お前かっ!!
エルム視点です
僕は急いで外へ出た!きっとクルシュに何かあったんだ!空へ向かって叫ぶ!
「クルシュ!大丈夫!?何かあったの!?」
ギルドカードを見ても変化は無い。
どれくらいそうしていたんだろう。リタやジルさんも最初側にいたんだけど戻ってもらった。
途中、胸いっぱいの喜びと懐かしいって気持ち、それから、戸惑い?最初の殺気は綺麗さっぱり無くなったけどとにかく沢山の感情が流れてきた。何が何だかわからない。
気付けば辺りは段々と暗くなって来ていた。
太陽が沈みかけた丁度その時。
カッ、と空が光って、そのすぐ後、ドォォンと爆音が降り響く。あれっ?これって……
「ご主人様!」
「エルム君!今の何!?」
みんなが屋敷から出て来た。そんな中、ジルさんは何かに気付いたようで空を見上げる。
沈みかけた太陽の光を反射しながら何かがこちらに近付いて……
「あれは?」
「なんだありゃ!?」
もしあれが僕の知っている物だとしたら、あっ!やっぱり!!
「ご主人様!お下がりください!なっ!?形状を変えた?私の知らない魔物です!」
「ジルさん!大丈夫だよ!」
パラシュートが開き縦に細長い箱は、ゆっくりと落ちて来た。そしてその姿のまま畑の向こう、切り拓かれた場所に着陸した。
「金属の箱?」
ガルドさんが近づいて行くと、
『付近に生体反応確認。警告、十秒以内に離れて下さい。……四、三、二、一、』
「うおっ!なんだなんだ!!」
ガルドさんが駆け足でこちらへ戻ってくる。
『解放』
パタパタパタパタと箱の側面が倒れ、中身が現れる。
『解放完了。通信システムチェック開始』
『通信システム、オールグリーン』
『通信テスト開始』
『基地局A、応答なし』
『基地局B、応答なし』
『基地局C、応答なし』
『基地局D、応答なし』
『基地局E、応答なし』
『基地局経由の通信不可』
『ドッグ経由の通信テスト開始』
『一から二九番まで応答なし』
『三〇から九九まで応答確認』
『アンテナ増設の必要あり』
『梱包用魔封銀を使用』
『アンテナ増設開始』
『通信機との接続完了』
『アンテナ増設完了』
『通信テスト開始』
『感度良好』
『通信テスト完了』
『通信機設置完了しました』
みんな呆然と立ち尽くしている中、僕はそれに近づく。
「お、おい!」
「ご主人様!いけません!」
「大丈夫」
ジリリリリリン ジリリリリリン
「何だこの音は!?」
「昆虫型の魔物の威嚇音じゃねぇのか!?」
初めて聞くと驚くよね。
折戸式の扉を開けると音が更に大きくなった。
「ちょっ!エルム君!危ないよ!」
何も危なくは無い。だって僕はこれを知ってるから。
受話器を持ち上げると音が消える。
「ありゃ核かっ!鳴き止んだぞ!」
「なんと!!」
この受話器の向こう、そこに居るのはきっと。
「もしもし、爺ちゃ……」
『主人殿ぉぉぉぉお!!!!!』
キィーーーーーーーーン
音の塊で殴られたように頭がぐわんぐわんする。って、クルシュ!?
後ろを見ると、やっぱり音が大きかったらしく、皆んな仲良く耳を押さえていた。
『ちょっ!クロエ、離れて!!……あちゃ〜、外部スピーカー音量最大だよこれ。マギー、外部スピーカーのままで音量最小にして』
『かしこまりました。……音量変更完了』
『エルム、音量はこれ位で「主人殿ぉぉぉ!!」うわぁ!もう!!わかったから離れてって!!』
「う、うん。音はこれ位で大丈夫だよ。えっと……お爺ちゃん?何でクルシュと一緒なの?」
『エルムが忘れ物したからね。それを届けに来たら偶然会ったんだ』
多分メリーゼさんとキャサリーンさんがクルシュの事を捕まえているんだと思う。お爺ちゃんの喋っている裏で『おい!大人しくしてろ!!』とか『あら〜、貴方細い割に随分良いもの持ってるんじゃないのぉ』なんて聞こえる。クルシュはずっと僕の事を呼んでいる。心配かけちゃったかな。
でも、忘れ物?なんだろう。
『エルム、今マント着てるでしょ?それ、僕のだよ』
……あっ!本当だ!
『本当ビックリしたよ。普通に玄関の横に掛かってるんだもん。気付いてから直ぐに追いかけたんだけどさ。いや〜、でもここら辺、案外危険なんだね。急に魔物が現れたりさ!王都の周辺は安全だって聞いていたのにわらわら出て来るじゃないか。安全だって聞いていたからこそ見聞を広めるのに丁度良いと思って可愛い孫を外に出したのにさっ!村の周りの方がよっぽど安全だよ!』
ん?
「お爺ちゃん、急に魔物が現れたって、その魔物どうしたの?」
『勿論全部倒したよ!マギーにも手伝ってもらってね。でもセンサーに沢山反応があったし次から次へと湧いて来るから結構時間掛かっちゃったよ。二日間も戦い通しだったから少し疲れたけど可愛い孫の安全を思えばこれくらい、へっちゃらさっ!!』
あれ?もしかして、
『『『お前かっ!!!』』』




