002♪勇気、出会い、そして…
―勇気、帰り道、そして―
いつもと変わらない帰り道、今日は部活も休みで、早く家に帰れる。
立ちこぎをしながらスピードを徐々に上げていく。
住宅街に辿り着くと、ここら辺は先程まで雨が降っていたらしく、地面は濡れていた。
しかし、そんなのはこの俺に関係のないこと。
ココは多少の下り坂なのでギアを緩める。
スピードはすこししか落とさず。
でも、その考えが甘かった。
前方から勢いよく車が接近してくる。
動揺した俺はハンドルさばきが上手くできなくなり、車との衝突はせずに済んだもの、大きな金属音と、地面のこすれる音。
そして、人が地面を転がる音の演奏会が3秒ほど行われた。
倒れながら、自転車の方を見てみると、車体に傷が付いてるぐらいで、どこにも壊れている場所はなさそうだった。
大きく息を吐きながら、空を見上げた。
雨雲が早々と移動し、隙間から透き通ったブルーな空が見える。
その隅に少女が映った。
パジャマ姿のあの子が笑っている。
おなかを両手で押さえながら笑っている。
始めてあの子の笑顔を見た。
そんな気分じゃないのに、なんだか自分も笑えてきた。
大笑いとまではいかないけど、嬉笑いみたいなものがこみ上げてきた。
―彼女、出会い、そして―
彼女はあることに気づくと、道路の方に降りてきた。
彼女は尚もパジャマ姿で、学校に行っていた様子はない。
「…大丈夫?」
心配そうな顔を浮かべている。
まるで俺が死ぬかもしれないというような感じで。
俺は大丈夫というと、立ち上がろうとした。
その時、腕に電気が走る。
転倒した時に腕を怪我していたのだ。
彼女は優しく言った。
「手当てしないと…家に来て」
戸惑った。
知らない人の家に行くわけだし、女の子の家に行くわけだし、年下の女の子の所に行くわけだし。
勘違いされたらどうしよう…親御さんに、たまたま見かけられたクラスメイトに…
そんな妄想を膨らませていた。
「どうしたの?早く!」
痛みをこらえて立ち上がると、チョコチョコと動く彼女の後を追った。
彼女は心配そうに、俺にばれないように後ろをチラチラと見ているらしい。
けどばればれだ。
内心では、ばれてないとか考えているんだろうな。
大丈夫だよと手を振ってあげようか…
少しだけ、頬が赤くなった。
なんだか、ココロが急に暖かくなった気がした。




