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早く来て

「ちょっとキャシー、流石に待って!薬草の事もそうだけどエルム君!クルシュさんの事テイムしたのは草原じゃなかったの!?それに私達以外って、貴方達、調査依頼受けたの!?本当に、キャシー!貴方、なんて依頼出してるのよ!!」


 あれ?エミリーさんに森に行ったの言ってなかったっけ?


「……クルシュちゃんね、ファングボアを一撃で倒せるのよ」


「は?」


「それとね、DランクからBランクが三十体以上、Aランクが一体。一度に相手してこれもほぼ一撃ね」


 エミリーさんがクルシュとキャサリーンさんを交互に見ながら固まっている。キャサリーンさんはこちらに向き直ると、


「ちなみに捜索依頼の報酬は大銀貨一枚よ」


「クルシュ、どうしようか?」


『私はどちらでも良いぞ。主人殿にまかせる』


 困っている人がいるなら僕は助けたいと思う。


「分かりました。その依頼受けます」


「ちょっとエルム君!」


「ありがとう、本当に助かるわ」


 そう言ってキャサリーンさんは立ち上がり、


「本当に申し訳ないのだけど一度冒険者ギルドに来てもらってもいいかしら」




 ーーーーーーーーーーーーー




 時間がないと言う事で、詳しい事は歩きながらとなった。


「キャシー、説明してくれるんでしょ?どうしてギルドから直接依頼があったのか。その他諸々も。紹介した私にも知る権利があるわ」


 エミリーさんは他の受付の人に何か言ってから僕達について来た。


「個人の依頼や成果を他人に漏らすのは、ギルド規定違反だから他言無用でお願いしたいんだけど……」


 そこで一度言葉を切って、


「今朝この子に採取依頼を出したのよ。Gランクでも無理なく出来る程度のね。依頼は無事達成して戻ってきたわ。ただね、その成果がちょっと問題でね」


「えっ!何かまずかったですか!?」


 思わず聞いてしまった。


「いえ、問題ないわ。あれがなければ助からない命もあったでしょうし」


「キャシー?エルム君が採ってきたのは、ただの薬草なのよね?」


「ええ、薬草よ。二百本。それも最高品質のね」


 正確には僕じゃなくてクルシュが採ったんだけどね。


「最高品質ですって!?」


「その前が衝撃すぎて、ちゃんと確認していなかったわたしも悪いのだけど、わたし達が森に行っている間に調剤部門に見つかっちゃってね」


「最高品質ってすごいんですか?」


「根がほんの少しでも切れると駄目、って言われているわね」


 エミリーさんが教えてくれた。確かに薬草の根っこは縦に長くて量も凄かった。僕が採ったのもぶちぶち切れた所があったもんね。クルシュ凄いや!


「怪我人が沢山出たって一報が入って回復薬を作り始めたらしいのだけど、何も知らない薬師がエルム坊やの薬草を使って、あらビックリ!釜から溢れる程の回復薬が出来てしまったって訳」


 へ〜!薬草の品質で回復薬の出来上がる量が変わるのか。


 そこからの冒険者ギルド内の動きは凄かったらしい。


 誰がこれを?ん、知らないやつだ。はっ!?なんだこの量は!?


 となり、


「それで名前を追っていったらファングボアの討伐記録も出て来てしまって。それを知ったうちのギルマス達が貴方達に、いえ、エルム坊やに依頼を出すと言う事になってしまったのよ。それで採取依頼も調査依頼もわたしが受理したものだから……」


 本来なら総合ギルドのキャサリーンさんの仕事ではないにも関わらず、僕の顔を知っているのはキャサリーンさんだけという理由で、ギルド長からの命令により探しに行く羽目になったらしい。


 なんかごめんなさい。


「Gランクの冒険者に対してギルド名義の指名依頼なんて、相変わらず貴方の所のギルドマスターは滅茶苦茶ね」


「まったくよ……」


 そうこうしているうちに冒険者ギルドに着いた。ギルドの前は昨日に比べて閑散としているように思える。結構な数の冒険者が調査依頼を受けていたのかな?

 でもなんか変だな。

 そう言えば僕達が森から帰ってくる時もそうだし、ここに来るまでもそうだったけど怪我人が沢山出た様な雰囲気は無いよね?あれ?


 そんな事を考えながらギルドへ入ろうとすると、


『主人殿、すまぬがギルドカードを貸してくれるか?先に納品を済ましてしまう故』


「……貴方、もしかしてまだ持っていたの?」


『薬草の価値がわからなかったのでな、小出しにさせて貰った。それに、あれ以上あっても駄目にするだけであろう?主人殿はギルド長とやらから先に話を聞いててくれ。急を要するらしいからな。役割分担だ。それ、人もどき、さっさと行くぞ』


「あれで小出しって……それにギルドカードは……大丈夫なのかしら?……エミリー、ごめんなさいエルム坊やを案内してもらっても?」


「どうして納品にクルシュさんが必要なのかわからないけど後でちゃんと教えてね?行きましょうエルム君」


 クルシュとキャサリーンさんが納品所へ向かうのを見送りながら僕達は冒険者ギルドへと入った。


 ギルドの中は昨日の様な賑やかさは無く冒険者と受付が数名のみ。


「テイマーズギルドのエミリー・フォーゼルです。キャサリーンの代理で冒険者を連れて来たと、ギルド長にお伝え願えますか?」


 エミリーさんがそう言うとすぐに奥に通して貰った。案内してくれた受付の人が扉をノックする。


「冒険者の方をお連れしました」


「入んな」


 ギルド長室と書かれた扉を開けてエミリーさんと中に入るなり、こう言われたのだ。


「おい、おめーがエルムってガキか?あぁ??」



 クルシュお願い。早く来て。






























読んでいただきありがとうございます!


明日も17時に更新します!

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