2章
おギャー…おギャー!
…鳴き声が聞こえる赤ちゃんの…違う聞こえるんじゃない,俺が無意識に泣いていたんだ。
誰かが俺をあやしている…薄らとは見えるが,ぼやけてて良く見えない。凄く心地いいこのままずっと…
─いつまでそんな事をしている気だい?
聞き覚えのある少女の声で目が覚めた。
「ここは…,」
俺はある事に気づく
「泣いている…?でも何で…」
「目が覚めたのか,なんで泣いてるんだ,怖い夢でも見たのか?
記憶を整理していると声が掛けられた。声の方に顔を向けると,白衣を来て,頭にゴーグルを着た女医らしき人がいた。
「えっと此処は?あと貴方は?」
現在の状況を把握しようと訪ねた。
「あ~そうだった,私の名前は,薄原弥生。此処は学園の医務室だよ,君は召喚術の時に気を失い美桜と猫ちゃんに運ばれて来たんだよ。」
そうだ,俺は確かに召喚術の時に…召喚術?そうだ!
「俺の相棒は,いや契約霊は!?神霊?神獣?あっでもやっぱり英霊がいいな…ん?」
俺の言葉の途中で薄原先生が俺の肩に手を置いてきた。そこまではいいその次の言葉に耳を疑った。
「和真くん,君は,今日から落第契約者になった。」
…………………………………………………は?
「いやちょ,待ってくださいよ,俺が落第契約者?」
落第契約者とは,簡単に例えるなら出来損ないのゴミダメクラスだ。ゴミダメ扱いならまだいいのだが,落第契約者は,ある一定の条件をクリアしなければ学園から追放される。
「…そんな…」
「それと,」
まだ何かあるのだろうが,良い情報がいい。
「君は,ただの落第契約者ではなく,契約霊がいない落第契約者だ。」
契約霊がいない?それは有り得ない,契約霊は誰でも契約が可能なはずだ。
「君も知ってのとおり,落第契約者は,一定の条件をクリアしなければ学園追放となる。条件は毎年違うが,契約霊を持たない君では確実に死ぬ…だから…,」
「だから此処から尻尾巻いて逃げろと言うんですか?それなら此処で戦って死んだ方がマシだ!!」
無我夢中で,医務室から飛びだしてった…
「変わらないな和真は…,」
弥生は,1枚の写真を眺めながら呟いた。
それは近いのだけれど遠い記憶…
「待ってくださいよ隊長,副隊長~…あーよしよし」
そう言い放ったのは,他でもなく,探検服をまとった弥生だった。手には半年位の赤ん坊を抱いている。
「あらあら,疲れた?ごめんね無理させちゃって…」
「悪いな,折角の休みの日に,彼氏とのデートでも潰しちまったか?」
弥生の抱いている赤ん坊は,隊長と副隊長と思われる男性と女性の子供だった。
「むっ無理なんてしてません!それと彼氏なんていませんから!」
その時の弥生は,今とは比べものにならないくらい明るく話した。
地獄は突然始まった。
「此処は…?」
隊長率いる一同は,洞窟らしき穴を発見した…
「どっどうします…?」
「どうしようね~,この子もいるし」
赤ん坊の頭を撫でながら,隊長の取った行動は…
「とりあえずちょっとだけ入って見るか…」
これが地獄への引き金となった…
「こっこれは…,」
弥生達は,とある鉱石を発見した。
「これは凄い…」
隊長は,鉱石に手を載せた。一瞬辺りが明るくなった気がした。
「とっ,とりあえずこの鉱石を採取するか」
隊長は,持っていたトンカチで鉱石の欠片を削り取った。
「よし,我々は帰ろう,」
と隊長が言った時だった。
パチパチパチパチパチパチ
拍手と共に,黒いスーツに身を包んだ男性が歩いてきた。が顔が見えない所で止まった。
「いやぁ~こんな凄い大発見をしてくれるなんて,」
親しみやすそうな明るい声で話しかけてきた。
「誰だか知らないけど我々はこれから帰るところなんだ退いてくれないかね?」
何か危険でも悟ったのか隊長は,この場を切り抜ける事で頭がいっぱいな様に見えた。
「帰る?それは困るな~」
男の背後から,自衛隊のような装備をした2人が出てきた。その手には銃が握られていた。
「さぁ,ショータイムだ」
同時に2人が銃を乱射,弾が体中に,身体からは大量の血が…出なかった。答えは簡単。弾が当らなかったから。
「大丈夫かお前ら,」
目を開けると,目の前には,剣を持った隊長が立っていた。
「いいかお前ら,俺が道を作るそしたら行き良いよく走り抜けろ。あとこれは弥生が持っていろ,」
隊長は先程削り取った鉱石を弥生の手に握らせた。
「……………こんな俺でごめんな」
そう言い残すと,隊長は,黒スーツの男へ突っ込んで行った,銃の弾の雨の中隊長の剣は後ろの弥生達へ誤って当たる事がないよう適格にさばいて
「ほら行くよ」
副隊長が弥生に行った
「守るものがあるあの人は強い。」
その顔は初めて見る何時の笑顔とは似ても似つかない程真剣な顔だった…その言葉は,すぐ打ち消された。
「うぉああああああああああ!」
隊長は,黒スーツの男の頭部目掛けて,剣を強く振り下ろした。
「…ッツ!」
隊長の剣が止まった。隊長の顔は驚愕を隠せなかった。
「あぶない,あぶない」
涼しげな様子の男の後ろの黒い影が,隊長の剣をつかんでいた。
「今だ!!!」
隊長は大声で叫んだ。それを合図に,弥生と副隊長は走り出した。
「行かせると思うか?」
黒スーツの男の後ろの陰から副団長達目掛けて,斬撃波が出た。が,副隊長達にあたる事は無かった…黒スーツの男から出た斬撃波は,全て空中で炎の斬撃波と衝突空中で雲散霧消。
「行かせろよ」
この時,弥生は,1つ隠していた。
それは,弥生は,契約者だった。先程,隊長から渡された鉱石に触れた瞬間霊と契約をした。神獣不死鳥。どんな傷でもたちまち直してしまう
その時副隊長の足に,2人の片方の弾が命中…副隊長はたちまち倒れた。
「副隊長ー!!!」
「きちゃだめー!!!!」
駆け寄ろうとしたが副隊長の声で足が止まった。
「私達はどうなってもいいからその子は,私達の子供は,助けて…」
弥生の腕の中では,スヤスヤ眠っている赤ん坊を愛おしそうに見つめながら…
「どうかその子をお願いします…」
弥生の顔は涙でぐちゃぐちゃだった。
「うぉあああああ!!!!!!」
弥生は逃げた。後ろから銃を乱射してくる。何度も倒れ,何度も治り,何度も起き上がり走り続けた。
「これで俺の役目もそろそろ終わりかな…おい黒スーツ俺と心中するきはないか?気が無くても強制だがな」
隊長はもう死んでもおかしくないほどの重症だった。
「お前,自爆する気か?」
黒スーツの男の表情は険しかった。
「ありがとう俺を慕ってくれて………こんな終わり方でごめんな…うぉあああああ!!!!!」
洞窟を抜けた弥生の後ろで,爆音と共に,洞窟が崩れた
固まった.何が起きたか分からなかったが.すぐ分かった…頬を伝う大量の涙が腕の中の赤ん坊の頬に垂れる…
「っはは,ははははは…うぉああああ!!!!あああああ!!!!!!」
膝を降り地面に尻を付き盛大に泣いた…
その時誓ったこの腕の中の赤ん坊は絶対守ると…
写真を見ながら泣いてることに気づき裾で拭いた。
「相変わらず親子共々そっくりだな…隊長」