【02】お兄ちゃんの話その2
いやハイソックスなんてどうでもいい。
彼女は僕を「兄」と呼んだ。
僕の記憶が定かならば僕に妹はいないし初対面の女の子にお兄ちゃん呼ばわりされるなんて経験も……まあ一回あるけど。
あれは特殊例だ、そんな初対面の年上の男は基本的にお兄ちゃん呼ばわりするような非実在少女が何人もいてたまるか。
「おいおい、僕に妹はいないんだぜ」
確かに妹モノは好きだけれど、あれは妹がいないからこその産物だ。
身内と行為に及ぶなんてぞっとするね。
義妹は可。
しかし彼女は僕の痛烈な拒絶、あるいは儚い願いを聞いてか聞かずか
「目の前の少女が初対面の年上の男の人はとりあえずお兄ちゃん呼びする可能性を考慮しないなんてお兄ちゃんもまだまだだね!」
などとぷくーっと頬を膨らませて宣いやがる。
なんかもう色々ぶん投げて帰りたくなってきた。
が、あの魔導書があって僕がこの場にいるってことはなんと200年振りに僕が召喚されたと言うことだ。
ならば悪魔として何かしらの願いを叶えるのが今回のミッションなんだろう。
もっとも僕は最強なのでそんなルール力づくで無視してじゃあさよならって出来るし、したことも無いとは言わないけれどそれはあまり好まない。
なんていうか大人気ないし誠実じゃないような気もする。
なんでも出来るとなんでもするはまた別の話だ。
「大人気ないと人気が出ないをかけてるんだね!流石だよお兄ちゃん!座布団一枚!」
「そんな恐ろしくつまらねーこと言ってねーよ!?」
「あれ?お兄ちゃんなら『第一そんな大人気ないことしたら大人気になれないじゃないか』みたいなこと言うと思ったのに、読み違えちゃった!」
頭をよぎったけれど流石に陳腐だと思って言わなかったのは内緒。
ナチュラルに人の思考を読む……のは彼女の能力なのか読み違えたってことは単に推理してるだけなのか。
「僕を呼び出したってことは願いがあるんだろ?じゃあ人間、もとい自称妹よお前の願いを代償ともに叶えてやろう、ほらさっさと言え」
「あれ?帰ろうとしてる?まだ嫌だよ!妹トークしようよ!いつもみたいに妹と妹のトークしようよ!」
「妹をトークしたこともねーよ」
「じゃあ初体験だね!私もお兄ちゃんと妹トークしたことないから初体験だ!お兄ちゃん!妹の初体験あげる!」
「いらねーよ」
「じゃあ妹のハイソックスあげる!」
「もう貰ったよ」
「妹トークしてくれたら右側もあげるよ!」
「……」
いもうと(じしょう) の ハイソックス(みぎ) を てにいれた。