる。
「エルム君!さっきのって先生の声じゃない?」
「ご主人様、これは一体」
皆んなで近づいて来た。空からいきなり降って来て、しかも声が流れたら気になるよね。
「これはね、『公衆電話』って言ってね、遠くの人と話す事ができる道具なんだ。危なく無いよ」
この道具の説明をする。
「はぁ〜、今の時代にはこんなもんがあんのか。って、こっちの嬢ちゃんは知らないみたいだな。って事はこりゃぁ古代遺物か!?」
「ご主人様、先程お話しされていた方とは差し支えなければどの様な関係なのか教えて頂きたいのですが。ご主人様の事を孫と言っていた様に聞こえたのですが声は随分若いご様子で」
「うん。僕のお爺ちゃんだよ」
「エルム君のお爺ちゃん?お爺ちゃんって、あのお爺ちゃん?」
どのお爺ちゃんだろう?
ガルドさんとリュートさんは安全だと分かったら公衆電話を調べまくっている。
『え〜〜〜!!僕のせいなの!?エルムごめーん!!』
その突然の声に近くにいた二人がビクッとなった。
『全くだ!!お前が下手に刺激したせいで貧民街でも死傷者が出たのだぞ!』
『ああクロエ、それは大丈夫。僕も流石にそこまで馬鹿じゃない。怪我人は治療中だし、重症な者は仮死状態にしてあるだけだよ。陰ながらエルムの安全を確保したいっていってもその他を危険に晒すんじゃエルムは嫌がるし、それこそ本末転倒だよ』
『あたしもさっき戻って知ったんだけどよ。てっきりお師様がなんかやったもんだと思って言わなかったんだが誰も死んでねぇ。クリスの奴、突然起き上がった奴らを見てたまげたらしいぞ。傷負う前よりピンピンしてんじゃねぇか?』
『なんと……』
電話の向こうの会話に驚いた。それと同時に村での出来事を思い出す。村で、凄い怪我を負った人が次の日元気になってた事があった。あれ、爺ちゃんが治してたんだ。それよりも気になった事が、
「爺ちゃん、戦えたの?」
僕の記憶の中の爺ちゃんは、いつも木を切ったり道具を作ったりしていた。戦っていた所は一度も見た事がない。対する爺ちゃんの答えは、
『僕が直接戦うわけじゃ無いよ。一応最低限の自衛は出来るけどね。ああ、それと周りの皆さん。初めまして。こんな形での挨拶で申し訳ない。僕はロイド・グローディア、エルムの祖父です。何故あなた方がこの様な場所にいるのかは分かりませんが、いずれ僕達が迎えに行きます。それまでエルムの事をお願いしてもいいですか?』
『ん?周りの皆さん?リタと……エルダードワーフにハイエルフ?それと……お前は!!!?』
何かに対して驚くクルシュ。
「お久しぶりですね。変わらぬご様子で」
あれ?クルシュとジルさんって知り合いなのかな?
『聞きたい事は腐るほどある。だが今は一つだけ、お主に問おう』
「はい」
『主人殿の事を守れるか?』
「万難を排し、必ずご主人様を守り抜く事をこの命に賭けて誓いましょう」
そう言って、ジルさんは公衆電話の前で跪いた。
『ロイド、この電話なるものはいつでも使えるのか?』
『使えるよ』
『ならばジルベルトよ。天刻にて待つ』
「はっ!」
なんかクルシュの方がご主人様みたいだし実際似合いそう。貫禄っていうのかな、雰囲気があるね。
『主人殿……』
すごいなぁ〜なんて眺めていたらクルシュに呼ばれた。
『大変……申し訳なかった』
「えっ?どうしたの急に!」
突然の謝罪に戸惑う。
『あの時、私が不用意に鎌を渡さなければこんな事にはならなかった。私の至らなさがこの結果を招いたのだ』
クルシュから後悔が伝わる。
「気にしないで……って言っても無理だと思うけど、クルシュ、今僕の事見える?」
『見えるが……』
僕は両手を広げてその場でくるりと回る。
「ほら、僕どこも怪我してないよ。リタもね。それに離れていてもクルシュが僕達の事をどうにかしようと考えていてくれてたのはちゃんと伝わってきたよ。だから、落ち込まないで」
『主人殿』
「僕の後ろを見てみてよ!凄いでしょ屋敷!他にも色々あるんだけど、皆んなが作ってくれたんだ。食べるのも、寝る所も、洋服だって心配ないんだ。だから」
『……』
「クルシュ」
『……』
「泣かないで」
『ぐぅ……』
「僕は、僕達は大丈夫だから。ジルさんから聞いたよ。ここは迷宮の森と呼ばれる所の近くだって。誰も訪れた事の無い未踏の地だって。だからクルシュは僕達に危ないから動くなって言ったんでしょ?安心して、ちゃんとクルシュに言われたスキルを覚えるまで動かないから。たからクルシュも無理しないでね?」
『あ、主人殿ぉぉ……』
すいません。やとらとわ行辺りの調子が悪く……直るまでこのペースになるかもです。




