いつの日か
そしてやっとのことでこれまでの事を話せた、はあ……
「ふむ、やっと思い出したわ」
そう言って深雪が作った料理をもぐもぐと食べているのは俺の母親こと水渡 美奈、ここ最近父さんが仕事で全然帰って来ず、夜の暇潰しでラブコメ漫画を読んでドはまりした人である。
はあ……やっと誤解が解けた。
「けど、契約書を書かないとしゃべれないのってやついるの?」
そういえば、契約をするのにそんなことあったな、言われてみるとそんな要素を入れない方がいい感じがするけど。
「その……あの時の悟様にいきなり話しかけると気絶しかねない感じでしたので、ちょっと嘘をついてあのような事をしました」
あ、俺のせいだった……
「ほうほう、まあどんな感じだったのかわかったし深雪ちゃんが作った料理は美味しいしあなたのお母さんにも『娘をよろしくお願いします』って言われてるし、契約したしちゃったし」
「と、言いますと?」
俺がそう聞くと母さんはポケットから鍵の束を取り出し深雪に渡した。
「今日からこの水渡家のお手伝いさんとして、そして青春を悟と一緒に堪能して、学校は母さんが裏テク(裏テクニック)をしておくから二人ともお母さんの青春よりも頑張って!」
そう言われて深雪は渡された鍵の束を見ると少し顔が驚いたような顔をした。
「はい、頑張ります」
深雪はそう言ってお辞儀をした。
そしてこれから先、俺の生活が全く異なるものになって行くとは今の俺にはわからなかった。