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八話

――二時間後。

「どうだった? 久しぶりの再会は?」

「もう二度と会いたくない……」

「あら? 随分とひどいことを言うわね?」

「だってあれ、完全に暴走してるじゃないですか!?」

「やっぱり新藤くんもそう思った?」

 やっぱりって。

「なんですか? まさか、自分の使い魔の体調を確認させるために俺をこの中に突っ込んだって言うんですか?」

「でも、得意でしょ? こういった診断」

「そうですけど」

 ――俺は、人や生物の体調を見ただけで見分ける事が出来る、かなり不思議な目を持っている。

 一応、これは魔法ではなく、医者であった父に診察を受けに来た患者を見ていたら身についたものである。

 まあ、俺の自慢の一つだ。

「だからといって二時間も入れとく意味はないでしょ!?」

「ほら、あの子も久しぶりにあなたに会えたらきっと喜んでくれると思ったのよ。っそれに、意外とあの子も新藤くんのことを気に入ってたみたいだし……」

「餌としてですがね!」

「まあまあ。そんなに怒らずに。でも、あの状態に心当たりがあるっていうか、何処かで見たことがあるっていうか……」

「そんなの、ただの暴走じゃないですか?」

「そうなんだけどね、なんか違うのよ」

 先生が首を傾げながら、学校の昇降口の方へ歩きだす。

「あれ? 先生、ななが居ませんけど……」

「ななちゃんなら三階の教室にいるわよ」

 えっ、教室って。

「勝手に使っていいんですか?」

「別にいいわよ。今日は学校休みだし」

「いや、それ先生が決められることじゃないでしょ!」

「大丈夫よ。バレないし」

 先生としてそれじゃダメだろ。

 それにしても。

「久しぶりに見ると大きいですね。この学校」

「あら、そう?」

「一番最初のときを思い出します」

 一番最初にこの校舎を見たのは、お試し入学とかだったけ。

 いやー、懐かしいな。

 初めて見たときは、この世界にこんなにも大きい建物があるのかと驚き、圧倒されたものである。

 俺は、入学当時のように、学校の中を意味も無くうろうろとしてみる。

「何も変わってないですね」

「そうね」

 こうして、俺と先生はしばらく学校の中を徘徊した。


 三階の教室を歩きながら。

「そういえば、一年生のときはこの教室でしたね」

 その教室を見ていると、懐旧の情がわいてくる。

 と、そこにはななの姿が。

「……あ、先生、正樹。ここって使わせてもらってもいいんですか?」

「いいわよ。誰もいないし」

「ありがとうございます」

 どうやら、先生とななは、この学校に泊まるようだ。

 まあ、俺も泊まるのだが。

「で、俺とななは何処に泊まります?」

「あら? ななちゃんは新藤くんと泊まるの?」

 え?

 おっと、自分で今言って、初めて気付いたのだが、今の発言ってちょっとおかしかったな。

 だって今の発言だと、俺とななは一緒の教室に泊まることになってしまう。

 俺は別にいいのだが、ななは嫌がりそうだし……。

「できればしそうしたいです」

「は!?」

 まさかのななからオッケーがでた!

「え、ちょっとまって、いいの? 本当にそれでいいの?」

「別にいいですよ。正樹が私のことを、女の子というよりは妹みたいな目で見ていることがよく分かったので」

 うん。

 まあ、間違ってはいない。

 いないが。

「先生が可哀想だろ。だって一人だぞ」

「私は大丈夫よ。だってペットだっているし」

「先生、さっきの暴走してた子と寝る気ですか?」

「いいや、違う子よ」

「あ、なら大丈夫か」

 さすがにさっきの暴走した子と寝たら、先生が食われてしまう。

「で、正樹はどの教室がいいですか?」

「ああ、そういえばその話だったな。じゃあ、この教室で。俺が初めて入った、この教室で」

 それを聞いた先生は、くすりと笑い。

「じゃあ、ここに食料とかいろいろ持ってくるわね」

 と、言ってこの場を後にした。


 ――その日の夜。

 先生からある話を聞かされた。 

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