07 ギルド
そんなこんなで連れてこられましたクリスさんが所属されていると思われるギルドです。
明確に所属しているとは言っていないのであくまで仮定です。
私の想像では大通りの裏路地にポツンと扉だけあってそこから地下に向かう階段を下っていった先に輩の集まる西洋劇のサルーンのような感じだと思っていたのですが、窓口には妖艶な魔女のような人がいると思っていましたがどうやら全く違ったみたいです。
まず、建物の外観から、一軒家のようです。そこまで大きくなく、欧州でよく見られる15世紀あたりの木とレンガでできた3階建ての家です。
中に入ってみると酒場がない、よって必然的に酔っ払いがおらず風紀は正されている雰囲気があります。
壁には外観からは似つかわしくない漆喰が打たれており、柱が一層強く主張し、入って右側半分は本棚で埋め尽くされ色や大きさなど様々な本で埋め尽くされています。
受付のようなカウンターにはなかなかにダンディーなおっちゃんがどっしりと構えて書類に目を通しているようです。
そろそろみなさまお気づきでしょうか?私、若干つまらないです。
非常に平和的、何も起こる気配がない、想定を遥かに下回るハプニング予想量の少なさに辟易としております。
必然的に感じることも平々凡々となりますね。
唯一、風気が正されすぎている点においては想定を上回って来ましたが、それも街に入って来た時の多様性のインパクトにに流されてしまいました。
さてクルトさんはここに私を連れてきて何をするのでしょうか?
「ギルマスぅ、帰ってきたぞ〜」
「お、帰ってきたか、随分早いじゃねぇか、まだ出発して1日もたってねぇぞ。何かあったのか?」
「ちょっと変なやつ拾ってきちまってな、ほっぽることもできなくて連れてきちまった。」
「その変な奴って後ろの兄ち、、、お嬢さん?のことか?」
「お嬢さんであってますよ」
「なかなか奇天烈な見た目してるから俺もどっちかわかんなくてなぁ、やっぱりギルマスもわかんなかったよな!!」
おいおい、嬉々として女性を男性にしか見えなかったことを話すんじゃないよ、恥たまえよクルスくんよ。
どうやらカウンターにいた人はギルマスと呼ばれているらしい、なるほど、ギルマスというのだからギルドのマスター、この団体のトップにいる人間なのだろう。そんな人間がカウンターで書類を読んでいるのはなかなか想定外だ、面白い。
受付に人を割くことができないのだろうか?それともわざわざトップ自ら人前に立つ現場至上主義の人間なのだろうか?そうであればなかなかに興味深い。
そう言った人間は現場で動くぶん面白いことをしだすから要観察対象だ。
今のうちに特徴を把握せねば、外は魑魅魍魎が跋扈している。目が痛くなるほどにカラフルな集団だ。腰を振るように踊る様はサンバを踊るようで、ギルマスと呼ばれている彼の素晴らしい特徴を持ってしても特徴のない一般市民となってしまう。
彼の立ち上がった姿は一見身長が低く見えるが猫背でそう見えるだけで背筋さえ伸ばせば背丈は相当のものになりそうだ。
上腕や太腿の筋肉は非常に発達しており大物を大きく振り回しているような印象を抱く。
おそらく戦闘ではなかなかのパワープレイを見ることができるかもしれない。
服装はあまり参考にはならないが、その体格には合わずぴっちりとしたスーツ姿で、第一ボタンを外したシャツに緩めのネクタイ、奥から見せる大胸筋。なかなかいいものを持っている。
「で、その子を連れてどうしたんだ?」
「それがよぉ、この嬢ちゃん世間知らずで助けたは良いものの今後生きていけなさそうだったからうちで面倒みれねぇかなと思ってな」
「お前な、猫拾ってきてるわけじゃねぇんだから、、、だいたい嬢ちゃんはここがなんなのか分かってんのか?」
「あ、」
「そんなこったろうと思ったよ、なぁ嬢ちゃん」
「なんです?」
「ここはこの街の外壁の外にある森を管理する木こりが集まってできた森林管理ギルドでな、普段は木の伐採と魔物の調整を行なってる」
おいおい、本当に失礼な方ですねクルスさんは、私はこれでも成人済みなのですが。
しかしなるほど、森林管理ギルドときましたか。てっきり冒険者ギルドとかいうありきたりなものが来ると思っていたのですが、これが小説なら作者は相当捻くれた性格なんでしょう。
しかし妙に説得力があるのはギルマスさんが筋骨隆々な大男だからでしょうか。
「クルスが言ってるのはこの森林管理ギルドで働かねぇか?って話だ。見ての通りうちは人手不足でな、主に事務方が少ない。俺としてもうちで働いてくれるってなら嬉しい話なんだ。」
「え、良いんですか?面接とか試験は?」
「特にそういうもんはしないなぁ、基本うちらは職人の寄せ集め、何かあれば自己責任だ。面倒もクリスが見るしな」
「そうだぜ、何かあれば遠慮なく俺に聞いてくれ」
「あ、え、そんな感じなんですね、、、では、これからもお願いしますクルスさん、ギルマスさん」
「おぉこちらこそだ嬢ちゃん、今更だが名前はなんていうんだ?」
「藤山優花です、藤山と読んでいただければ幸いです」
「そうか藤山、これからよろしく頼む」




