奇妙な女子会?
冒険者ギルドを後にした僕はキャサリーンさんに教えてもらった宿に向かった。そこは冒険者ギルドと提携しているらしく、ギルドカードを見せると他のギルド所属より大分割引してくれるらしい。
駆け出しの冒険者がよく利用するらしいけど、残念ながら食事は出ないらしいので途中屋台で幾つか晩御飯になりそうな物を買っていく。
買い物も終わり少し歩くと(一番星亭)と書かれた看板が見えた。目的地に到着だ。中に入ると右手にカウンターがあり、体格のいい老人が座っていた。
「一泊お願いします」
僕はギルドカードを見せながら言った。
「……銅貨七枚だ」
おお!安い!王都では銀貨一枚の所なんてざらだって聞いていたから覚悟してたけど、これはお財布に優しい!
「カードから引き落としでいいか?」
「あっ、それでお願いします!」
冒険者ギルドで既に所持金の大半を預けていたのでお願いした。ギルドカードは登録した本人にしか使えないとの事で、預ける事を強く勧められていたのだ。お金を常に持ち歩くのも防犯上良くないからね。
箱のような物にカードを置くと、チャリーン、と軽快な音がした。どうやらこれで支払いは完了なようだ。
鍵を受け取り教えられた部屋を目指す。二階の一番奥の部屋だ。早速中に入るとそこにはベッドが一つのみのこじんまりとした部屋。
背負っているリュックと買ってきた晩御飯を床に置くと僕はそのままベッドに横になった。意外にも部屋の作りに似合わなくベッドはとてもふかふかだ。お日様のいい匂いもするし。
仰向けになって天井を見ながら一日を振り返る。
今日は色々あったな。天職の儀から就職先探し。ギルド職員にはなれなかったけどエミリーさんのお陰でお金をかけずに冒険者になれた。明日から冒険者として頑張ろう。そして爺ちゃんに恩返しをするんだ。なんて事を考えていたらいつの間にか眠ってしまっていた。
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王都の飲食店街、その中でも一、二を争う人気料理店の一室にて女性が一人グラスを傾けていた。
コンコン
「はい」
「入るわよん」
扉を開けて入って来たのは薄暗い店内で、いや、明るい店内であっても初めて出会う者ならば十人中十人間違いなく逃げ出すであろう容姿をした冒険者ギルド受付のキャサリーンだった。
「ごめんなさい、待ったかしらん?」
「そうでもないわ、先にいただいてるし」
先に来ていた女性、エミリーはキャサリーンのグラスにワインを注ぐ。キャサリーンは一気にあおるようなことはせずに一口軽く口に含む。
「うーん、値段の割にまだ若いわねん。まるでエルム坊やみたいに」
そう言って探るような視線をエミリーに向ける。
「キャシー今日はありがとう。それで……貴方から見てエルム君はどうだった?」
「真っ白よ真っ白、ん〜、わたし色で染めちゃいたい!」
「……キャシー」
「ふふっ、冗談よん」
「もう!」
「でも貴方が他人に興味を持つなんて驚いちゃった。紹介状を書くなんてねん」
「あの子うちのギルドに来てなんて言ったと思う?働かせて下さいって言ったのよ?顔を真っ赤にして。普通なら登録お願いします。って言うでしょ?あれ?この子もしかしてって思ってね。すごい辺境から来たのかな?って。久しぶりに素直そうな子だなって思って、つい」
キャサリーンはもう一口含み黙って続きを促した。
「総合ギルドの事とかテイマーズギルドの事とか教えてあげて……」
「視たのね」
「えぇ、総合ギルドは全然。テイマーズギルドは少しだけ。他の職業でも視たけど、やっぱり全然だった。それで最後に冒険者として視たんだけど……」
「けど?」
「……初めてだった。あんな結果になったのは」
キャサリーンはさらにもう一口含む。
「エルム君は必ず冒険者として大成する。必ずよ。でも犯罪歴はカードで確認できるけど本人がそれを悪事だと思っていなければ残らない」
「だからわたし宛に紹介状を書いた、って事ねん。安心して頂戴。さっきも言ったけど真っ白よん。あの子の純潔はあたしが守るわん。既にいくつかあの子でもこなせそうな依頼も見繕って来たしねん。そ、れ、で、話変わるけど、わたしの方であの紹介状は無かったことにしてあるわん。貴方が紹介状書いたなんて知れたらどうなるかわかっているのかしらん?なんのためにテイマーズギルドなんてマイナーなギルドに派遣されていると思ってるのん?」
「ごめんなさい、キャシー。あっ!それじゃエルム君の登録料は……」
「わたしの方で立て替えてあるわん。わたし達、友達でしょう?」
「キャシー……ありがとう。それじゃ今日は私の奢りよ!好きなだけ飲んで食べて!」
「あら、エミリー。好きなだけ飲んで食べていいのん?店員さーん、これと同じ物追加で五本持って来て下さるん?」
「キャシー。私達、友達よね?」
こうして奇妙な女子会?は深夜まで及ぶのであった。
金貨 =百万
大銀貨=十万
銀貨 =一万
大銅貨=千円
銅貨 =百円
鉄貨 =十円
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