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スライムブリーダー?実は最強の職業でした  作者: 谷里 零


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おやすみなさい

本日一話目!

「それで、クルシュちゃん。ギルドを抜けるなんて貴方、勝手に決めていいのかしら?」


 部屋を出てすぐキャサリーンさんが聞いて来た。


『今のままでは主人殿の教育に悪いのでな。私の我儘だがこれだけは引けぬ』


 そう言ったクルシュはどこか意地を張っているように感じたんだ。


「……そう、わかったわ。でもね、一つ言っておくとして、……ギルドに脱退の手続きは無いわん」


『なっ!』



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 僕とクルシュは今、一番星亭へと戻って来ていた。受付には昨日のお爺さんがいて、クルシュも大丈夫かと聞いたところ小型の従魔なら問題ないとの返事をもらった。そこで清拭用のお湯ももらい、部屋で拭いているところだ。


 ギルド脱退の件はキャサリーンさんによると、登録から何も依頼を受けなければ、半年後には自動的に無効になるらしいんだけど、僕の場合は既に納品した実績があるので一年は無理らしい。それはそれで仕方がないと思う。クルシュは納得しなかったけどね。


 その後、なんだかんだで忘れていた従魔登録をしにテイマーズギルドへと戻ったりした。ちなみに従魔登録したからと言って従魔に何か身に付けさせたりとかはなくギルドカードに記録するのみだった。

 昔は、従魔だと分かる様に身に付ける物があったみたいだけど、動きの邪魔になると言う理由で廃止されたみたい。クルシュの場合、どちらにしても身に付ける事は不可能だから良かったと思う。


 ふぅ〜。やっぱりお湯で拭く方がさっぱりしていいや。

 着替えも終わりベッドに潜り込んでいるクルシュに声をかける。


「クルシュ?寝ちゃった?」


『起きているぞ』


 もぞもぞと出てくるクルシュ。


「今日はお疲れ様。とても濃い一日だったからあまりちゃんと話せなかったけど、ちょっと色々話したいなって」


『うむ、そうだな』


 そこからしばらくの間、沈黙の時間が流れた。どれくらい経ったのだろう。色々聞きたい事があるけれどなかなか纏まらないんだ。

 クルシュも待っててくれているのかな?

 取り敢えず何でもいいから聞いてみよう!と思って呼んでみたら、


「クルシュ!」

『主人殿!』


 同じタイミングになっちゃって、


「ふふ」

『ははは』


 笑ってしまった。


 悩む必要なんてないよね?そもそも僕はクルシュの事をほとんど何も知らないのだから。


 だから僕はこう言ったんだ。


「僕の事は教えたよね?次はクルシュの番だよ」


 そしてクルシュはぽつぽつと話始めた。


 クルシュの話は、何かの御伽話を聞いているみたいで凄いワクワクドキドキしながら聞くことができた。

 木を伐採しようとしたら山を切ってしまった話やドラゴンをペットに飼っていた事。沢山の仲間と共に迷宮や秘境の探索。そしてその大切な仲間達との出会いや別れ。

 異体同心のせいなのかな?その全て、クルシュの話す事一つ一つが真実だと理解出来る。

 懐かしい、楽しかった、辛い、悲しかった、それらの感情か言葉に乗って流れてくるんだ。


「メリーゼさんやクリスさんも仲間だったの?」


 僕のその言葉にクルシュは少し考える。


『あやつらはな、捨て子……の様な物だな。連れて帰って来た時は、まだ言葉も知らず体も小さかった。隊の中で女は私だけだったからか懐かれてしまい、そこからなし崩し的に私預かりとなってしまったのだ。言うならば仲間と言うよりかは……弟子であるな』


「そっか、それじゃクルシュは二人にとって『お母さん』なんだね」


 クルシュから驚きの感情が流れてくる。


『なっ!』


「だって二人を育てたんでしょ?」


『確かにそうだが……しかし、あの二人はそうは思ってはおらぬだろう。子育てというには厳しく躾けたしな。それにあ奴らに何があったかは知らぬが随分歪んでしまった様に見える。で、あれば、そのように育ててしまった私は『母親』失格だ』


 そう言ってクルシュはまた黙ってしまった。


「子供の失敗を許すのが親の務め」


『!?』


「子供の頃爺ちゃんに言われた言葉なんだ。それでね、その言葉には続きもあって、『そして諭し導くのもまた親の務め』ってね。

 僕は小さい時に両親がいなくなってから爺ちゃんに育ててもらったって言ったよね?多分寂しさもあったと思うんだけど、いつもイタズラばかりしてね、よく爺ちゃんを困らせていたんだけど、殆ど笑って許してくれるんだ」


『心の広い御仁なのだな』


「……それで一度聞いてみたことがあるんだ。『どうして爺ちゃんは怒らないの』って、そしたらね、こう言ったんだ。『人様に迷惑をかけず丈夫に育ってくれたらそれでいい』って、爺ちゃんは家族だから迷惑かけてもいいんだって。木樵は爺ちゃんの天職じゃないからね、そのせいで傷ついた、傷だらけの手で僕の頭を撫でながら。危ない事をしたらもちろん叱られたけどね」


『……そうか』


「クルシュはあの二人にどう育って欲しかったの?」


『私は、あの二人には、仲間を大切にし、そして守れる様に強くなって欲しかった』


「そうなんだ。それじゃ、明日また冒険者ギルドにいってみない?」


言葉にしないと伝わらない事も沢山あると思う。


『……そう、だな。……さて、主人殿。もう大分夜も更けた。そろそろ寝るとしよう』


「そうだね、また、クルシュの事色々教えてね」


 おやすみなさい。仲直り出来ます様に……


 こうして僕の長い長い一日が終わった。



次は17時更新です!

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