勝手にやってろ
本日ニ話目!
「迷宮ってのはどう言う事だよ、報告になかったじゃねぇか!」
「……あたし、その事聞いたかしらん?」
「僕は、すいません。多分言ってないと思います。クルシュは言った?」
『いや、私も言っていないな』
そうだ。その話をしていた時はキャサリーンさんを運んでる時だった。
「では、虚偽の報告には当たらないわね」
「しかし迷宮かぁ、まためんどくせぇ事になりそうだな」
「迷宮誕生の予兆。すっかり忘れていました。そもそも高ランクの魔物が多数出た時点でその可能性を考えるべきでした」
『クリスよ、まあ仕方があるまい。そうそうある事では無いのでな。それにあの様子ではあとニ、三日程で落ち着くであろう』
「そうですね、それまでは立ち入りを制限すれば問題ないと思いますが……ですが今度は迷宮の難易度が気になるところですね」
あれ?他の調査依頼に向かった冒険者の人達の事はいいのか?最初その人達の捜索依頼でここに来たと思ったんだけど。
「あの、冒険者の人達の捜索には行かなくていいんですか?」
「ん?あぁ、あいつらは元々他の依頼も受けていたからな。日帰りで帰ってこなくても問題ねぇし、国絡みの可能性が減った今、特に優先する事でもねぇな。それに捜索依頼ってのはお前をここに呼ぶ建前だ」
その言葉に驚いたのはキャサリーンさんだった。
「それじゃ、どうして戻ってこないと言う理由でエルム坊やを至急探すように言ったのかしらん」
メリーゼさんがヒラヒラと一枚の書類を見せる。
「……なるほどねん、わたしの行動がエルム坊やが疑われるきっかけになってしまったのねん」
メリーゼさんが見せて来たのはエミリーさんが書いてくれた紹介状だ。
「貴方がたの天職は私達ギルドにとってかけがえのないもの。今後この様な行動は慎む様お願いします。でなければこう言った無駄な事が増えてしまいますので」
「わかりました。申し訳ありません」
「申し訳ありませんでした」
クリスさんの言葉にキャサリーンさんに続いてエミリーさんも頭を下げた。なんか申し訳なく、そしてなんだか嫌な気持ちになる。
『クリスよ。何故エミリー殿と人もどきは頭をさげているのだ?』
「人もどきとは言い得て妙ですね。この二人はギルドの規定違反を犯しました」
『規定違反?』
「はい。エミリーさんにはギルドからの指示があった場合のみ特定のスキルの使用を許可してあるのですが、残念ながら今回無断で使用した証拠が出てきました。キャサリーン嬢は無断でのスキル使用及び書類の隠蔽です」
『その規定違反で誰かに迷惑がかかったのか?もしエミリー殿が紹介状を書かなければ、人もどきが何をしたかは知らぬが私と主人殿が出会うこともなかった。そうなれば薬草を大量に納品される事も無かったであろう。森で怪我人が多く出たのであろう?薬草が無ければ救えぬ命もあったかも知れぬと聞いている』
「シュティングレイ様。それは、あくまでも結果論です。それに組織には規律が必要だと教えてくれたのは貴方様ではありませんか」
『国は監視、教会は保護、ギルドは育成だったか?』
「?はい」
『そうか、では人もどきよ。主人殿のギルド脱退の手続きを頼む』
「な!?」
「ちょっと待ってくれ、お師様!」
『何故だ?例えお主達の利になる事を成そうが、褒められるどころか謝らなければならぬのだろう?主人殿が採ってきた薬草を事に対して礼はあったのか?それにスキルは使わなければ育たぬ事は知っているのだろう?だがそれさえもお主達に制限されるのだろう?であればそんな所に用があるはずもない。主人殿の為にならないからな。ああ、忘れていた。今回薬草を大量に納品してしまったのだ。申し訳ない。これで満足か?』
「シュティングレイ様、聞いてください!」
「お師様!」
『知らぬ。勝手にやってろ。お主達にはお主達のやり方があるのだろう?最早それにとやかく言う気はない。合う合わぬの問題だ。主人殿、行くぞ』
「うん」
『人もどき!早くせよ!エミリー殿、わざわざ付き合ってもらったのにつまらぬものを見せてしまって誠に申し訳ない』
僕達は立ち上がり部屋を出る。
その時に見たメリーゼさんとクリスさんの悲しい顔がとても印象的だった。
だってクルシュから流れてくる感情と一緒だったのだから。
明日も今日と同じ時間に二話更新します!




