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うわぁぁぁ

 ギルド長室の中は中央に応接用のテーブルとソファー、奥には大きい机とその上に山の様に積まれた書類らしきもの。更にその隣に少し小さめの机があるがこちらは綺麗に片付いている。壁際には観賞用なのかな?壺がいくつかと壁にとても大きな斧が飾ってある。


 今僕はソファーに座っていて隣にはエミリーさんがいるんだけど、目の前に、うん、向かいの席とかでは無くて、テーブルの上にね。ほんと目の前にギルド長がいる。


「あんなもん討伐したって言うから、一体どんな奴が来るかと思ったらただのガキじゃねーか」


 こう、なんていうんだろう?テーブルの上で大股開いて下から睨みつける様な姿勢で言ってきた。


「す、すいません」


 爺ちゃん、都会は怖い所だよ。


「マスター、少年が怯えています。態度を軟化させる事を提案致します」


「あぁ?うるせぇ!初対面の奴に舐められるなってのが師匠の教えなんだよ!……ふん。まあいい。大方特殊な天職でも引き当てたんだろうよ。だがな、冒険者ってのは決して楽な仕事じゃねーんだ。朝、挨拶交わした奴が、昼には死んじまってる、なんてのはざらにある事だ。特に天職で得られた力の上にあぐらかいてるやつはな!……隣のバカに何吹き込まれたかは知らねーが調子に乗んじゃねーぞっ!」


「通訳します。どんなに強力な天職を得られても、油断するとすぐに死んでしまいます。たとえエミリーさんの紹介があったとしても決して慢心せず、研鑽を怠らないでください。それと、マスター。私達の自己紹介の挨拶がまだですが」


「勝手な事言ってんじゃねぇ!ったく。あたしはメリーゼ。これでいいか」


「代わりに紹介します。こちらのメリーゼ様は冒険者ギルドのギルド長及び全ギルドの統括、ギルドマスターでもあります。そして、私はマスターの秘書しておりますクリスと申します。以後お見知りおきを」


 ギルド長?ギルドマスター?どっちで呼んでいいかわからないからメリーゼさんでいいのかな?メリーゼさんは背は僕位で歳も同じくらいに見える女性だ。燃える様な紅い髪と紅い眼をしていて肌は恐ろしいほど白い。この特徴は……


 クリスさんも女性で、教会の関係者なのか白い修道女が着るローブを身に纏っている。先程から一切表情が変わらないし声も平坦、整った目鼻立ちもあってお人形みたいな雰囲気だ。


「えっと、メリーゼさん、クリスさん。初めまして。エルム・グローディアです。依頼について話があるということだったのですが。ちなみに薬草は今納品してもらってます」


「納品してもらってる?まあいい、薬草の方はついでで本題は捜索だ。まぁ逃げ回るのに特化した奴等だからほっといても簡単に死にはしねぇーが、どうも腑に落ちねぇんだよ。唯一帰ってきたお前らからの報告はあり得ねぇしなぁ。あのバカが言うには、おめぇ……ヘビーコングとやり合ったそうじゃねぇーか」


 エミリーさんが信じられないものを見る目で僕を見てくる。クルシュが倒したって言ったもんね。

 だから僕はきちんと訂正する。


「倒したのは僕では無く僕の従魔です」


「はっ!どこの世界にランクAの魔物を一撃で倒せるスライムがいるんだよ!」


 普通に考えればそうかもしれない。


「詳しくご説明します。先にまずギルドへの虚偽の報告は重罪ですのであしからず。単刀直入に申し上げますと今回我々冒険者ギルドはエルム・グローディアさんを国の諜報機関、もしくはその関係者と見ています。我々全ギルドは国と協力関係にはなく、また国の法が及ぶ事もありません。もし今回の魔物の大量発生、及び冒険者の失踪に関して、なにかしらの関わりが見られた場合、我々の法によって裁かれる事になりますので、どうかご了承を」


 隣でエミリーさんが息をのむのがわかった。


「なお、先程も話に出ましたがこちら側は、キャサリーン嬢が貴方からの紹介状を隠蔽した事も把握しておりますので」


「これじゃあ、あいつの真偽結果も偽装かもなぁ」


 隠蔽?偽装?なにより僕が諜報機関の関係者?なにこれ、今何が起こっているんだ?


「国はあたしらハズレが大っ嫌いだもんなぁ。魔物に冒険者を襲わせるなんてお前らの十八番だろう?」


 だめだ。意味がわからない。どうしよう…


 助けて、クルシュ……



 ダンッ!!!!



「あぁ?」


『ッ!!!』



 ドガァーーーン!!!



「クルシュ!」


 勢いよく開かれた扉から現れたのはクルシュだった。クルシュは僕の目の前にいるメリーゼさんを見るなり触手で殴りかかったのだ。

 メリーゼさんはそのまま奥にある机に激突して山積みにしてあった書類が紙吹雪の様に舞った。


「お〜、いててて。って本当にスライムじゃねぇか」


 机がめちゃくちゃに壊れているのに痛い位で済むなんて…

 メリーゼさんは立ち上がりクルシュに向かって、


「クソザコの割にいいもん持ってんじゃねぇか。実力を見てやるよ!一丁ここで死合おうぜ!」


『ほう、この私に向かってクソザコ呼ばわりとは、それに実力をみてやるだと?随分と出世した様だな、メリーゼよ』


「クルシュ!喋っちゃ駄目……って、えっ?知り合い?」


「クソザコはクソザコだろ?それにあたしには、てめえみてぇなクソザコスライムに知り合いなんていねぇんだよ!」


『……まあ良い。随分と主人殿に失礼を働いた様であるし、ついでだ。一度死んでこい』


 うわぁぁぁ、クルシュ凄い怒ってるぅ!!!



















読んでいただきありがとうございます!


キリが悪いのですが今日はここまで!


明日は12時、17時更新予定です!

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