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善人おっさん、生まれ変わったらSSSランク人生が確定した  作者: 三木なずな
第九章

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02.善人、SSランクの父親に内定する

 客間から外に出た。

 壁越しでも聞こえてくる、女性達の話し声。


 部屋の中にはホーセンの三人の側室と、アンジェにミアがいる。

 アンジェとミアが来てから、初めて屋敷に現われた妊婦。


 二人とも妊娠と赤ちゃんに興味津々で、色々と話を聞いていた。

 側室達の事は二人とメイド達に任せて、私は部屋を後にした。


「おう! ここにいたか義弟!」


 廊下の向こうからホーセンが大股でやってきた。

 その後ろには父上がついてきている。


 盛り上がる二人をとりあえず放置したのだが、向こうから追いかけてきた。


「どうしたの?」

「なんかよ、星がみえるんだよ」

「星?」


 私は窓の外を見た。

 よく晴れた昼下がり、今でも影が短いままだ。


「今昼間だよ?」

「アレクの言うとおりだが、それでも見える程の星なのだ」


 父上が真顔で言った。

 ホーセンだけなら「酔っ払ってるんじゃ?」って大酒飲みの勘違いを疑う所なのだが、父上までそう言うのなら気になる。


「どっちの空?」

「おう、ついて来い」


 ホーセンが親指をぐいっとやって、身を翻して大股で歩き出した。

 それについていって、父上も当たり前のように一緒についてきた。


「そういえば」

「おう、なんだ」

「星が見えるのはいいけど、なんでそれを僕に?」


 ホーセンと父上の両方を交互に見た。

 歩き出してから気づいたが、例え真っ昼間に星が見えたとして、それを私に知らせる必要が二人にはない。


 なのでそれが気になったが。


「なに言ってんだ義弟、真っ昼間からあの輝きだぜ? ありゃ絶対何か起きる前触れ」

「そしてそれが現われる程の何かが(、、、)起きた場合、解決出来るのはアレクしかありえない」

「おう! つうかそれを見たいんだけどな」

「心して待て、きっとみられる」

「それもそうだな!」


 父上とホーセン、二人はそんな事を言い合いなら、声を上げて笑い合った。

 どうやら……私に通知してくるのは「当たり前」の事のようだ。


 笑い合う二人、いつもの二人に微苦笑しつつ、廊下を抜けて玄関から外に出て、ぐるっと屋敷を回って反対側にやってきた。


 そこで足を止めて、ホーセンが空を指さした。


「ほれ、アレだよ」

「……わっ、確かに明るい」


 これは驚いた、ホーセンと父上が言った通り明るかった。

 そうは言っても――とここに来るまで思っていたのだが、実際に見あげた空の星は明るかった。


 たまに昼にも月が出る。

 月は夜の時よりも控えめだが、それでも昼間の空ではっきりと見えるくらい明るい。


 空に現われたその星はそういう時の月よりも明るかった。

 小さい、が太陽に匹敵する位の輝きを放っている。


「なっ、明るいだろ」

「そうだね、これはびっくりだよ」

「さっき急に現われたのだアレク。こういう奇星(、、)が現われる時は大抵何かの前触れだ」


 父上の言葉にはっきりと頷いて応じた。

 歴史を紐解いていくと、確かにそういうことが多い。


 何かがおきるのか……凶事じゃないといいな。

 などと、そんな事を思っていると。


「あっ、流れた」

「え?」


 ホーセンの言葉にびっくりして、再び空を見上げた。

 小さいながらも太陽に匹敵するような輝きを放ってた星は、なんの前触れもなく尾を引いて流れ出した。


 いきなりの明るい星、それが流れ星に。

 ますます何かがおきそうな――と思ったが。


「こっちに来るぞ!」

「むっ!」


 とっさに結界を張った。


 流れ星が物理的な物でも、魔法的な物でも。

 どっちであっても、防げるように対物・対魔の二重の結界を張った。

 私達の周りだけじゃなく、屋敷にも。


 あの中にはアンジェ達がいるから。


 そっちにも及ぶくらいの障壁を張って、待ち構えていると。


 流れ星はどんどん近づき――障壁をすり抜けてしまった!


「なっ!」


 驚いて次の対処に頭を巡らせていると。


「初めまして! だよっ」


 目の前に一人の少女が現われた。

 歳は16くらい、気品の中に明るさを併せ持つタイプの少女。


 その少女は――人間ではなかった。


「なんだお前は、体が透けてるぞ」

「幽霊、なのか?」


 ホーセンと父上、二人は真顔で少女を見た。

 少女は二人の事をまったく無視して、私だけを見つめて来た。


「アレクサンダー・カーライルだね」

「うん、そうだけど……キミは?」

「早く子供を作ってよ」

「いきなり現われてそれはどうかな。せめて分かるように説明してくれない?」


 苦笑いしながら聞き返す。


「私幽霊、これから生まれ変わる予定の人間。だよ?」

「へえ」

「でね、あの世で審査してもらったら、SSランク? って言われたんだ」

「それはすごい」


 中々ない事だよ、それは。


「すごいみたいだね。なんでも今回の一千万人の中でたった一人らしいんだよ。SSは」

「……そうなんだ」


 今回の一千万人。


 それは間違いなく、銀の厄災で解放された大量の魂の事だ。

 つまり目の前の少女は、あの一千万人の中でもっとも善行を積んだ、1000万分の1の高ランク魂だ。


 そう考えると、目の前の少女がすごいって思える様になってきた。


「どうしたいって聞かれて、次も人間で、って答えた。だよ」


 なんかどっかで聞いた話だな。


「そしたらSSランクが人間に生まれる場合、一箇所しかないっていうんだよ」

「……それってもしかして」

「うん!」


 少女は満面の笑顔で頷いた。


「あなたの子供として生まれるのがSSランクの人生らしいんだ。だよ」


「すげえ、すげえぞ義弟!」

「アレクの子供が世界でもっとも幸せな転生先か……当然だな!」


 父上もホーセンも、二人して興奮気味に目を輝かせた。

 あの一件で、あの世の審査を世界中の人が見えたおかげで(もちろん父上とホーセンも見た)、二人は「ランク」というのに納得しつつ、大いに興奮したのだった。

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