表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/67

んなっ

 エミリーさんは両手で口を塞ぐ仕草を見せた。うん、目は飛び出ていない。とっても女性らしい驚き方だ。


「えっと……エルム君。今のは貴方の従魔が?」


「はい、そうです」


『人もどきから、エミリー殿は信頼出来る方と聞き及んでいるのでな』


 キャサリーンさんから別れ際に言われたんだ。エミリーさんは信頼出来るって。それにテイマーズギルド所属だから僕達の事を相談した方がいいとも言ってくれたんだ。


「人もどき、か……確かにそうかもしれないわね。でも……ありがとう。キャシーと仲良くしてくれて」


 あれ?もっとクルシュの事で驚いたり質問されるものだと思っていたんだけど。


『別に仲良くしている訳ではない。ただ、まあ、主人殿を気にかけてくれているのはわかるのでな……』


 あっ、クルシュ、照れてる。


「キャサリーンさんにはお世話になりました。それとエミリーさん、冒険者ギルドへ紹介状を書いてもらいありがとうございました。お陰様でクルシュと出会う事が出来ました!」


『ならば私からも礼を言わねばなるまい。エミリー殿のお陰で主人殿と出会えたのだからな』


「ふふ、仲がいいのね」


『あ、相棒であり、と、友達でもあるのでな』


「はい!相棒で友達です!」


 エミリーさんは何か微笑ましいものを見るような目を向けてきた。それから登録の前に少し話をしようと言うことになり椅子に座るよう促された。


「えっ!貴方、テイマーじゃなかったの!!」


 取り敢えず僕の天職やスキルの事を話したら今のようなリアクションが返ってきたのだ。


「それにしてもスライムブリーダーか……ブリーダーなら知り合いに一人いるけど、間違っても貴方達の様な関係にはなっていないわね」


 エミリーさんの知り合いの人は牧場を経営しているらしく、その天職の恩恵についても教えてくれた。


「恩恵は主に品種改良と繁殖ね。それと気の荒い子達の矯正や躾に補正がついたと思ったわ」


 恩恵とは天職によって補正される能力で、スキルとは別のものだと言われている。僕の場合、



 スライムブリーダー


 スライムの繁殖及び改良を行う者

 スライムからの友好度 極大

 スライムのみ従魔契約可能


 なので、簡単に言い換えれば、スライムの繁殖や改良がしやすく、さらに友好度も高く、恩恵と言っていいのかわからないけどスライムとの従魔契約が容易になるって事だ。


「それでスキルはカテゴリーVだったと」


「そうです。昨日ここに来る前に王立図書館でみてきたんですがスキル欄にはそう書いてありました」


「そう、ごめんなさい。少し考えさせてくれる?」


 そう言ってエミリーさん手を頬に当てて考え事を始めた。


『主人殿、人もどきとも話していたが「かてごりーⅤ」とはなんなのだ?』


「うんとね、王立図書館って言う大きな図書館があって、そこで色々調べる事が出来るんだ。大体のものは無料で調べられるんだけど、中にはお金を払わないと見られないものがあってね、その中でも一番高いのがカテゴリーV!なんと、そのお値段、安くて金貨一枚!」


『んなっ、金貨……一枚だと!!して、主人殿。金貨一枚とは、どれほどの価値があるのだ?』


 だよね。クルシュにお金の価値とか分かるはずないか。


「ん〜、お昼にキャサリーンさんに買ってもらったパンあるでしょ?あれが銅貨二枚だから……金貨一枚で五千個食べられるよ!」


『んなっ!?五千!!』


 多分、半年暮らせるとか言ってもわからないよね?


『ちなみに主人殿が薬草を採取してきたであろう?あれはいくらぐらいになるのだ?』


「薬草採取は十本納品して銅貨二枚だよ。他のもそうだね」


『と言うことは全部で千本納品したのだから銅貨二百枚だな?』


「えっとね、銅貨十枚で大銅貨一枚、大銅貨十枚で銀貨一枚だから採取の報酬は銀貨二枚になるよ」


『では金貨一枚は銀貨何枚なのだ?』


「百枚だね」


『では今日と同じ事を、あと五十回繰り返せば良いのだな?余裕ではないか』


「余裕、かな?」


『ああ、それに私と出会う前に受けた依頼なのであろう?今なら私がついているのだ。もう少し報酬の良い依頼も受けられるのではないのか?』


 そうだ。僕一人でも受けられるって事でキャサリーンさんが探してくれたんだ。今ならクルシュもいるし、もしかしたら金貨一枚なんて直ぐに手に入るかもしれない。でも、


「僕のスキルを調べるのは後でもいいかな?爺ちゃんに仕送りもしたいんだ。だから今すぐじゃなくて、余裕ができてからでもいいかなぁって」


『もちろん主人殿に任せるぞ。時間ならあるのだからな。それに私もついているのだ。主人殿が金銭に悩まぬよう私も手伝おう!』


「うん、ありがとう!」


 実はクルシュの食費が一番心配だったんだけどこれは黙っておこう。


「ちょっといいかしら」


 エミリーさんだ。


「もし閲覧可能な金額が貯まったとしても、調べるのは控えて欲しいの」














明日も17時更新予定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ