【01】パンツの話その2
とは言えなにも僕は何時間もその感触に浸っていたわけではない。
これはある種の不意打ちだし、不意打ちどころか今まで積み上げた信頼関係とかも不意にしそうな行為だけど。
実はこう見えて僕は最強だ。
自慢でも自負でももちろん自虐でもなく事実として最強だ。
『最』も『強』い。
最強の定義なんて最も強い以外存在しないとは言えその強さの定義があやふやだから本来ならあやふやに引き摺り下ろされる定義だけれどその辺もひっくるめてもう最強だ。
例えば仮に世界で一番強い人間が不意打ちで倒されたら不意打ちで倒したやつが最強なのか?みたいな疑問が湧くかもしれない。
でも僕は最強なので不意打ちでも倒れない。
なぜなら最強だから。
『もし』倒れたらという『if』が存在しないから故の最強だ。最強だから不意打ちは効かないし不意打ちが効かないから最強はどちらも真だ。
ので、
瞬時に状況把握くらいすぐ出来る(頭脳も最強なので、口説いなもう言わない)。
つまり僕は瞬時に急転する事態に即座に順応し息をする間も無く最善の選択を選び取ることが出来る訳だがまあ常人は中々そうはいかない。
まあここで差が出てしまったって奴かな?戦闘経験の差というか生物としての格差がな。
僕はゼロコンマどころかゼロコンマゼロゼロゼロゼロゼロゼロ……で動き出せる訳だけど目の前の少女のタイムは三秒フラットだ。
はい、皆さんが状況把握するまで三秒かかりました、って感じだ。
まあその歳にしては中々悪くないんじゃ無いかな?一秒の壁を切って欲しい気持ちはある訳だけどまあそこまでレベルを求めるのは酷ってもんだ。
まあ光るものはあるからこれからは精進して欲しい。
僕が布の感触を楽しんだのはたったの三秒程度の話だった。
そして四秒目には僕の左頬に顔も知らない彼女の傷ひとつない右膝がめり込んでた。
まあ正確にはその予備動作として足を後ろに引く気配を感じ取りその時点では顔を引いていたから三秒よりは少し短いのかもしれない。
しかしその行為が功を奏した。
一筋の光明が差したのだ。
抽象的な話じゃなく物理的に、というか一筋どころか全体的に。
僕が体を引いたことによって持ち上げられたスカートの裾から光が入ってきたのだ。
時間にして一秒にも満たない刹那の時、しかし僕はその目にしかと焼き付けた。
薄いピンクと白のストライプを。
『おぉ……』と感嘆の声が出なかったのはむしろ驚くべきかもしれない。
いや、言う前に吹っ飛ばされたというのが正確な描写な訳だけど。
薄い暗い中ではなんとなく白だと思ってたがそれは俗にいう縞パンだった。
縞パンだった。
これもまた暗闇の中ではあまり視認することができなかったが縞パンの彼女は思ったより小柄なようで僕が口づけを落としてたのも股座のあたりと言うよりは下腹部、ほとんどおへその下だったようだ。
はっきり見える腰つきは細い、と言うよりは全体的な縮尺として小さいしその振り上げられてる足に至っては鶏ガラのようだ。
いやうら若き乙女を捕まえて鶏ガラってのもどうなんだろうか、ああ、うん針金のようだった……いやガラス細工のようだったとか?
ま、そんな感じだ。
サイズ的に言えば縞パンと言うよりはいちごパンツとかキャラプリとかカボチャパンツとか穿いてそうな年代だったけどカボチャパンツじゃ萌えないしな。
それは縞パンだった。
縞パンと言えばライムグリーンと白と相場は決まってる、などとしたり顔で言う奴が居たら僕は力の限りぶん殴ってやりたいね。
そんなことをすれば昨日までの僕のほっぺたが腫れ上がること安請け合いだが。
本当になんとなくライムグリーンのイメージがあったけれど、と言うかマジマジとパンツ見る機会なんてそうそうないのでイメージ以外で語れないんだけど。
そのほっそりとした足はパンツに締め付けられている、なんてことはなくむしろ逆に少し隙間を生んでいるようだった。
チラリズムなんて言葉があるが、あからさまな露出よりも少し隠された方が人は見えない部分に想いを馳せて興奮する的な言葉だが、
惜しげも無く全身余すことなく僕の目の前に曝け出している『ソレ』はチラリズムが稚児の遊戯だとさえ錯覚させる。
黒いスカートの裏地に病的なまでに白い足がコントラストを演出しながらすらっと伸びている、
抱きしめれば折れてしまいそうな儚さを演出してるくびれの少し下に白とピンクの『ソレ』は堂々と鎮座し、両サイドの小さな赤いリボンが可愛らしさを演出している。
幼さと儚さが垣間見える肢体を覆い隠す縞パンには少女から女性への成長の過程が伺える。
これがカボチャパンツならばそうはいかないだろう。
ブカブカで少しずり落ちて太もものあたりに無駄な膨らみ、そんなの見ても────
いやそれはそれでいいな。
カボチャパンツやっぱサイコー。
と、こんなとこで時間切れだった。
我ながら一秒間の間によくそんなに語れるなーって思った、から今思い返せばじゃなくその時思ったことだからな。
────きゃぁぁぁぁあああああああああっ!!!!!!
絹を裂くような声、裂いたことないけど絹を裂くような悲鳴と共に僕の左頬に彼女の右膝がめり込んだ。
まあ一つだけ言わせて貰うなら思ったよりも彼女の膝蹴りはすごかった。